南京錠を外した。
戸から中へ入る。
ここはマンションの影になり、スリガラスから光は入らない。
小屋だから日照権も無いのか。
呼び出しておいて、マツさんはまだ来ていない。
早すぎたのかな。
歩けば足跡が残るほど、床に埃が積もっている。
例のレバーを上げた。
《キゥ、スッチャ、スッチャンスッチャン》
明らかに動きが悪い。
が地下に降りる階段は現れた。
地下へ。
《ガツッ》
「おっ………つぅ」
梁に頭をぶつけた。
何もひらめかず、
《ドタタン》
階段を転げ落ちた。
俺には
ひらめきの梁
ではなく
よろめきの梁
に過ぎない。
額と尻を抑え、地下室を見渡す。
スイッチを見つけた。
蛍光灯を付けたんだね。
前よりスッキリしていた。
ホワイトボードには、
活性空気適正事象理論
と題があり、びっしりと計算式や論文が書いてある。
右側の端には、あのミイラの写真や、UFOの写真まで磁石で貼ってある。
そして、机の上に山積みにあった資料やファイルは一枚も無くなっていた。
マツさんは、俺が未来に戻った瞬間からタイムワープの研究に没頭したのだろう。
つまり、研究の答えがこのホワイトボードに出た、ということだ。
これを見せたくて呼んだに違いない。
マツさんは、ひらめきの梁に何度頭をぶつけたろう。
階段を見ながら笑ってしまった。