ここで、なぜ私がアメリカの動きを書くかと申しますと、日本と違いアメリカの世論は真っ二つに分かれているという事実があるからです。すなわち、バイデン民主党の動きに追随していこうとする(ある意味)グローバル勢力の流れと、もう一方で起こっているのは共和党保守・愛国者の動きです。

古き良きアメリカを取り戻す。=メイク・アメリカ・グレート・アゲイン=MAGA(マガ)運動(アメリカ合衆国を再び偉大な国にする。 という選挙スローガンである)というトランプ元大統領の政治思想の流れは、保守的かつ愛国的なものであり、これから世界は多極化に向かう中で、他の国に余計な干渉をしないという流れが出来つつあります。

表だって公表されていませんが、世界的投資家であるジョージ・ソロス氏と緊密な関係をアピールしている所から推察する限り、小池氏の思想的流れはグローバリストのそれであり、やがて世界統一政府(ワンワールド)を目指すという方向性を持つ政治勢力であると観るのです。

そこで主導権を持つのは、グローバル・エリートと呼ばれる存在であり、少数の人間が世界の富と権力の寡占を握るということで、その代表格がアメリカ合衆国の情報技術産業GAFAM(グーグル・アマゾン・フェイスブック・アップル・マイクロソフト)の超巨大企業です。

この部分は、政治・経済の世界における世界潮流をいかに理解するかに関わる重要な問題なので少し詳しく述べます。
参考にするのは、『藤井厳喜(げんき)フォーキャスト2024予測』(藤井厳喜著・WAC刊)です。

著書において藤井厳喜氏は、グローバリズムという言葉の持つ意味について述べています。(以下、本書引用)
「本書でいう「無国籍企業的グローバリズム」とは、どういう意味だろうか。
それは多国籍から、さらに無国籍になった超国家的巨大企業が、世界を一つの巨大なマーケットととらえ、国境を無視して行動する、その行動原理のことである。

いわゆるGAFAM(グーグル・アマゾン・フェイスブック・アップル・マイクロソフト)のような 無国籍の超巨大企業にとって、個々の国家はビジネスのために邪魔な存在でしかない。
国家などない方が、彼らのビジネスには都合がいい。こういった無国籍な打算的な考え方を「無国籍企業的グローバリズム」と著者は呼んでいる。無国籍の超巨大企業にとっては、国家は彼らのビジネスを規制し、税金を取り立てる阻害要因に過ぎないのだ。
 
彼らにとって必要なのはグローバルマーケットであり、国家は彼らの自由な活動を束縛する存在でしかない。彼らはチャイナやロシアのような独裁的ナショナリズム国家を嫌うことはもちろんだが、先進経済国の民主的ナショナリズムをも嫌悪するのである。 

なぜならば、民主的ナショナリズムの国家においては、国民の大多数の利益を優先して政策が決定される。社会的弱者をも含む国民全体の利益、つまり、国益が重視されるのだ 
そうであれば、当然、国民的利益の観点から、政府は超巨大企業の活動を規制しようとする。適度に税金も徴収する。そして民主的な政府であればあるほど、一般国民の同意に基づいてこういった規制を行うので、超巨大企業にとっては、より厳格な規制に直面しなければならない。(中略)  

現在の国際政治経済を特徴づけている大きな力は、この無国籍企業的グローバリズムである。かつての国際関係論という学問においては、独立した国家間の利益の相克の分析が全てであった。
各国家は独自の存在として、国益を追求する。その国家間の合従連衡(がつしょうれんこう)、同盟関係や闘争など、それらを分析すれば、国際関係の実態は理解できたのである。 

しかし現在においては、そうではない。民主的国家と独裁的国家の戦いは確かに存在するが、それだけではない。そこに無国籍企業的グローバリズムというものが加わり、三つ巴の戦いとなっているのだ。このような分析枠組みを導入することによって、現在の国際関係を初めて正しく理解することができる。」(以上、『藤井厳喜(げんき)フォーキャスト2024予測』6頁~8頁引用) 
(つづく)