こちらの本を読了致しました。

作者は脳科学、加齢医学研究所教授の川島隆太さんです。

人間の脳において「前頭前野」は大切な場所で、前頭前野の働きが未熟だと「うまく思考できない、キレやすくい、コミュニケーション能力が落ちる、決断力が落ちる、怒りっぽくなる、 記憶力が落ちる」などの症状が現れるそうです。(ADHD、LDや認知症とも関係がある)
川島氏が行った研究によると、脳は難しいことを考えている時よりも、単純な計算や音読をしている時の方がはるかに活発に「前頭前野」が働いているとの事がわかりました。
脳は沢山の刺激を受けるほど鍛えられていき、「読み書き計算」といった基礎学習が子供達の脳の発達には大きく関わっていくそうです。( 読み書き計算の基礎学習による脳機能の改善は、認知症の患者さんにも当てはまったそうです。)
「前頭前野」が大人と同じになるまでには 20年かかるため、この前頭前野をしっかりと健康に育て上げることが 教育の意義であると川島氏は綴っています。
P84引用
ここ十数年、学校教育の中では、ある意味で読み・書き・計算のような学習が避けられてきました。「押し付けになる」「つめこみだ」といわれ、それよりも「考える力をつけること」「 生きる力を育てること」が強調されました。
しかし、読み・書き・計算の学習が基礎的なスキルを身につけさせることだけでなく、実は子供たちの考える力や生きる力( 想像力や自主性など)を司る前頭前野を育てることになっていたわけです。
↓ こちらは知的な障害を持つ子供たちに対し、公文を通して学習をさせた際のグラフです。これによると他者との言語コミュニケーション、社会的コミュニケーション、身辺自立のどれもが、公文のテキストを進めていくと同時に伸びていることが現れています。(本書より引用)
本書より抜粋p114
「障害児にとっては身辺自立の訓練や職業訓練へとつながる作業療法が、社会の一員として生活 をしていくためにとても重要なことです。しかし、読み書き計算の学習が、障害を持つ子供たちの脳を健常な方向へ 発達させる可能性があることも忘れないで欲しいのです。障害を持つ子供の場合、結果的にスキルが身につかなかったとしても、前頭前野を鍛えること自体に大きな意味があります。障害は脳の機能の弱さとして現れているわけですから、その点でははっきりと効果が期待できることが証明されているのです」
知的な障害を持つお子様に一生懸命勉強を教えておられる お母様に対し、「読み書き計算よりも、まずは 身辺自立の訓練でしょう」「いくらやっても理解出来ない事を教えても意味がない」などという声を聞くこともありますが、「読み・書き・計算」の練習を同時に行うことで、脳の機能を高めることができるという先生の言葉は、心強い応援となることでしょう。
私も娘の勉強を日々見守ることを通して、 娘の認知能力や言語力、思考能力などをしっかりと健康に育て上げる お手伝いができたらいいなと思っています。


