昨日に引き続きこちらの著書のなかで目を引いた箇所がありました。


 


女性受刑者の罪状の89%は窃盗によるものだそうですが、 高齢女性以外に摂食障害に苦しむ若い女性受刑者にも窃盗は多く見られる犯罪だそうです。

摂食障害と窃盗罪


本書 P 79 引用

摂食障害の人は裕福な家庭に育ち、成績が良く、高学歴の人が目立つ。半面、対人関係を築くのが苦手で、気持ちのコントロールができず、こだわりが強い傾向が見られる。家庭内虐待の体験を持つ人も多い。親の期待に応えようと必死になり、 子供らしい生活を送れなかったケースが目立つ。( 精神科医より)


摂食障害には遺伝や環境的な要因が複雑に絡むとされていて、摂食障害がある人の発達障害との合併率は2割前後と言われています。「痩せていなければ美しくない」「 これを食べて吐かなければいけない」という、 発達障害に見られる「認知の歪みによる強固な強迫観念やこだわり」にとらわれてしまうのです。


P80引用(40代の摂食障害による窃盗罪受刑者へのインタビュー より)


罪名はいずれも窃盗です。過食嘔吐と言って、たくさん食べて 全部吐くという症状です。たくさん食べるためにとても食費がものすごくかかる。お金がない、だけれど食べたい、吐きたいという欲求がすごく強くてそれに負けてしまった。


摂食障害は 20年、30年、40年と月日が経つうちに認知の歪みが固定化されてしまい、治りにくくなってしまう受刑者がとても多いそうです。


以下の記事には「発達障害者はなぜ依存症になりやすいのか?」という脳の特性と依存症の関係について書かれていました。


上記記事によると、ADHD(発達障害の一つ)の方は、ドーパミン(快感を司る神経伝達物質) がいつも不足しているために、やる気や集中力の低下がおこるそうです。(以下のイラストは上記記事より引用)

一方で 興味関心がある対象に対してドーパミン(快楽物質)が極端に多く放出されるため、自分の意思では抜け出せないほどにハマってしまうのだそうです。(依存症状態)
よってハマる対象物に対して「それがないと我慢ができない」状況になります。

「摂食障害という依存症」もまた、痩せることにより体重や見た目に明らかな成果があらわれ、強い達成感へのドーパミンが過剰に放出されている状態と言えましょう。


「 アルコール中毒・虐待やDV・ストーカー・薬物・ ゲーム・性依存・ 摂食障害・買い物依存・窃盗・ ギャンブル・ 新興宗教」など、依存症には様々なものがありますが、他者から見れば「全くもって理解不可能」な依存症の原因は、ドーパミン(快楽物質)の大量放出により脳の認知機能が歪んでしまうため、依存症患者本人にはもはや自己意志の力では止められない状態であると言えましょう。


ここまで依存症に陥ってしまう原因には、遺伝以外にも自己肯定感の低さやストレスなどの環境要因も起因するそうです。


こちらの記事でも書きました が、↓ 依存症の原因の半分もまた遺伝性のものだとしても、残りの4割の原因はストレスや自分次第であると思います。

( 人生を楽しんでいる人は年を取らないより引用↓)
( 依存症の原因の約半分は遺伝が原因・ 厚生労働省調査より↓)

薬物や万引き依存からの脱却に向けて刑務所内でも様々な治療が行われていますが、再犯はあとをたちません。「堀の中のおばあさん」や「刑務所内の受刑者」と依存症の関係性を考えさせられた一冊でありました。