あと、「円(えん)キャリートレード(円借り取引)」というものがあり、ドル円相場に影響を与えているので少し書きます。
「円(えん)キャリートレード(円借り取引)」とは、「相対的に金利が低い円建てで資金を借り入れ、その資金を外貨に転換して運用する取引」のことです。

この取引は、上手く使えば(理論的には)「黙って儲けられる」性質のものです。・・・仕組みはこうです=(例えば)金利0.5%の日本の円を借りてきて、金利5.5%のアメリカ国債に投資します。
すると、黙って(誰でも)5%の為替差益を受け取ることが出来るというものです。

一般的に、「外貨に転換した後に向かう先は、外国債券や外国株式、原油などの商品先物、海外不動産、ヘッジファンド」など、借り入れた投資家の運用手法によって多種多様です。
「円(えん)キャリートレード(円借り取引)」が有効なのは、(ひとえに)日本の金利が極端に低いからです。・・・ただ、日本の金利が高くなってくると不利になるので、円ドル相場の「巻き戻し(揺り戻し)」が起こる可能性があります。

いま現在、経済の世界では「お金でお金を買って(あるいは、借りて)、お金を増やす」等と言うことが行われています。
その良い例が、FX(外国為替証拠金取引)であり、「円(えん)キャリートレード」です。
特に、日本円を借りて行う「キャリートレード」は、どんどん儲けて下さいと言っているようなものです。・・・ただ同然の利息でお金を借りてきて、(例えば)金利の高いアメリカ国債に投資すれば、黙って儲けることが出来るからです。(理論上は・・・)

ただ、ここに来て日本銀行が「金利を上げる」という話があり、一方でアメリカのFRBが「金利を下げる」という話が出ていますから、(金利差の縮小から)今までのように一方的な円安には進まなくなるという見方も出来る訳です。

この様なタイミングで、最近ドル円相場が急落してきました。・・・6月アメリカのCPI(消費者物価指数)の下落を受けて、ドル円は(それまでの)161円台半ばから一気に157円40銭まで売られて来ました。
未確認ながら、日本政府による為替介入の噂が出ています。・・・それも、断続的に介入を繰り返しているという噂です。

一気に4円近く円高に振れたので、円安に賭けてドルを購入していたFXのトレーダーは、ナンピン(相場が下がった時点で買い増しする行為)している者、あるいは大損を抱えた者など多数いる可能性があります。
今まで長い期間、「円安に賭けていれば、儲かっていた相場」ですが、ここに来てマーケットは急変しています。
この先のことは予測出来ませんが、(もしかしたら)長く続いた円安一辺倒から、円高方向に転換するというシグナルが点灯始めているのかも知れません。
(終わり)