こちらの3冊を読了致しました。↓

本日はカウンセラーの信田さよ子さんの、こちらの本について綴ってみようと思います。↓
長年カウンセラーとして活躍されておられる信田氏の一冊です。彼女曰く、カウンセリングに訪れる人々が抱えている問題の多くは、子供の問題や夫や妻、親の問題であります。
私が愛聴するテレフォン人生相談においても、大概の問題は 子供のひきこもり、不倫、夫のDVや借金、親との確執など"身近な人間関係の相談"ばかりです。
信田氏曰く、親の経済力がなければ 子供は薬物依存症や買い物依存症にはなれないそうです(本人たちにはお金がないから)。 親が 一定程度の経済力を持ち、子どもをその恩恵に預からせたから、依存症になったと言えるわけです。これをイネーブリング(助長)というそうです。
P5引用
(依存性は)親の経済力が原因と言っているわけではないが、必要条件であることは間違いない。私達援助者は、 お金を出し続ける親の事をイネーブラーと呼び、依存症の助長者と捉えたのである。
テレフォン人生相談においても、夫のDV に悩む奥様が 夫と別れられない理由に上がるのが"お金"の問題です。「自分自身に経済力がない」がために、吐き気がするほど横暴な夫に我慢せざるを得ないのです。
では、摂食障害やアルコール中毒・ 薬物中毒などの子供が、仕事もしないでいられるのは親のせいだからと、子供にお金を与えないようにしても、それはとても難しいそうです。子供は脅しをかけたり、自殺をほのめかしたり、親の財布からお札を抜き取ったり、万引きや消費者金融からの多重債務をしたり、大問題につながってしまうことが多々あります。
依存者の多くは、その親や夫や家族を憎みながらも、 「依存先の経済力なくしては生きられない」状態です。依存状態の子供は最終的に、「お前の育て方が悪かったせいで自分がこうなったのだから、 悪かったと思うならば金を出して償え」というロジックを 親につきつけるそうです。
本書の中には友達に生活費をせびられ、1千万円以上を貸してしまった男性が出てきます。つい先日聞いたテレフォン人生相談でも、結婚相談所で知り合った62歳の女性に1500万円を貢いでしまった68歳の男性が、それでも彼女と別れられないという相談がありました。 ホストに何千万と貢ぐ女性にしてもそうですが、「貢ぐ人々の心理」を信田氏はこう記しています。↓
P86
彼の家族を救う存在として必要とされること、唯一無二の存在として懇願され感謝されることがどれほどオサムさんの生活にとって大きかっただろう。強く激しく他者から必要とされることは、ある人たちにとっては欠損を埋めてくれる効果をもたらす。それは例えようのない快楽なのだ。
自分のためにお金を使うことが大好きな私にとっては、 どうしても理解できない「他人への貢ぎ」行為ではありますが。
ちなみに本書では、二十歳を過ぎた子供を自覚させるために家を出すことが常識である欧米での「若者のホームレス」問題が取り上げられていました。親が子供を自立させるために 突然別居をすれば、自立する力の無い子供は 生活保護やホームレスとなってしまいます。
P185要約
親がどこまで 子供の面倒を見るかという問いが生まれる。いつまで子供にお金の援助をするか、援助額をどうやって減らすかといった細かい見極めである。しかしそれは本当に難しい。私たちが実施している共依存のグループカウンセリングでも、それは難題中の難題だと感じている。
信田氏によると、子供にとって「依存しがいのある親」とは、言い換えれば「責めがいがある親」と言えるそうです。育児に意識的で子育てに一生懸命であった親ほど、 子供への罪悪感や不全感を抱いているそうです(質の高い親)。逆に子供を一切理解しようとしない、責めがいや頼りがいのない、お金を出してくれる見込みのない親(質の低い親)を子供は責めたりしないそうです。(親を責めたところで何のプラスにもならない)
↓こちらの YouTube は引きこもりを許す親の典型事例です。引きこもりの原因(4年も働いていない)を 母親にぶつける30代の息子ふたりを抱えて、一人で働き続ける母親。母親は「こうなったのは自分が悪いんです」と自分自身を責め続けています。
~ 上記の YouTube より抜粋~
回答者「母親であるあなたは、私の不幸を私は死んでも手放しませんと 思っているのですよ」
母親「じゃあ私はどう変わったらいいでしょうか」
回答者「貴方にあるのは依存心の塊です。あなたには甘えがあり、自分の惨めさを表現するしか表現方法がないのです。"私はこんなに辛い目に遭っています"という同情を引く話がずっと続くばかりで、不安と立ち向かう気持ちがないのです。息子さんとの共依存を解きましょう」
確かに子供に対して全力で子育てをしている(と自負している)私も、息子が 不登校になった時の原因の全てを「母親である自分」に課しました。「責めがい」のある母親に対して、息子も不登校の原因を「私の子育て」にしていたなあ。
本当は「不登校児童のママ」って、良いママが多いのですけれど。
依存症のお子様を持つお母様もきっと、原因は自分の子育てにあると反省し、子供を絶対に見捨てないからこそ「イネーブラー」(助長依存者)になってしまうのです。
そしてこの問題はひきこもりの問題とも絡み合います。
P228引用
引きこもりの事例に出会うたびに思うのは、親はどこまで子供の面倒を見なければならないのか、三十代・四十代の息子や娘から責められながら、果たして、親は同居を続けながら老いていくしかないのか、ということである。中略
「家族」という実態が存在すると信じてきた彼ら彼女たちの蓄えは、結果的にそれに依存して生きるしかない貧困化した息子・娘たちによって食いつぶされていく。
「家族のゆくえは金しだい」
子供がまっとうに自立してさえくれれば、こんなに有難いことはないのだなあと 思った一冊でありました。










