ケータイが鳴る
商店街の喫茶店でお茶をしていた。
周りのテーブルから一気に視線が集まる。
時代遅れの俺は、これが恥ずかしい。
店内での電話はOKさ。
でもみんな生体バイトーカーという小型無線でやりとりしてる。
読唇カメラと指向性スピーカーで無音会話もできる。
『はいはい。おばさん、ちょっと待ってよ』
小走りに店を出る。
『見た?』
『なつっ(懐かしい)』
『ドコモ博物館で見たやつ?』
ほら、注目された。
『え。今、ヨコハマ宇宙港に着いたの。
タクシーで来るの?
じゃ、家で待ってるよ。』
埼玉まで40分くらいかな。
寿司とシュークリームとノンアルコールウォッカも買った。
『こんにちは。』
お。近所の子だ。
地絵巴里くん
(ジェパリーくん)だってさ。名前読めね~
フランスと日本のハーフだ。ハーフばっかりだ。
おつかい帰りか、偉いな。
久しぶりに走って帰ろう。
よし!
子供用セグウェイと勝負だ。
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物語はフィクションです。