こちらの本を読了致しました。照れ
この本は本山勝寛さん(現在43才。親が家にいない収入ゼロ状態から奨学金を受けて東大→ハーバード大学卒業)が2018年に書かれました。お金がなかった彼にとっては、奨学金は自分にとって絶望ではなく光だったと言っています。その光があったがゆえに今があるのだから、奨学金を「絶望」としてではなく「希望」として語りたいと言っています。そのためにはどうすれば良いのかということを考える一冊です。

参照  現在の日本の大学進学率は男女ともに6割ほどです。(図表参照記事より)

日本の大学生の半分は奨学金を受給していますが、その大半は『貸与型奨学金』です。 日本学生支援機構では奨学金返済の滞納期間が3ヶ月以上続くとブラックリストにのってしまうそうです。

こちらは↓ 日本学生支援機構による奨学金延滞に関する図表です。

奨学金を借りた学生の2割が奨学金を延滞した経験あり。

延滞者ほど年収が低い割合にある。
奨学金の延滞者ほど非正社員率が上がる。

↓ こちらは大卒から正社員になった人の割合です。大卒女性の正社員割合は66.5%という結果です。

せっかく高い奨学金を借りて大学を卒業しても正社員になれず、貸与型奨学金の返済に苦しむ人もいます。

参照記事 (以下は参照記事より引用)
奨学金の返済を9ヶ月延滞すると一括での返済請求が入り、さらに滞納が続くと家や財産、給料の差し押さえとなるそうです。差し押さえは借主本人だけでなく連帯保証人の財産や給料も対象となるそうです。(強制執行)

どうしても返済が遅れてしまう場合は返済する期限を猶予する制度や返月々の返済額を減額する制度がありますが(返済期間をのばす)、
それが認められる条件はかなり厳しいものとなっています。↓

『学生支援機構』が貸してくれる奨学金なのだから、遅延しても大目に見てくれるかと勘違いしがちですが、本当に返せなくなると債務整理(『自己破産』『任意整理』『個人再生』)をしなければならなくなりますので(保証人も同様)、かなりの負担がかかります。

日本の新入社員の初任給の平均額は18万円です。そこから税金が引かれると手取り額はおよそ14.5万円となります。
日本の奨学金の月々返済額の平均額は16000円で15年間です(平均310万円)。上記のモデル家計簿によれば、ちょうど貯金や予備費の16,000円が奨学金返済にあたり、奨学金返済中は貯金すらも難しいという計算になります。

22歳で卒業し15 年間かけて返済すると、37歳で完済です。 男女ともに奨学金がある状態で女性が結婚し仕事を辞めてしまうと、男性が月々3.2万円を37歳まで返していくことになります。

この重荷を大学に進学する約半分の学生が負わなければならないのは、大変に大きな問題だと思います。奨学金を返済する20代 30代にとって、結婚の足かせや子供を産むことへの躊躇になってしまいます。

大学を卒業しても35%は非正規社員である女性にとって「手取り14万円で1.6万円を15年間返し続ける」ということを、高校3年生の時点で受け止めなければならないということは大変な決断であると思います。

将来に夢を抱き大学を卒業した若者が、大学卒業の時点で借金を背負う者・背負わない者に分かれているのも不平等な気がしますが、この格差問題をどのように改善すべきなのか、その財源をどこから出していくべきなのか。

「奨学金を絶望としてではなく希望として語れるようになるために」、本山氏は著者のなかで様々な政策を提案されていました。