タイプⅡaのダイア
皆さん こんばんは!
先日ブログのコメントにダイアのタイプ2a についてご質問を頂きました
実は2018年2月に以下のような記事をアップしておりますので お読み頂ければと存じます
①さて、本題に入ります。
よくブログの中で、「ダイアモンドは鉱物なので、一定の光学的な特性がありその高い屈折率のため…」
とか何とか言っておりますが、実際鉱物のことはよく分からないので、的確なご説明は出来ませんので
あしからず。
調べてみてもよく分かりませんが、鉱物は一定の結晶構造・原子配列を持っていて、ダイアモンドであれば;
こんな感じの配列でCは炭素です。
ダイアモンドは本来ピュアな炭素の結晶で、従い原子は基本全てが炭素のはずなのですが、
多くの場合それが一部窒素と置き換わっているらしいのです。
その窒素の影響でいわゆるダイアモンドのカラーつまり黄味の度合が出るのです。
こうして窒素に影響されているものをⅠ型、殆ど影響をされていない(置き換わっていない)ものを
Ⅱ型と分けられています。
そしてそれぞれⅠa・Ⅰb と Ⅱa・Ⅱb に分けられています。
概ね無色からちょっと黄色いものまでのダイアは殆どがタイプⅠaです。
そしてよく言われるのが非常にピュアなタイプⅡaです。(今日はⅠb と Ⅱbは無視します)
殆ど窒素に影響されていないので、Dカラーのものが多いですが、ダイアには黄色味だけではなく
又違う原子の影響でグレーやブラウン味をかむこともありますので、タイプⅡaのすべてがDカラー
というわけではありません。
確かにタイプⅡaのDカラーは、Dを超えてCカラーがあればCカラーにしたいようなものがあり
それでプロポーションが良いと確かに凄いです。
タイプⅡa は透明感が別格とか言われたりしますが、私は個人的にそのCカラーのような抜けた色にあると
思っています。正しいかどうかは分からないですが。
このタイプⅡaの出現率は非常に低く、そしてそれが近年ちゃんと識別できるようになったので、
タイプⅡa をウリにしようという試みがあるようです。
でも大粒石3ctか5ctかは分かりませんが、大粒石の色がDカラーでも抜け感のあるものはタイプⅡaが
多いというか割とあるにはあります。
この画像は10年ほど前に私の香港の友人のダイアモンド業者が持っていた4ct D-IF のタイプⅡa のダイアですが、
プロでも肉眼やルーペで見てもその識別は出来ず鑑定機関の検査によってそれと分かります。
あれは16~17年前位になりますでしょうか、その頃は皆タイプⅡa に言及をしなかった頃の話です。
GIAや日本の鑑定機関もその鑑別をやっていなかった頃の話ですが、その香港の友人が当時GIAの付いた
10ct超のD-VVS1のダイアを持っていて、私が香港の彼の事務所を訪れた時に、
「こんなのを持っているから、もしオーダーとかがあったら使ってくれ」と言われたことがあり、
観るとカットはそこそこで特別でもなかったですが、色は飛び抜けていてまさにCカラーでした。
でも私はその時は「こんなでかいのは、日本では中々売れるものではない」とネガティブな返事をしました。
ところがそれからさあ一年以内だったかと思いますが、得意先からまさに10ct超のD-VVS1を探してくれとの依頼が
あり、ビックリ!それを借りて売れたということがありました。
そのダイアがそれまでもそれ以後も私が関わったダイアの中では一番の高いダイアです。
それは今でもあるのかな、スイスにグベリンという権威ある鑑定機関があり、そのグベリンのタイプⅡaという
鑑別書が付いておりました。
その当時は殆どの業者さん、それ日本であれ海外であれタイプⅡa であるかどうか意識はされていませんでした。
私はそのことがあって「あ~、そう言えば習ったことがあるなぁ~」という位の印象でしたが、
その頃日本で同業者にタイプⅡaのことを話しても馬耳東風といった感じでした。
でも例えタイプⅡa であってもそのダイアのプロポーションが悪ければ、「タイプⅡa」と叫んだところで
全然意味のないことなので、タイプⅡa のダイアがプロポーションを超えたところにあるわけでは
全くないです。
長くなってしまったので今日はこの辺で終えさせて頂きますが、又次回にでも
この続きをアップしたいと思います。
②さてダイアモンドタイプⅡaって結構やっかいものなのですよ。
確かに窒素やホウ素などの不純元素を含まない無色のダイアモンドで希少性は非常に高いタイプではあります。
そして前回の記事で述べましたように、DカラーどころかCカラーがあればCカラーと呼べるダイアは、きっとタイプⅡa
