前年の3月、大地震と津波が、人間に自然の大きさと恐怖を見せつけた。
そして原発事故。
電力という文明の力を得た人間。
その文明が社会の崩壊に拍車をかける。
自然をコントロールすることはできない。
思い知らされた。
人間は自然のまま生き、死ぬ。
文明は一瞬の炎。
明るくも眩しくも、温かくも熱くもなる。
文明が自然を侵す。
自然は文明を覆う。
あの頃だ。
みんな気付いたんだ。
スカイツリー展望台から、ちっぽけな街を眺めながら。
ちっぽけな人間のちっぽけな自分。
空の大きさ。
地球の大きさ。
2022年の空も変わらない。
俺達、今でもスカイツリーに向かって拝んでるよ。
過去の犠牲者と、今日の発展に尽力した人々の為に。
あの塔の灯りは、自然に逆らわない文明のはじまり。
新文明の最初の松明(たいまつ)なんだ。
************************
物語はフィクションです。