呉服屋になって良かったなあと思う事。
呉服屋に25年間勤めていて、最近特に感じているのが「呉服屋は楽しい」と言うことです。
この年になり、やっとだんだんわかってきました。
今日も私の担当のお客様がおふたり、お誂え下さったお着物のご納品にお越し下さいました。おふたりとも、お出来上がりにとても喜んでくださったのは勿論のことです。最高の笑顔を見せて下さいました。
呉服屋とお客様とのお付き合いは長いこと続きます。会話は着物の話ばかりではなく、ご家族や趣味のことなど、雑談の内容も多岐にわたります。お店にお越しいただくと だいたい1時間くらいはお喋りが続きます。
今日のお客様のお一人目は50歳の介護士さんです。お出来上がりの着物をまずはどこに着て行こうかという話になり、9月の結婚記念日にご主人とふたりで箱根の富士屋ホテルに泊まる予定があるから、その時に一緒に着物を着たいとおっしゃっていました。
あとは最近買われた小さな小さなティファニーのバッグのお話(そんな小さなバッグに何を入れるのかということ)、ご主人が今月買うご予定の100万円以上するタグホイヤーのお話(子供の頃にみた映画でずっと憧れていたらしい) 、女性が持つならカルティエの時計がおすすめよというお話などで盛り上がりました。

私の知らない世界をお客様から色々お話しいただけると知識が広がります。💕
もうおひと方は60代の元保健師さん。お嬢様が書道の先生をなさっているので、土曜日は年長のお孫さん(女の子)をつきっきりで面倒見ているのだとか。お喋りが好きな女の子で、シルバニアファミリーのおままごとをずっと お付き合いしてあげるのだそうです。
私「私も子供が小さい頃は、凝りましたよ
。ほら」

本棚を改造した写真
私「子供のために何かを作っている時って本当に幸せですよね
」

お客様とふたりで子育ての思い出話に花を咲かせました。
こうして毎日お客様に囲まれて、様々な話題で楽しいひとときを過ごせるということは、本から知識を得るのと同じぐらいに勉強になります。
そして何よりも私がお客様を大好きであり、お客様も私を好ましく思ってくださっているということ。そのような関係に日々包まれている幸せ。
「呉服屋さんにお勤めさせていただいていて、私は幸せだなあ」と思う瞬間であります。
それに毎日素敵な着物を着られるし。💕(all自腹ですが
)

私はこの仕事に向いていたんだなあと思うのに25年間もかかりましたが、やっと適職に巡りあえたんだなあと幸せをかみしめる 今日この頃であります。(仕事を本当の意味で楽しめるようになった)
↓本日のお着物です。(帯更紗半幅、着物野蚕糸夏物)