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児童精神科医である筆者は、 多くの非行少年たちと出会う中で、「反省以前の子供」が たくさんいるという事実に気づく。 少年院には認知力が弱く「ケーキを等分に切る」 ことすらできない非行少年が大勢いたが、 問題の根深さは普通の学校でも同じなのだ。 人口の19%いるとされる「境界知能」の 人々に焦点を当て、 困っている彼らを学校社会生活で困らないように導く 超実践的なメソッドを公開する。
少年院の中で数百人の非行少年と面接を繰り返した筆者が、 非行少年たちに多くみられる特徴をまとめています。
1、「聞く力」「見る力」「想像する力」 といった認知機能が 弱いと うまくコミュニケーションが 取れず 対人トラブルにつながってしまう。
2、感情をコントロールするのが苦手で感情統制が弱い
3、 なんでも思いつきでやってしまったり予想外のことに弱かったり 融通が利かない
4、 自信がありすぎたり、なさすぎたりなどの不適切な自己評価
5 、人とのコミュニケーションが苦手
6、 身体的に不器用である
これらの特徴は、非行少年のみに当てはまる問題ではないのだと思います。 IQ が85未満とされる人は およそ全体の16%くらいいて、 標準的な1クラス35名のうちには5人いることになるそうです。 知的障害 としての認定を受けずとも境界知能と言われている 人たちは 支援を受けることなく 生きづらさを感じているのではないかと。
それがいじめや不登校や 引きこもり、 仕事が続かないなどの生きづらさに 直結していることもあるのではないかと思います。
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彼らは困っていても自分からなかなか支援を求めることはしません。 公的に障害を持っていると認定されるわけでもありません。 だから支援につながることは少なく、 仕事を転々としたり、 続かなかったり、 引きこもったり、 ちょっとした問題に巻き込まれたりと 生きにくさに繋がる可能性もあるのです。
私が勤務していた医療少年院はまさにそういった少年たちの集まりでした。 本来は大切に守ってあげなければならない障害を持った子供たちが、 学校で気づかれずに適切な支援が受けられないどころか、 さらに虐待を受けいじめ被害にあってきた、 そして最終的には加害者になってしまっていたのでした。
問題なのはたとえ認知機能や感情の統制力、 コミニュケーション能力や ワーキングメモリー、 身体的不器用さなどが低い事がわかったとしても、 今の学校教育の現場においてはその具体的な改善方法や改善の為のまとまった時間をとることはとても困難だという事です。また、医療の現場においても 結局は投薬治療といった対症療法しかなく根本的に治すことは困難である状況だということ。
お兄ちゃんは見る力が苦手です。右が小2妹。下が小6兄。漢字を覚える事も苦手です。
自転車に乗れるようになったのは、小学校4年生でした。不器用さがあり蝶々結びを教えども、なかなか理解が出来ません。

ただ、とても優しくて穏やかであり人を傷つけるような事は言いません。お友達とのコミュニケーションもとても上手です。時々見られる不器用さは彼が背負う生きづらさなのだろうかと心配にもなりますが、こういう子供が他にも沢山いるだろうという事です。これが普通なのかしら?
世の中における生きやすさや生きづらさは、確かに存在するのであろうと思います。他人がフォローをしきれない部分です。お兄ちゃんの不登校の原因も繊細なだけではなく、これらの能力の弱さにも原因があるのではないかと考えてしまいます。
世間一般のスピードについていけずに遅れてしまう人達がいるということ。そして、境界レベルでは確実にその支援の対象からは漏れてしまうということ。その生きづらさがいかほどのものであるかということ。
生きづらさの原因とは千差万別であり、大なり小なり誰もが抱えながら生きていくのだとは思います。基本的には自力で自立していく事が求められますが、そこから気付かれる事なく弾かれてしまう少年達がいるのだと言う事はこの本を通しても感じました。息子の不器用さが将来への生きづらさに繋がらなければと、切に願う母なのであります。(みんなそうかな?
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