読者の皆様は、「農林中金(のうりんちゅうきん)」という銀行をご存じでしょうか?
市中にある、一般的な銀行ではありませんから、ご存じないかも知れません。
この「農林中金」が、債券投資で巨額の損失を出したということで話題になっているので、それを少し書いてみます。

因みに私は、仕事をしながら仏教思想を学び、一方で「経済(特に金融)」を自分なりに学んで来たという経緯があります。何の分野でもそうですが、まず学ぼうと思ったら「言葉(専門用語)」を知らなければいけません。

分からない中で学んでも、中々身に付くものではありませんが、好きで興味があるなら「常識以上の知識」を身につけることが出来ます。
ましてや、生活に欠かすことが出来ない「お金」に関することですから、知っていれば色々と「自分自身の(生活の)助けになる」可能性があります。

まず、肝心の「農林中金(のうりんちゅうきん)」という銀行ですが、昭和18年に名称が現在の「農林中央金庫(のうりんちゅうおうきんこ)」に改められたと資料にあります。
農林中金とは、簡略して一般的に呼ぶ名称であり、正式名称は「農林中央金庫(のうりんちゅうおうきんこ)」と呼ばれます。

この銀行は、「農林水産業の協同組合等を会員とする、協同組織の全国金融機関として、日本の農林水産業の発展に貢献しています。」と資料にあるように、農林水産業の関係者が主なお客様ということになります。
資本金は、4兆401億円(2023年9月30日現在)で、(出資金は、会員から受け入れています。)とあります。

連結総資産額は、101兆9,539億円(2023年9月30日現在)で、会員は「JA(農協)、JF(漁協)、JForest(森組)およびそれらの連合会、その他の農林水産業者の協同組織等のうち、農林中央金庫に出資している団体。(2023年9月30日現在 3,249団体)」となっています。
これを見ただけでも、かなり規模の大きな銀行であることが想像出来るのです。

その大銀行の一つである農林中金の、何が問題なのかという話ですが、表だって出ているのは欧米の債権で「巨額の損失を出しているのではないか」という懸念です。
今年6月19日のロイターによると、「農林中金、今季に欧米国際10兆円規模で売却、赤字1.5兆円に」という報道が出されたからです。

赤字、1.5兆円というのは、相当に大きな数字です。はっきり言って莫大な赤字と言ってよいレベルです。
農林中金の会員は、農林水産業者の協同組織等です。そこに与える影響は甚大で、何より「このレベルの増資で、次の危機を収めることが出来るのか」という問題があるのです。
(つづく)
※この記事は、(その5)まで続きます。