5日経った。
やはり、他人に会うのは怖い。
この世界を知らない俺は、周りの常識が変わっていないかが心配なのだ。
例えば、これは極端だが、
「おはようございます。」
と挨拶をする。
「おはようとは失礼な奴だな。」
と言われたらどうします?
ま。
そんなことは無いですけど。
常識や空気やニュアンスが変わっていたら困るんですよ。
まるで外国に来た気分です。
すっかり引きこもっていた5日間。
さて、マツさんの小屋へ行かないと。
街を歩く。
俺の知っている街と変わらない。
遠くにダムが見える。
鬼留ダムだ。
かすみ湖に沈んだ霞村、あそこにいたんだなぁ。
小屋はこの辺なはず。
変わってしまったなぁ。
マンションとマンションの隙間に塀に囲まれた敷地があるが。
草に埋もれている。
鉄のゲートの立入禁止の看板が錆びている。
マンションから見下ろされてるようで気になるが、入るしかない。
《クィーィ》
ゲートを押す。
草をなぎ倒し、ギリギリ入れるようになったが、服に錆びが付かないように、カニ歩き。
草をかき分け小屋へ。
廃車シティだ。
タイヤが破けている。
車内にはモトコンポの残骸。
松木のベルコンの看板があった。
鍵を取り、南京錠を開けた。