労働政策研究機構の主席統括研究員である濱口桂一郎さんの著者になります。



こちらは↓2021年に 内閣府が出したGGI( ジェンダーギャップ指数)の資料になります。


日本は156カ国中の120位(男女格差の割合)です。

その男女格差は主に経済や政治でみられます。

その割合は G7の中でも突出して低いものとなっています。

日本でも女性の72%が働いている一方で、非正規労働者が54%と男性(22 %)の倍近い非正規割合となっています。

女性は年齢が上がるにつれて、非正規雇用の割合が益々増えます。

正社員はワーママの約4人にひとりです。

世界と比較してもフルタイム労働者の男女賃金格差は大きいです。(女性の賃金が低いということ)

ちなみに私が勤めている会社での実感としては、ワーママで正社員は 全国にも数えるほどしかいない気がします。💦



著者はこの原因を日本独特の 雇用制度にあると述べています。日本での新卒一括採用社員は 欧米社会とは違い、特定の職務を遂行するために採用されるわけではなく、様々な職務を企業の命令に従って遂行することを前提にしています。

よって社員は 配属されるまで自分がどのような職務につくのかはわからず、 数十年にわたって企業に忠誠心をもって働き続け、どんな長時間労働や遠方への転勤も 喜んで受け入れることを 要求されます。

どのような職種や職場に配属されるかは 蓋を開けてみるまでわからないと言う「配属ガチャ」なる言葉もあります。運命は会社の手中にあります。


海外においては専門職採用が基本のため、結果こそが役職やお給料の評価対象となります。 これに対して日本では全部の仕事の流れを覚えてこそ一人前であり、勤続年数が長くなるほどにお給料がアップする年功序列制となります。

日本では幼い子供を抱えた女性は残業や転勤が不可能なため、正社員を辞めざるしかないという現実があります。

日本のジェンダーギャップ指数の低さは、日本型雇用制度に原因があると言えます。

「若い女性への手紙・上坂冬子」引用
私たちが会社に勤めている頃、女子社員は「職場の花」と言われるのが常識でした。花は枯れたら生けかえるべし。毎年4月には新しい芽が入社してくると言わんばかりに、女子社員は25歳をすぎると、はっきり冷遇されたものです。

1960年代には女性が結婚または満35歳に達した時は退職することを労働契約内容としたり、それを理由に女性を解雇する会社もあったそうです。

終身雇用制度のある会社は「結婚していつ辞めるかもわからない」女子社員に、男子と同じ訓練費用の投資や責任あるポストへの登用をしません。

私の会社でも子どもが生まれると女性社員はみんな育児勤務となり、役職を降りました。(時間的にも不可能な為)

ワーママが 子育てをしながら仕事をすることで「子供が熱が出た」と言っては仕事を休み、繁忙期でも定時に帰ることで、その職場の上司や他の社員が 多大なる迷惑を被る可能性があります。

職場の中心的な業務を担う「バリキャリ」がワーママとなり、「残業なし」「休日出勤なし」「突然の遅刻や早退や欠席」などをされては、職場としてはたまったものではありません。たとえ「バリキャリ」であっても、キャリアダウンや退職は避けられないのです。

「バリキャリ」が出産後にキャリアダウンをし、直面する現実は「マミートラック」です。どんなに優秀な女性であっても、出世コースから外れキャリアダウンを余儀なくされてしまうのです。



「日本の男女雇用が世界と比べてちょっと変わっている」のは感じます。私も「子供が中学卒業までは育児勤務可能」という雇用条件のもとに、正社員と子育てを両立してきましたが、その代償としての「マミートラック感」は否めませんでした。

「転勤」に関しても、全国転勤を選ぶ男性社員は出世しやすく、全国転勤不可の男性社員は出世コースから遠のきますよね。このあたりも日本型雇用の弊害を感じます。以前一緒にお仕事をした男性社員は「定年まで13回も転勤をした」とのことで、長年の単身赴任を余儀なくされていました。


日本の終身雇用は素晴らしい雇用制度 だと思います。しっかりとした福利厚生、長年勤めればお給料も上がり、退職金も手に入ります。これらの安定と引き換えに「会社への忠誠心」を求められてきた日本型雇用制度ですが、その弊害として男女格差があることも否めません。


今や「古くなった職場の花は生けかえる」ことまではされなくなりましたが、「孫娘が優秀で勉強を頑張っている」などと聞くたびに、「優秀な女性が結婚して子供を産んだ後に優秀であり続けることの難しさ」が頭をよぎり、ため息をついてしまう私であります。