~IOTA DEN~ 75 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

麻酔から覚めたカンウェ(K)
ここは独房の中だ。

右手を見ると靴ひもで止血してあった。

小さな窓からタンの目鼻だけ見える。

配膳の穴からタバコを投げ込まれた。

モクモクと煙が広がる。

「これは!」
カンウェは左手で口と鼻を塞ぐ。

心頭破滅香の複製品だ。

部屋の天井から白くなっていく。

息をしない訳にはいかず…

吸い込んだ。

右手の痛みを忘れるくらいの爽やかな香りがした。

いけないとは知っていても、身体が欲してしまう。

鼻を塞ぐ手を離していた。

窓から研究員のビデオカメラのレンズが見えた。

「いかん。」
我に返るカンウェ

時すでに遅し。

のどの渇き。
悪寒。

続いて、激痛。
震え。

幻覚。幻聴。

「ひぃぃ。
この虎をどけてくれっ!
虎を、虎を」

虎などいない。
黄色のシミと雨垂れのシミがあるだけだ。

カンウェは手首だけの右手で壁を殴り続けた。



「君とは付き合いが長い。
これが本物であることを願うよ。」
タンは解毒薬のケースを投げ込む。

「ンーフ。ンーフ。」
荒い息でタンを睨む。


「早くしな。死ぬよ。」
タンが薬を塗るジェスチャーをした。

「ンーフンーフ」
ケースを左手と口で開ける。

ケースにはわずかな軟膏しかなく、かき集めて鼻に詰め、喉に塗る。