「はい、おはようございます。
とにかく、教室に入って下さいね。」
優しい先生だ。
「はい。」
少年たちは住みかから持ってきた懐中電灯を消して、蛍光灯の明るい教室に入った。
ここは完全に部屋になっていて壁紙も床板もある。
泥だらけの靴を脱ぎ、スリッパを履く。
黒板がない。
白い壁紙の壁
机はコの字の板を横にしただけで引き出しも無い。
教科書もノートも筆記用具も無いから良いのだが。
ただ机と椅子と先生1人の教室である。
「では、挨拶から。
私は、上原知加子といいます。
よろしくお願いします。
この学校は地下の生活に必要な知識を教えます。」
先生
「ちかだからチカコ先生。
覚えました。
僕は大野旭です。」
大野
少年たちの自己紹介が終わり、さっそく授業に入る。
「まずは、先ほど挨拶に困ったように、地下では時間がわかりません。
もちろん日にちも季節もわかりませんね。
しかし、地下だって時間は進みます。
しかし、教室だって時計がありませんね」
先生
「給食が出たら、お昼だろうなぁ」
森田
「おやつが3時!」
大野
「その3時が無いのです。」
先生
「おやつは…」
大野