「ボス。こいつは運送屋をやってまして、荷台にはお中元の箱がありましてね。
ビールにワイン、ハムにカニに缶詰め、素麺に水ようかんをゲットしました。」グレーマン
「ガハハ。
飛んで火に入る夏の宅配便。」ボス
「ビールも冷えた頃ですぜボス」グレーマン
「いーねいーね。
ご苦労だった。
僕たちも休んでいいぞ」ボス
「ハイハハーイ」
ヤンググレーマン
《ピクッ》
イダテンの指先が動く
「カーニ、カーニ。」ボス
「……待て」イダテン
「………?
気のせいか。カーニ、カーニ」ボス
「ちょ。待てぇよ」イダテン
「え。キムタク!
…おまえか。」ボス
「四十手間のオッサンにジジイ、ジジイと言ったのは許そう。
9人で1人をボッコボコの汚い手口も許そう。
しかぁし。
お客様の大事な荷に手をつけたのは許せん。
お前たちも楽しみに待った荷物が届いた時の、あの嬉しさがわかるだろう。
お中元は無言の無事の便りなんだ。
全国輸送業協会を代表して、許さん。」
立ち上がるイダテン。
「まだくたばってなかったか。
僕たち、とどめをさしなさい。」ボス
「ハイハーイ」
ヤンググレーマン
イダテンを囲む。
「そろそろ五分経つな」ボス