鍛造の良さ⁉ | アンレーおじさんのブログ

鍛造の良さ⁉

 

最近「CADデータ→原型→鋳造」でも作るようになって 私自身の加工に関わる仕事が増えました

「鍛造」の場合はお客様の思いをお伝えして職人さんに丸投げ 後は出来上がりをチェックするだけです

 

今回お客様からスリーストーンリングのご注文をお受けし スリーストーンリングは「鍛造」なので

お客様と職人さんのところへご一緒しました

 

ご結婚30周年のお客様で当時のエンゲージリングはサイズが合わなくなり センターダイア0.5ctのリングは

着けなくなられてかなり年月が経っておられるとかで スリーストーンの1個にはこの0.5ctを使って欲しいとの

ことでした

 

また同時にエンゲージリングのプラチナを溶かして これから作るスリーストーンリングのプラチナと混ぜて

使って欲しいというご希望でした

お客様の職人さんへのご希望を聞きながら 「あ~これも鍛造製法の良さの一つだなぁ~」と心の中で

思いました

 

鋳造は製法が量産 一気にたくさん作るので このリングのためにだけということができません

 

 

昔お店を始めて間もないころ ライダー然としたご主人がカッコのよいバイクに奥さんを乗せて

わざわざご遠方から鍛造をウリにしている私のお店に来られ

「二人の結婚指輪を新たなデザインで作り替えたいが この地金を新しい地金に足して作って欲しい」

というご希望でした

 

私は当時お付き合いしていた職人さんから 「古い地金を新しい地金に混ぜるのはムリだが お客様は

分からないので混ぜますとお答えしておいて下さい」と言われていました

 

でもある意味”善意の嘘”かもしれないですが それが言えなくて正直にご説明すると ちょっと考えると仰って

戻って来られなかったことを思い出しました

お店をしていると”善意の嘘”の方がお互いハッピーだと思うことがあるのですが 中々難しいです

 

でも今お願いしている職人さんは お客様の思いにお応えしてちゃんと溶かして混ぜて下さるので 

とても嬉しく思います(きっと作業は面倒くさいと思います)

中々目には見えないところですが これも「鍛造の良さ」だとしみじみ思うと同時にいつも当時のことを

思い出します

 

 

ついでに目に見えない鍛造の良さは 鍛造は読んで字のごとく「鍛えて造る」ので

 

 

地金の組織がとても密になります↓

 

 

鋳造ですと 組織がゆるく

 

このような感じです

 

いま私は思うのですが CADデータ→原型→鋳造製法は本当に便利です

原型が以前とは全然違って手軽に作ることができますから

 

我々業者サイドはこれを単に安くジュエリーを作るためにだけ利用するのではなく 

お客様サイドに立って上手く利用することを考えるべきかと思います

 

私のところで言えば 腕の立つ職人さんによる鍛造でしか出来ないもの 

”4本爪の2段腰のフルエタニティリング”や”スリーストーンリング” 

或いは地金を深くえぐった”共有爪割爪のエタニティリング”等

鍛造ならではのジュエリーを大切にしながら CADを利用する方が

お客様にメリットをもたらす場合は積極的に使うことかなと思っています

 

 

 

                                          アンレーおじさん

 

あ~ メレ見なあかんやん