エアライフル銃で発射するのは、口径4.5㎜の鉛の弾です。「鉛の弾なら何でも良いのか」という疑問は当然出てくると思いますが、勿論精密に造られた規格品でなくては高い精度が出ません。
簡単に言うと、100発発射して100発とも10点に命中する弾じゃないと勝負にならないということです。

エアライフル銃(空気銃)と言えど、発射する鉛弾の精度が要求され、大体使用されているのはドイツのメーカーが主体です。・・・鉛弾の精度が悪いと、オリンピック競技などでは勝負にならないのです。

ライフル射撃競技の歴史は古く、第一回(1896年)アテネオリンピックから採用されています。銃器と弾薬の歴史は、近代文明の歴史と符合するのですから当然のことです。
銃器と弾薬、そして射撃技術に力を注がない国は(世界中には)存在していません。それらは、他国を攻めるという意味ではなく、自国を防衛することの第一歩と言えるからです。

1896年当時、精度の高いライフル銃と弾薬はすでに世界で完成・製造されており、時代の経過とともに更に精度向上に磨きがかかってきたという歴史があります。
競技用ライフル銃で、一番の命と言われる部分は銃身精度であり次に引き金の精密さです。誰が考えても分かるように、距離に応じて発射された弾丸が全て10点圏に命中させることが出来る精度がなければいけないのです。その為に、高精度の銃身を作ることが(まず)必要です。

また弾丸を、実際に発射する際最後のカギを握るのは「引き金の切れ」というものです。「引き金」の切れが悪いと、極端な話「弾がどこに飛んでいくか分からない」状態になります。
よく射撃の世界では、「がく引き」という言葉を使いますが、ゆっくりと引き金を引かずに一気に引くとそのような状態に陥ります。

そうすると、簡単な話「弾がどこに飛んでいくか分からない」という状態が出現します。知らない人には信じられないような話ですが、「がく引き」した射手の撃った弾丸は、時に「弾痕不明状態」になります。
これこそまさに、「弾がどこに飛んでいったか分からない」=的に全く当たっていないと言うことが起こる訳です。

現在では、素晴らしい切れ味の引き金を製作する会社が(世界中で)数社有ると思いますが、私が今でも記憶にあるのはスイスのヘンメリー社が作っていた「ターナー」と言う名前の銃です。
その引き金は、反応速度が500分(ぶん)の1秒と言うことで、引き金が「カチッ」と落ちる、大変優れたもので当然命中精度も優れています。

その名銃は、昭和48年(1973年)当時で値段が1丁100万円と言われ、日本に数丁しか輸入されていない貴重な銃であったと聞いたことがあります。
現在も同じですが、命中精度・引き金精度の高い銃は、現代科学技術の粋をかけて作られる精密機械であり芸術品とも言える一品です。

この様に、ライフル射撃に使用する銃器・装具の多くが精密に造られており、かつ高額であるというのも、競技普及の妨げになっている要因の一つに数えられています。
(つづく)