こちらの本を読了致しましたが、私にはちょっとハイレベル過ぎる一冊で、文章の意味を理解しながらついていくのに精一杯、読み終えるのにはいつもの4倍ぐらいかかりました。ぐへっ 昇天
著者はペンシルベニア大学国際経営学教授の"マウロ・ギレン"教授です。

こちらの本は2021年に出版されましたが、大胆にもこれから起こりうる2030年を見事に予想しています。

以下青字は本書より引用
「アジアのミドルクラス市場が、アメリカと欧州を合わせた規模をしのぐ。男性より女性の方が多くの富を所有する。産業ロボットが製造労働者の数を超える」

「今後は一定の割合の高齢者が介護者を必要とし、その介護者がロボットである場合には、そのロボットは様々な言語を多様なアクセントで話し、自分の意見は押し通さず、 休みは取らず、高齢者の金融資産を騙し取ることもなく、 精神的や身体的に虐待することもない」

なるほどー。私の人生の最終的な絵が見えてきました。 夫亡き後に必ずや何十年も一人ぼっちになる私は、とうとう体が動かなくなった後には、介護ロボットとふたりで暮らせばいいんだわ。照れ その頃には視力も落ちて本を読むこともままならなくなるだろうから、ロボットに本を読み上げてもらって、その感想をロボットと共に語り合おう。

お料理やお掃除やお洗濯、入浴の介護に下の世話に至るまで、ロボットのお世話になれれば何も不自由はありません。あとは"孤独"との向き合い方だけれど、私には読書の趣味もあるし、編み物や手芸なんかをロボットに教わりながら、細々と最後の時に向かって暮らしていけたら御の字です。

「ますます多くの女性が学校教育を受け、家庭の外に活躍の場を求める。そして産む子供の数が減る。いつのまにか男性より女性の富豪の数が上回る。富はますます都市に集中する」(本書より)

P27より( 今後の世界の人口推移)

今日先進国で1人の子供が生まれるたびに、新興市場国と開発途上国では9人以上の子供が生まれているそうです。世界の最貧地域においての栄養不足や疫病による子供の死亡率も下がり、世界の人口動向の流れはガラッと変わっていきます。

P113より 今後の世界のミドルクラスの購買力は、EUやアメリカが下がっていく。

所得の低い家庭で育った若者も、子供を育てることにを不安を抱き、子供を持つかそれともそのお金を他のことに回すのか悩みます。(私の職場でも「子供はいらない」という20代女性の声を聞きます)

「経済発展が最善の避妊薬」p36

今や「子供に人並みの教育」を与えるためには、莫大な お金がかかります。私の住む地域(田舎)では、子供を私立中学に通わせる親は100人に1人(1学年にひとりびっくり)くらいですが、都会では2人に1人が私立中学に入学するような地域もあるようです。

しかしながら東京にいる若い世代のご夫婦が、本当に今までの世代と同じように「家や車を所持したり、子供に高い教育費用をかけたり」を同時進行でこなすことは、収入的にも大変難しいのではないかと思います。(ミドルクラスがミドルクラスをキープしていくことが難しくなっている)

そして今後の大きな流れとしては、「所有よりも共有」が 主流となっていくだろうとのことです。家や車の共有、 仕事の共有(定職につかずにウーバー化)、 所有からレンタル思考へ、アプリ中心の共有経済へと移行していきます。

「これらの変化は人口動態と技術の大きなシフトと符合し、社会秩序の大規模な変化につながるのかもしれない」

私のいる呉服業界も「新作の産地着物」は高額であり、ユーズドで「かつての高額商品」を手に入れる方が人気です。振袖はレンタルの割合が高いです。浅草や京都などもレンタル着物で歩くのが流行っていますね。あと何十年後には「新作着物を所有する」という価値観はガラリと変わっている可能性もあります。

2030年まであと6年。子供達が社会人となって出ていく頃には、世界がどうなっていくのか、楽しみであり不安でもあります。