精神科医の香山リカさんの本を読んでいて、驚いた一節がありました。

  写真 香山リカ氏


現代の格差社会における「勝者総取り化」現象。


米アップル社では、本社勤務の社員の報酬は時給換算で50ドル、中国でアップル製品の製造に関わる行員は時給 1.75ドル、ストックオプションを持つ 幹部の資産は50億以上であり、同じ会社の中でも二極化が起きていると指摘しています。勝者が全てを総取りし、下々はわずかな分け前で暮らすような「勝者総取り化」はこれからも広がっていくであろうとされています。


香山氏はこの「勝者総取り」は現代になって現れたものなのではなく、動物界では当たり前に起きていると紹介していました。


~オットセイのハーレム~

オットセイは1頭のオスと多頭のメスによるハーレムを作ります。1頭の強いオスに対して平均20頭ものメスが集まるのだそうです。

まさに大奥です。

2008年のNHK動物番組「ダーウィンが来た」によると、 ハーレム形成の前には、オス同士の争いが繰り広げられ、 勝ってハーレムを形成できるオスは全体の2割ほどだそうです。

戦いに負けた「あぶれオス」は、しばらく 海岸に留まりハーレムの様子を伺っているものの、勝ち目がないと悟るとハーレムの周辺から姿を消そうです。

そして「負け組オスの村」を作って一生を過ごすのだそうです。番組ではその丘を「傷心の丘」と呼んでいました。 負けたオットセイたちは、その丘で一生子孫を残すこともないままに生涯を終えていきます。

一方勝ち残ったオスはハーレムにいるメスに平均15頭の 子供を産ませます。20頭×15頭、約300頭の子孫を、たった1頭のオスが残すのです。

まさに「勝者総取り」の世界です。これはオットセイに限ったことではなく、ライオン・ヒヒ・インパラ・キジ・孔雀・クマノミなど、哺乳類から鳥類魚類までに見られる現象だそうです。

現代の日本社会においても「交際経験なし」という20代の男性は46%にのぼるそうです。


それに対して不倫を経験したことのある既婚男性は4割に登るというデータもあります。びっくり(本当ですか?)

日本における生涯未婚率も急上昇していますが、女性の方が未婚率が低い理由は「離婚した男性が再婚を繰り返す」からだとも言われています。
下図参照記事

日本はこのまま「オットセイ化」して良いものなのでしょうか。「傷心の丘」で暮らす未婚男性たちに、幸ある社会政策を願ってやみません。