この記事を書くにあたり、参考にする動画は「若林栄四 ニューヨークから金言」です。若林栄四(わかばやしえいし)氏は、相場に関係する人間以外は殆どなじみのない人物です。
私は過去に、若林氏が1994年8月に上梓した、『大円高時代 1ドル=80円台の恐怖とその背景』を読み、鋭い分析で当時の円相場を的中させたことに驚愕し、それ以来(時々)著書を購入して読んできた経緯があります。
最近目にしたブログ、「相場残日録(元相場師天の日記)」では同著書を取り上げ、「若林さんが一躍時の人になったのは、1994年に1ドル80円台の大円高を予想し、それが当時の円市場最高値である79円75銭を1995年4月実現を見事に的中させた」ことだったと書いています。
このブログの著者は、「当時 為替ディーラーだったわたしは、ドル円ショートポジションを79円80銭で買い戻したのが忘れられません」と書いていますから、それを仕事にしていた方のようです。
私も、相場に生かすために情報として為替を勉強し、(若林氏の)その的中率に本当に驚いた記憶があるのです。私は、何本か若林氏の動画「若林栄四 ニューヨークからの便り」を見ていますが、年齢も80歳となり最近は的中率が大分落ちている印象を受けます。
的中率が落ちたとは言え、参考程度に聞く分には問題ないので聞いていますが、彼の話によると現在のドル円は(せいぜい)164円位までの下落で終わるのではないかというものです。
同時に、現在住んでいるニューヨークの景気は悪く、アメリカ株も徐々に落ちていくだろうと予測しており、アメリカのFRB(連邦準備制度委員会)はゼロ金利を長く続けた「つけが回ってくるだろう」とも述べています。
そこで、ここでは「何が円安要因なのか」少し考えてみます。円安になる理由で大きいのは、FX(外国為替証拠金取引)が考えられます。
かの昔、日本人の婦人方が沢山FXに参入していたことを揶揄する言葉として、「ミセス・ワタナベ (Mrs. Watanabe)」または、「キモノ・トレーダー (Kimono Trader)」 という言葉が流行ったことがありました。
その名称がついたきっかけは、2007年頃「為替相場の方向性が、午前から昼をはさんで午後にかけて、反対方向(主にドル買い)へ振れる奇妙な現象がしばしば見られた。」からです。・・・その極端な相場を動かしていたのが「主に日本の主婦やサラリーマンなどの個人のFX投資家であり、(彼や彼女)達が昼休みを利用して一斉に「円売り・ドル買い」の注文を出していたこと」が原因であったことにより、欧米の報道機関がそのように名付けたのです。
「ミセス・ワタナベ」は、マーケットを動かす大きな力として世界の市場参加者の間で広く認識され、「大口のプロ・ディーラーでさえ、(その)ミセス・ワタナベの動向を侮れない存在」と見ていたと、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』に掲載されています。
日本では、「ミセス・ワタナベ」は兎も角としても、まだまだFXの個人トレーダーは多く、長く続いた円安トレンドで「円安方向に賭けたら」誰でも勝てるという相場になっているので、「ドルを買って円を売る=円安要因」で相場を張っている人間が多いと想像するのです。
(つづく)