先日、カラーリングの美容室でね 

すごく素敵なご夫婦を見かけたの。


その時の光景が、ずっと目に焼き付いて離れないから、ちょっと綴ってみます。


私が行った美容室にね、80代くらいかな、年配のご夫婦がいて
長椅子で並んで順番を待ってたの。


ご主人が奥様に

「他のお客様の邪魔にならないように、もっと端っこに座りなさい」って、優しく声をかけていて。


奥様はにこにこ笑って「ハイハイ」って答えながら、ちょこんと席を詰めてた。


名前を呼ばれたときには、ご主人が奥様の手をとって
一緒に施術の椅子のところまで歩いて行ったの。 


「妻は目が見えないものですから」って、美容師さんに 伝えてた。


それでね……、

施術が終わったあと、その美容室は髪を乾かすのはセルフなんだけど、 奥様の髪を、ご主人がやさしく乾かしてあげてたの。


奥様はね、目が見えないの。 

ちょっとぽっちゃりしてて、でもすごくチャーミングな雰囲気で。 


髪はもう、ところどころ薄くなっていて…

正直に言えば「半分くらいない」ってくらい。 

でもご主人は、その髪をね、とても丁寧に、 

まるで宝物でも扱うみたいに、やさしくドライヤーを当てていたの。


私はその2人の優しげな空気感にね、心を打ち抜かれたというか。

これが“愛”って言うんだなって、しみじみ感じたの。


人はね、見た目も、体も、少しずつ朽ちていく。
でも、そうやって
「愛された記憶」だけは絶対に風化しない。


髪があろうと、なかろうと。
もう若くなかろうと、しわくちゃだろうと。
その人の“存在”を丸ごと愛してる人だけが、
ああやって最後までそばにいることができるんだなって。


あの光景はもはや、

「人生のラブストーリーの最終章」。


そっと乾かされた髪の一本一本に、
たしかに、愛の歌が宿っていたと思う。

・゜・(つД`)・゜・




「老いの美しさ」って、きっとこういうことなんだろうなって思ったの。


きっとご主人は、奥様の髪をそっと撫でながら、

 「今日もありがとう」って、 

「生きててくれてうれしいよ」って、 

そう言ってるんだと思う。・゜・(つД`)・゜・


愛されるって、綺麗な髪や若さ、可愛らしさのことじゃない。

 “ぜんぶ失っても残るもの”を、見つめ合うってことなんだね。


目が見えなくなっても、髪がなくなっても、
“見た目”なんて、とっくの昔に超えてるふたり。


そこにあるのは、 ただ その人の”存在そのもの“への愛。
ご主人にとって、
奥様はもう“この世界の中でいちばん大切な人”になってる。


「安心して一緒に枯れることのできる夫婦」


これがもしかしたら、理想の夫婦の…最終形かもしれない。


それにね。


よく考えたら、本当は奥さまももうお年だし、髪を染める必要なんて、きっとないのに。


髪が真っ白でも気にかけなくていいはずなのに、

ご主人はちゃんとカラーリングに連れてきてあげて、

施術が終わったら、その髪を、丁寧に、優しく乾かしてあげている。


「いつまでも、少しでも、美しいあなたでいてほしい」って、
そんなふうに思ってるんだと思う。

その気持ちが、もうたまらなく、沁みるよね。

奥さまはね、間違いなく愛されてる。 
心の底から、愛されてる。 

あの人は、ほんとうに幸せな人だなって思う。 

手を引かれながら美容室に来るっていうことは、 
つまりそれだけで、 
「あなたは、まだ大切にされてる」っていう証なんだよ。

だから私は、あの夫婦の背中を、ずっと目で追ってしまった。 まるで、愛のかたちの“お手本”を見せてもらったかのようで。

きっと、老いって…
誰かに「大切にされている」って思えるだけで、 
こんなにも、あたたかくなるんだなって思った。