ロケットユニットで燃料が激しく燃えている。
その筒先は海中に差してあり、船尾から50メートル先に白波が巻き上がる。
この船は、サンタクロースのソリに屋根をつけたような形で、マッチ箱のようだ。
船底は平らで、水切りの小石のように波を跳ねて進んでいる。
一回のバウンドで二キロは飛んでいられる。
その姿は、魔法のじゅうたんのようでも、トビウオのようでもある。
屋根材は、特殊な形の板の組み合わせでレーダーを乱反射させるステルス性能と内部の熱を隠す断熱性がある。
何より、水しぶきを防ぎ、船内の保温性があるのが、今はありがたい。
深夜の日本海。
満天の星空の下。
高速挺は大陸を目指す。
《ッズ。ッズズ》
先発の紫雲の無線に近づいたようだ。
「こちら偉王汰。
紫雲どうぞぉ。」
《偉王汰。待ってたぜ》
紫雲
「奴らは?」
華伽
《解毒薬とフライ、ア、ウェイさ。
でも抜かりはねぇ。》
紫雲
「こちらが先に着く。
頼んだぞ。」
和尚
《御意》