この機材(トレーニングマシン)は、私が射撃競技に専念している時代には無かったものです。・・・これは、コンピュータの進歩と共に開発された最新の機材です。
この様な近代的なコーチングマシンが出来たのも、射撃技術が一気に進歩した要因と考えられます。勿論、その様な機材を使用しコーチする指導者が(国内の)射撃協会内に増えたのも一因でしょう。

次の考えられるのは、銃器・装具の一段の進歩です。私たちが競技を行っていた時より、銃器装具が一段と進歩したように見えます。銃器メーカーも増えています。
例えば、射撃競技時に着用するコート類も、オーダーメイドでかなり考えられて作られています。ワールドカップとかで入場する選手を動画とかで見ていると、ロボットが歩いているように見えますが、それは射撃姿勢を取りやすく、かつ銃が安定するように作られているものであるという事がよく分かるのです。

勿論、見た目的には(素人にとって)「何じゃこれ」という印象ですが、精密射撃に最適なコートとして作られているということです。まさに、鎧のように身にまとい、体を固めているのです。

そして何より、射撃の運営・技術の進歩・記録の向上に最も貢献しているのは、「自動標的交換・採点機」の登場です。・・・この自動標的交換・採点機については、私の現役時代の1980年代頃から研究が進み、試作品が作られて来ましたが、その機材の精度が高まり大きな大会では(それらを)試合に使えるレベルまで普及してきたのです。
実際、YouTube動画を見ても国際大会ではほとんど、「自動標的交換・採点機」が採用されています。

かつて、私が現役の自衛官であった時代、今から30年ほど前ですが真駒内の自衛隊射場でも完全に自動標的交換・採点機が使用されていました。
実際に、この機材を使用して訓練を受けたことがありますが、とにかく便利で楽しいのです。何が楽しいかというと、直ぐに自分の撃った弾の弾痕を画面上で表示してくれるので、早く確認し次の動作に生かせるということです。

それまでの訓練だと、自分が撃った弾がどこに飛んでいったか分からない中で、最後まで訓練を続けるという感じでした。・・・撃ち終わった後で、採点用紙を貰い「自分の撃った弾の纏まり具合とか」を確認するという状態だったのです。

この、超便利で手間の要らない機材の開発はコンピュータの進歩によるところが大きいのです。昔のように、紙の標的を使用しないで全て電子的に処理できるように考案・作製されています。
その考え方は、以前のものから考えたら180度違うものです。・・・射手は、発射した弾の行方をその場で一発一発確認し、その都度修正しながら撃ち進めて行くことが出来るからです。

この、自動標的交換・採点機はそれまでの常識を打ち破る大会運営を実現させたのも特記される事項です。・・・それまでの射撃大会では射手が射撃を行う様子を(観客が)後方から、「ただ見ているだけ」だったのですが、この様に素晴らしい自動標的交換・採点機が出来たおかげで、一人一人の射手の発射した弾の行方を誰もが(モニターで)確認できるようになり、ゲーム感覚で楽しむことが出来るようになったということは、地味な射撃大会がエンターテインメントとして大きな発展・普及に繋がっていると言えるのです。
(つづく)