だと思います。
でもどうして業界でタイプⅡaを意識するようになったかと申しますと、それはタイプⅡaのブラウンのダイアを
高圧・高温で無色のダイアモンドに処理することが出来るようになったからです。
これを高圧(High Pressure)、高温(High Temparature)処理なので、HPHTプロセスと言われています。
このように変えられる訳です。
私は確か以前にタイプⅡaを記事にしたことがあると記憶していたのですが、その時は全く反響がなかったのですよ。
ダイアモンドタイプⅡaで検索しますと、鑑定機関・CGLのサイトにヒットし説明欄にこんな画像がありました;
ダイアモンドは非常な高温高圧下で炭素が結晶して作られるのですが、そこは地下深く(150~200㎞)で
2000℃で圧力が7000㎏/cm²のもとで作られます。
画像のようにHPHTプロセスは生成された地球深部を再現したものと言われています。
そうすれば地上に吹き上がる過程で受けた圧力等で結晶の歪み等が発生し、色がブラウンになってしまうので
元の状態に戻せば無色になるということらしいです。
もうひとつ資料が書かれています;
つまりタイプⅡaの褐色(ブラウン)ダイアがHPHTプロセスによって無色に変わることを示しています。
このために無色のダイアモンドはタイプの検査が必要となった訳です。
勿論タイプⅠaからの黄色系への変化もそれはそれで検査がなされます。
従い処理をされていないダイアには、鑑定書に於いて「色の起源:天然」と記されています。
以降タイプⅡaのダイアは;
フォトルミネッセンス分析済ということが記されるようになりました。
これがついておれば天然のタイプⅡaということになります。
でもこれDカラーではなくEカラーでしょ。
天然の鉱物なのでタイプⅡaだからと言って全く不純物を含まないとは言い切れず微妙にグレー味やブラウン味を
かんでいたりするので、タイプⅡaだからといってブラウン以外でもEカラーやFカラーとかもあります。
このダイアの日付をご覧下さい。2009年10月7日となっています。
私が買い付けてきたもので、当時のブログの記事に使ったのか私の画像のストックの中にまだあったものです。
この頃は、タイプⅡaだからといって値段が高くとかは全くありませんでした。
結局HPHTプロセスの疑いがあるために、せざるを得ない検査があり、その結果タイプⅡaと認識されるようになり、
それを差別化商品として売られるようになったので、最近はインドの市場でもタイプⅡaは高く設定されているようです。
でも実際タイプⅡaの出現率は非常に低く、タイプⅡaだけを無理に集めようとすると、肝心要の部分(プロポーション等)
に目をつぶらないといけないのでどうなんだろうと疑問に思っています。
私は前回の記事で書いたように、商売人の中では早くタイプⅡa存在を知り、上手く差別化商品にならないかと
考えたこともありますが、実際ダイアを見ても飛び抜けたDカラーで素晴らしいカットのもの以外は、
それがタイプⅡaかどうかなど誰にも分からないですし、出現率も非常に低いので、これはダメだと
思いましたので、まさか今頃一般の方からご質問を受けるとは思いもよりませんでした。
また合成のダイアもタイプⅡaの特徴も持っています。
そして海外の悪徳業者は、合成のメレダイアと天然のメレダイアを混ぜたりしているようで、
タイプⅡaのメレダイアは買って頂けないのですよ。
というのもメレダイアでいちいち鑑定機関に持ち込んでフォトルミネッセンス分析などしてられないので、
タイプⅡaと疑われるメレダイアは省かれます。
私はメレダイアをちゃんとしたところから買っていて、タイプⅡaの出現率が非常に低いので事なきを得ています。
そもそも出現率が極めて低いのに疑わしいメレダイアが多くあったりすると、それは非常に怪しいと言えます。
一般の方からのご注文のメレダイアは、念のため、親しい鑑定機関に持ち込み、疑わしい(タイプⅡaかもしれない)
メレダイアは使わないようにしています。
タイプⅡa 意外とやっかいでしょ。
ダイアは鉱物なので分からないことが多いのですが、我々は天然の宝飾用のダイアを扱うわけで、
後はそのものが的確にカットされ本当に綺麗なのかどうか、リングにして本当に美しいのかどうか
そこだけを見ていた方が良いかと思います。
アンレーおじさん
以上の記事です
長いので鬱陶しかったら申し訳ございません
次にタイプⅡaの鑑定書を見ながらの実戦編を記事にしますね