2014/3/5 6:00

 北海道旅客鉄道(JR北海道)のトップ交代が4日固まった。社長には、グループ会社のJR北海道ホテルズ社長に2年前に転じた島田修・元常務(56)が復帰する。営業畑で、いずれも社長を務めた坂本真一、中島尚俊両氏の流れに連なり、かねて社長候補と目されていた。総務畑の経験も豊富で、問題視されてきた労使関係の改善にもあたる。

 会長にはJR東日本元常務の須田征男・東鉄工業相談役(70)が就く。就任は4月となる。

 島田氏はJR北海道で営業畑が長い。民営化直後に坂本氏と中島氏が営業部の部長と課長だったのと同様に、中島氏が営業本部長だったときに島田氏が部長を務めた関係にある。

 坂本―中島―島田の3氏は社内外で1つの流れと見られ、鉄道収入の底上げに力を入れてきた。2012年にグループ会社に転じるまでは将来の社長候補のひとりとされていた。

 グループ会社に出た契機とされるのが11年の石勝線トンネルでの脱線火災事故と、その後の中島氏の自殺。当時、島田氏は常務総務部長として労働組合を担当し、事故後に発覚した時間外労働を巡り労使交渉は難航した。島田氏が労組に厳しく対したが、労使の信頼関係を築けなかったと指摘する声もある。

 そもそもOBを含めても内部昇格では社長候補が限られていた。技術系で保線畑だった1979年入社の野島誠社長の前後で、国鉄時代の本社採用にあたるキャリア組の事務系は数少ない。OBでは元専務の栗原進・北海道キヨスク社長が77年入社、島田氏は80年入社だ。

 社内に残る役員も、81年入社の小山俊幸常務の次は、85年入社の綿貫泰之取締役総務部長まで飛ぶ。JR北海道で長く経営陣の一角を占めた島田氏は復帰後に再び労使関係の再構築を迫られる。



安全な鉄道「結果伴わず」 JR北海道社長の退任会見

2014/3/7 23:43日本経済新聞 電子版

 政府が北海道旅客鉄道(JR北海道)の次期社長と会長の人事を決め、退任する野島誠社長(57)は7日、札幌市の本社で記者会見した。レールの検査データ改ざんなど不祥事が続き、課題の安全な鉄道の確立について「全力を尽くしたが結果が伴っていない」と述べた。経営陣を新体制に移して安全な鉄道を構築する認識を強調した。

 野島氏は会見で「2月中旬ごろ辞任の意向を固めた」と話した。辞意を固めた理由に、1月下旬の国土交通省による監督命令や事業改善命令、2月に同社が鉄道事業法違反で告発を受けたことを挙げた。「鉄道事業会社の資質を問われる状況を招いた責任をとる」と説明。政府による更迭ではないとの考えを示した。

 会見に同席した小池明夫会長(67)は「保線の現場などの実情をもっと把握すべきだった。詰めが甘かった」と反省を口にした。

 次期社長に決まった元常務の島田修JR北海道ホテルズ社長(56)について野島氏は「安全の問題を中心に先頭に立って課題を解決し、リーダーシップを発揮してもらえると思う」と話した。

 同社は3月下旬、国に今後の事業計画を提出する予定。野島氏は「島田新社長と打ち合わせながら作る」と話し、新体制との連携を急ぐ構えだ。

 2015年度末にはJR北海道管内で初となる新幹線が開業する予定。地元・函館は低迷する地域経済の再生の切り札として「2年後に予定通り開業してほしい」(経済団体関係者)と切実。函館市の工藤寿樹市長は「安全を第一に早く立ち直ってほしい。遅れている並行在来線の経営計画策定へ協力を」と述べた。

 JR北海道の保線管理に詳しい上浦正樹・北海学園大学教授は「安全投資はまだ少ない。新経営陣は課題を1つひとつ乗り越えていかなければならない」とする。北海道商工会議所連合会の高向巌会頭は「困難な時期の社長就任となる。我々も応援するので経営全般について頑張ってほしい」と再建に期待を込めた。

 現社長と会長は4月1日に開く臨時株主総会で辞任する。総会後の取締役会で次期社長と会長を選任。同日中に国交相の認可を得る。




 与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(PT)は27日、衆院議員会館で会合を開き、北海道新幹線など整備新幹線3区間の完成時期の前倒しを目指し、7月上旬までに工期短縮案をまとめることを決めた。
 3区間は北海道新幹線の新函館-札幌間(完成予定2035年度)、北陸新幹線の金沢-敦賀間(同25年度)、九州新幹線の武雄温泉-長崎間(同22年度)。新函館-札幌間は北海道が5年以上、金沢-敦賀間は福井県が3年以上の工期短縮をそれぞれ要望している。(2014/02/27-20:11)