鑑定書って誰のもの?? | アンレーおじさんのブログ

鑑定書って誰のもの??

       1鑑定書

 

皆様、今晩は。

 

GIAの設立は1931年でGIAがダイアモンドの鑑定書を発行したのは1955年とか。

日本でも消費者に対してしっかりとした客観的な評価基準=第三者の鑑定書が必要という

ことで、1960年代に入りGIAに学びに行く人々が出始め、1971年11月にGIAとの緊密な

連携のもと、AGT(日本宝石鑑別協会)が設立されました。

(それ以前に日本では全宝協がございましたが、ダイアの鑑定というより本物か偽物かという

宝石の鑑別が主でした。)

 

以後徐々に鑑定書が普及し今に至るわけですが、私がこの業界に入ったのが1973年で、

丁度普及し始めた頃ですが、当時我々の段階(輸入業者)ではまだ殆ど鑑定書やソーティングを取るということはなく、我々の得意先(卸商)が取られていました。

今では国内にメジャーと言われる鑑定機関がGIAを含め5社にのぼり、それぞれが

顧客の獲得合戦を繰り広げております。

(GIAは日本進出を機に長く続いたAGTとの関係を解消しました。)

 

顧客の獲得合戦、ここで大きな矛盾に行き当たります。。

そもそも鑑定機関は、消費者の方々に対して第三者の客観的な目(評価)が必要ということでスタートしましたが、彼らの顧客は鑑定書やソーティングの依頼主つまり業者なので、

どうしても業者の方を向き業者側の意向をくむようになってしまいます。

過剰に業者の意向をくみ過ぎ甘過ぎる鑑定結果を出し、週刊誌或はテレビ・新聞で

叩かれた鑑定機関が2社ありその1社は潰れてしまいました。

 

 

例えばプロット(GIAダイアモンド事典より);

          2プロット図

 

鑑定機関はダイアモンド・グレーディングルールのもと、「ワークシートには必ずプロットを

残す」というプロットの義務があります。

しかし実際に行われているのは、GIAとAGTの本鑑定だけなのです。

本鑑定と言うのは、GIAはドシエという簡易鑑定書がありそれはプロット抜きになっています;

          3GIA ドシエ

 

又AGTもいつ頃からかプロット抜きの鑑定書を発行しています;

          4AGT プロット省略

 

どちらも本鑑定より安価になっております。

 

プロットは立体である内部を平面に表すわけで、グレードが下になるほど例えばSIクラスなど

はプロットをすると見た目より激しく見えてしまいます。

しかしGIAの本鑑定のように重要でないものはプロットをせずに、コメント欄に記しプロット

から除外するという工夫だって出来ると思うのですが;

          5GIA コメント

 

Commennts:のところ、クラウドがあるがプロットをしておりませんという意味です。

こうすることで概ね正しい見え方をお示しできるかと思います。

 

要は、消費者の方々が、なぜお店がこのダイアを勧めているのかの説明を受け

買われる決心をされたら、渡される鑑定書がお店がそのダイアを勧めた理由付けというか

証となるのですから、鑑定書には消費者の方々がご覧になってある程度ご納得頂ける内容

というか、情報公開がなされている必要があると思います。

その点から言うと、一番情報公開されているのはGIAの本鑑定ですね。

(私の場合は、自分の作成したグレーディングシートで十分にご説明した上でAGTの鑑定書

をお付けしていることが多いです。)

 

あるスーパーブランドでは、お客さんが買うと決めてリングのデザインを選ばれたら、

ご予算に応じてダイアは〇〇ctでカットはエクセレントかベリーグッドになるとしか言わない

ところがあると聞きます。

又あるスーパーブランドでは、商談の際の簡単な情報だけで鑑定書は後日送付しますと

いうところもあるやに聞きます。

 

ダイアモンド・ジュエリーは「ダイアモンドが命」です。。

皆さんご予算がおありなので、それぞれの思いをお店に伝え、そのご予算の中で

どこを妥協すべきかを相談されます。

そうした過程を経て鑑定書という証を手にされて、ご納得・ご安心を得るものでは

ないでしょうか。

 

これからの鑑定機関は、業者の方ばかりを向くのではなく、消費者目線で必要とされる

鑑定書のあり方を考える時期に来ていると思いますし、消費者の皆さんはもっと

納得・安心を得るべくお店に対しモノ申すというか突き上げて下されば良い方向に向かって

行くものと信じます。

ビビる必要など全然ございませんよ。。

 

それでは今日はこの辺りで

 

寒い日が続きますがお風邪など召しませんように

 

                                      アンレーおじさん