寒さも厳しくなり朝起きるのが辛くなりましたね。最近IBMがワトソンという人工知能を売り出す予定だそうです。そのせいかここの所よく見かける議論として『人工知能は人間の仕事を奪うのか?』というのがあります。思えば技術が発展し、様々な職業が消えました。例えば私が生まれる前は駅の改札での切符切りは機械ではなく、改札係の駅員が行っていたそうですが今はいません。しかし一方で新しい職業を生み出したのも事実です。
しかし少し気になる議論があります。それは『弁護士(法律専門家)は将来的に人工知能に取って代わられる』というものです。
この主張によれば弁護士の仕事は定型化されているので人工知能に置き換えることは十分に可能であるというものです。
またある行政書士の方の発言によりますと『行政書士の仕事は最も人工知能に代替させるのに適している。』そうです。理由としては行政書士の仕事は書類を書いて、訂正、提出するのが主な仕事だからだそうです。
私としてはこれを聞くと少し不安になります。だって私の将来の仕事は米国移民法弁護士と行政書士ですので。
私は人工知能の専門家でもなければ行政書士、弁護士の経験があるわけでもないので意見は言えないのですが疑問点はいくつかあります。それをこの記事では上げていきます。
行政書士、弁護士業務について
1行政書士の仕事には交渉力が必要だというがこれを人工知能が行うことはできるのか?
ある行政書士の方がブログで書いていたのですが行政書士の許認可業務は意外にも交渉力が必要らしいです。申請時には許可を取れるように役所の人を説得し、交渉しなければならないようです。
入管業務についても同じようでやはり入管職員との交渉が必要らしいのです。
2 不明瞭な行政内部の基準に人工知能は対応できるのか?
とある入管業務専門行政書士の方のホームページによれば入管内部にはundocumented rule があるそうです。それでなくても行政にはローカルルールや発表されてなくても存在するルールがあるそうです。(私には本当かどうかわかりません。)
また担当者によっても対応が違うことが多々あるそうです。また基準が公表されていても具体的でない場合にはどうなるのでしょうか?
そもそも人間の仕事は必ずしもマニュアル通りに行われるほど単純なものでしょうか?
3 法律は案外曖昧
少しでも法律を学ぶとわかるのですが法律は案外曖昧な部分があります。そういうものを人工知能が解釈し、現実の事案に当てはめたとしても人間と同じように答えにばらつきが出るのではないでしょうか?法律って厳格なイメージがありますけどあらゆる事態に対処できるように抽象的に定め、判例、学説を通して具体的なものになります。確かに人工知能ですから法令、判例を処理するのは得意かもしれませんがそれがあったとしても社会が変化し、新しい事象が出た時にこれは判例で言われたことに当てはまるのか?と言った不安が残ります。行政書士なら当てはまると役所の人を説得し、許認可を取得する必要があるかもしれません。弁護士なら裁判でそれを主張する必要があるでしょう。また判例が必ずしも正しいわけではなく時には判例に対して反論する必要があります。(もっと言うと判例だって正確とは限りません。)
4法律の世界は必ずしもマニュアル通りではないと思う。
例えばある男性が法を犯し、逮捕され送検されたとしましょう。担当する検事は法律を参照し、被疑者を起訴できることが明白であることがわかりました。
検事が人工知能なら迷わず起訴するでしょう。しかし人間なら被疑者の供述、民事での示談の状況などを考慮し、不起訴にする、起訴猶予にするなどできるはずです。また弁護士がこの被疑者の弁護人になれば単に法律的に処理するのではなく、情状酌量を求めるなど事件に即した対応をしなければならないのではないでしょうか?民事で損害賠償を取る場合でも被告の財産状況などを考慮して妥協点などを見つける必要があるのではないでしょうか?こういうことは人工知能にできるのでしょうか?仮にできるとしたら人間ができる仕事はもうないのではないでしょうか?
5経験や知識がデータにインプットされるとは限らない。
インターネットやIT技術を過信している人たちが誤解しているのはインターネットやデータベースの中にすべての情報、ノウハウがあるということです。確かにインターネットにはあらゆる情報があります。しかしその中に価値ある情報は本当に一部です。人工知能は自分で学習できるとされていますがそもそも必要なデータを得られない、データベース、インターネットのなかに存在しない可能性もたかいのではないでしょうか?多分弁護士、行政書士などの専門家は本当に重要なノウハウは公開せず、頭のなかに独占するのではないでしょうか?
6 弁護士、行政書士の仕事の中身が変化する可能性はないのだろうか?
大昔、行政書士は教習所の近くに事務所を設け、運転免許取得のための書類を代書していたそうです。しかし現在では許認可(建築業許可、ビザなど)などの専門分野を身につけ、活躍しています。弁護士にらしても昔と違い、企業内弁護士など少しずつですがその活躍の仕方は変わっています。
確かに人工知能が現在ある業務を行ってしまう可能性があります。しかし人工知能がそうした業務をやる中でも行政書士、弁護士は役割を変えて、仕事を変えて存在する可能性があるのではないでしょうか?
例えば法律専門家は人工知能を使いながらも個別の状況からより高度で適切なアドバイスに専念し、ビジネス的観点からも1つの事案を検討するようになるかもしれません。
例えば行政書士も人工知能を使い、資料収集、書類作成をするとしても行政との交渉、許認可取得のためのコンサルティング、許認可を取得することに関してビジネス的観点からの検討などを、している可能性もあるのではないでしょうか?(ただこれだともう書士ではないですし、士業制度の再検討も必要でしょうね。)