岡山大などは29日までに、がん細胞だけを破壊するよう遺伝子改変したウイルスを使った食道がんの治療薬を開発し、厚生労働省に製造販売承認を申請したと発表した。臨床試験(治験)では、放射線治療との併用で単独を上回る有効性を確認。承認されれば世界初といい、抗がん剤などの標準治療ができない患者への活用が期待される。
岡山大の藤原俊義教授(消化器外科)らが開発したウイルス製剤は「テロメライシン」。風邪ウイルスの一種であるアデノウイルスの遺伝子を組み換え、がん細胞だけ攻撃するようにした。
ウイルスは1日で10万〜100万倍に増殖してがん細胞を破壊、さらに放射線治療の効果を高めることができたという。
チームは2002年から研究を開始。20年からは、抗がん剤治療や外科治療が難しい患者を対象に、放射線治療中に内視鏡でテロメライシンをがん細胞に3回投与する治験を実施した。
その結果、18カ月後に36人中18人でがんが消失。国立がん研究センターによる臨床研究では、放射線治療単独でがんが消えたのは約2割であり、効果は明らかとした。
抗がん剤のように吐き気や免疫低下などの副作用がなく、内視鏡を口から挿入するため切開も不要。体への負担を最小限に抑えられるという。
承認申請は岡山大発のバイオベンチャー「オンコリスバイオファーマ」が実施。早ければ26年中の実用化が見込まれ、富士フイルム富山化学が販売する。藤原教授は将来的に他のがんにも広げたいとし「抗がん剤や外科手術にプラスすることで、もっと効果を発揮する組み合わせを研究したい」と話した。
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