偉王汰を置いたまま部屋の中に入ることにした。
入口付近に有火馬を付かせ、
紫雲
重烏
楼射
が奥へ。
奥に行くほど暗くなる。
入口の明かりが届かないからだ。
刀を水平に動かし、辺りを伺う。
暗視ゴーグルも試したが妨害電波が出ているので見えない。
無線もノイズしか聞こえなくなった。
「ダメだな。」
皆、無線を切ることにした。
ここからは五感に頼るしかないだろう。
《キィッ。ダン》
入口扉が自動で閉まった。
「あっ!
…っくっ。
ロックされた。開かねぇっ」
近くの有火馬が扉を押したり引いたり、蹴飛ばしてみる。
「マズい!
偉王汰と離れてしまった。」
重烏たちも扉に戻る。
三人で扉を押していると
《来たか。キタカ。タカ》
部屋にこだまする声。
「んっ!」
声の主の方向がわからない。
扉に背中を付けて三方向を警戒する重烏たち。