待ち遠しい魔道士です。こんにちは。

8月19日(木)、公式YouTubeで 「Eorzea ― The Making of a Realm #4こちら )」 が公開されました。このように、スクエニ社員が直接、”ハイファンタジー” に関して思いの丈を語るという機会は貴重だと感じています。今までは雑誌インタビューで、誌面の都合という物理的な制約があったため、どうしても要点という形にならざるを得なかったためです。

今回は、去年9月6日合同から時系列で、様々なシーンで語られた内容を集めてみました。それらが語られた内容を俯瞰的に見て、エオルゼアの世界設定を考えてみようというが 今回の趣旨です。
※わたしのコメントは、緑色です。


■2009年9/6 合同インタビューGameWatch
――公開されたトレーラーには、機械的な飛行物体のようなものが確認できますが、SF要素みたいなものは入っているのでしょうか?
田中: デザイナーがアートワークの方向性で考えているのは、最初にそのハイファンタジーを目指そうというのは根底にあったんです。いわゆる中世ファンタジーではない、もう少しモダンな感じのものにはなると思います。

※”ハイファンタジー (舞台が異世界)” である事だけは、初めて公表されましたが、理由については触れませんでした。
この時に公開されたトレーラーは、リムサ・ロミンサの オープニングムービーを中心に編集したもののようですが、この当時から (当然ですが) 設定は完成していたことが窺い知れます。ただ表現として、明確には語れない部分が大きかったようにも感じます。


■3/21 nvisionインタビュー過去エントリ
世界観へのこだわり
「FF14の世界はとあるSF要素をもつが、それらは飛行機に例示されている。これらの要素は重要な役割を持ち、異なった国における文化と文明の特徴となる。しかしながらそれらは極めて多くなることはない」 と山本さんは語る。
「我々はファンタジー世界を、どんなに遊び続けてもプレイヤーを絶対に飽きさせないために、古典的な剣と魔法を中心に据えて作り上げる作業を続けています。」

※異世界を一から作り上げ、異質なものを組み込むことを話しています。今の理解を元に考えれば、どうみても ”スクエニ独自のハイファンタジー” の宣言でした。しかしながら、当時は十分には理解し得ていませんでした。去年のインタビューでは、あたかも ”モダン風” な世界になるかのように語られていた事もあったためです。
・ポイント
 1.SF要素や異質なものは、それほど多くはならない
 2.異質なものは、文化や文明の特徴のための色付けである
 3.飽きさせないため、あくまでも古典的な剣と魔法の世界が中心



■8/8 インテルゲーミングサイト過去エントリ
1.”ハイファンタジー” とは、”異世界” を舞台にした物語である
2.スクエニの目指す ”ハイファンタジー” は、剣と魔法のファンタジーの世界に、科学や機械文明などの異質なものをも調和させた世界である

※過去エントリと重複となるので、ポイントだけ抜き出しました。ここで初めて、”スクエニ独自のハイファンタジー” というものが、”異質なものを調和したファンタジー” であることが語られます。


■8/19 マップデザイナー 千葉知樹氏の語るハイファンタジー

次の文章は、公式YouTube動画で語られた内容を参照するために文字起こし したものです。改行を少なくするために、漢字を多くして見やすさを向上させる手直しを行っています。

冒険の舞台が、プレイヤーの皆さんにとって何年も渡り其処に滞在し、生活し、探索するに相応しい魅力的で奥深い世界になるように、本格的ハイファンタジーとして成立するリアルな空間設計を目指して開発を進めてきました。

ハイファンタジー。即ちこの世界における独自のリアル感を作り出すため、私達は、まずハイデリンとその他の天体との関係、惑星構造、大気、気候、地勢、生態系といった自然について詳細に設定しました。

その上で、シームレスによる広大なスケール感を実現させると同時に、高低差を強調した景観作りや絵画的な高原配置によって飽きのこない空間作りを目指してきました。また、それら自然設定を踏まえつつ、次の民族、文明、歴史、宗教、建築といった人工要素を設定していきました。
※設定のディテールに力を入れていることが窺い知れます

都市やガジェットのデザインでは、天然物と金属という異質な素材を組み合わせることで、未知の文化への驚きと生活感のある温もりという相矛盾するテーマの両立を図りました。
※異質な素材を組み込み、調和させていったというのは、前回のインテルのインタビューでも語られていました。

このように自然や文化を一度本質まで分解した上で再構築する手法は膨大な下準備を要する上、紆余曲折や無駄も多く、私達にとっては大きな試練となりました。

しかし、結果として、ハイデリンに存在するもの、例えば岩や木々、建物の柱や室内の椅子に至るまであらゆるものが、新しい世界を多層的に描き出す大切な要素として存在しているという認識を背景スタッフで共有できたことは、大きな財産です。
※目の前に拡がる全てが、ハイデリン世界を表現するためにこだわり抜いた小道具ということなのですね。

プレイヤーの方には、この世界を訪れ、エオルゼアの風を肌で感じて頂きたいと思います。そして、その中に隠された自然や歴史などのドラマにまで思いを馳せて頂くことが出来たなら、背景スタッフとして、これに勝る喜びはありません。

エオルゼアでお会いできる日を、楽しみにしています。



■コメント
こうしてインタビューを見てきますと、首尾一貫して同じ事を、角度を違えて、その時々で話せる内容を語ってきたことが理解出来ます。そして特に強く感じますのは、FFならではの世界観へのこだわりです。そして次の様な内容が読み取れると思います。

1.スクエニの ”ハイファンタジー” とは、剣と魔法の世界に、異質なものを調和させた世界を言う
 異質なものの意義は、文化や文明の特徴のための色付けである。従って、SF要素や異質なものは、それほど多くはならない。
また同時に、異質な素材を組み合わせることで、未知の文化への驚きと生活感のある温もりという相矛盾するテーマの両立を図るという意図もあった。

2.”異世界” の新しい舞台を、一から作り上げた
世界が詳細に設計されているのは、何年もの時間を過ごそうとも 魅力を感じ続ける事が出来る世界を目指すために必要だった。これは、独自のリアル感 を出すためにもこれらの設定は大切だった。

3.自然や文化を一度本質まで分解し、再構築する手法をとった
 ハイデリンに存在するものに、意味・必然性 を持たせるためにどうしても必要な作業だった。

奥深い世界に足を踏み入れる事になる日が、待ち遠しく感じます。