累犯者(るいはん・ 罪を犯した人間が再び犯罪を犯し 有期懲役となること)が スーパーで300円のパンを万引きした際に 懲役6ヶ月の判決を受けて服役をしたらいくらかかるのか。

国選弁護人がつき裁判をかけられ、送検から1ヶ月の拘置期間を経た後、懲役6ヶ月の服役をすれば、概算130万円程の税金投入となるそうです。

無職の人間の窃盗率が高いこと

窃盗をした約半数以上が、処分を軽く受け止めていること(累犯につながる)

20年間で高齢者(65歳以上)の万引きは3倍に

高齢になればなるほど食料品を盗む割合が増える

これらのグラフを見ても「無職の高齢者が貧困に陥り、食料品を繰り返し盗んでしまう」という現状が推察されます。

(本書より引用)

P2引用
有期刑囚は満期になれば必ず社会に戻ってくる。無期刑囚にも仮釈放で社会に戻るチャンスが与えられている。社会復帰のチャンスがいくら与えられても、当人たちにそのチャンスを活かすインセンティブ(動機付け)が存在しなければ何の意味もない。

筆者は「社会から排除された人たちが生活する上で必要となるコストは必ず誰かが負担している」と述べています。

障害者施設運営のために行政が支出する額は一人当たりおよそ年間で300万円、刑務所における受刑者一人当たりの収容コストは年間約300万円、介護の必要な刑務所での費用は年間500万円、100万人いるとされる引きこもりの方々の労働力の損失は、年間で2兆から3兆円程度にもなるとも述べています。

P16
私たちがまず気づくべきは、「どんな人間でも社会から排除することは何の得にもならない」ということである。 社会に居場所をつくり、社会に受け入れることで、どんな人でも世の中の役に立つ。


P29引用
現在の刑務所は「悪い人」ばかりがいるわけではない。むしろ社会に受け入れてもらえない人たちの吹き溜まりと化している。長引く経済停滞と高齢化により、刑務所以外に居場所のない障害者や高齢者が年々増加しているのである。このまま放置すれば莫大な社会コストが将来の国民にのしかかってくるだろう。これは決して効率的な社会システムとはいえない。

著者の中島氏は「どのような人にも必ず得意分野があるのだから、絶対的に劣位にある人たちであっても、社会の一員として受け入れ 得意分野で社会に貢献してもらい、彼らの居場所を作ろう」と述べています。

すなわち「受刑者への更正保護」であり、彼らが出所後の働く場所を協力雇用主だけでなく、大企業も例外無く元受刑者の採用に取り組む必要があると述べています。(障害者雇用法に倣い)

実際に元受刑者の方が職場で一緒に働くことになって色々とお話させてもらったら、案外怖い気持ちもなくなるのかな?


障害者雇用促進法のように、従業員一定の割合に対して 元受刑者を雇用する法律を作ろうということですよね。

皆さんは、どう思われますか?
私個人としては「元受刑者を社会全体で見守って居場所を作って応援できる」社会は、良い社会だなあと思いますが。自分達が「リスクを被ってでも受け入れてみたい」と思える会社が どれだけあるのかということですよね。




俳優の高知東生さんは 覚醒剤で捕まった出所後に「俺の会社で働かないか」と声をかけてくれた人がいたのですが、他の従業員からの大反対を受け、働けなかったとお話していました。


何かしらの過ちを犯した受刑者が、出所後に社会の一員となり復帰していくことの難しさを投げかけています。

「我々(私)の生活や職場に元受刑者を受け入れられるのか」という重い問題が突き刺さりました。

(本書オビから)