よーやく朝の通勤ラッシュを乗り切り電車を降て、イヤホンを外した。
俺の真上で8月の青空が蝉たちのシャウトを弾き返している。やっぱあちーなぁ〜……
「おっ、おはよーー」
俺と相棒は小田急線の鶴川で合流し、そっからバスだ
都会の喧騒を離れ、緑に囲まれた丘の上に、その現場はあった。
この現場に行くのは決まってこの二人。
番頭が俺らを指名してくるからだ………
「気に入ってくれるのはいいけど〜、、やらされるのは本来の仕事とぜんぜんちげーからホントかんべんだよなぁー(笑)」
とある大型施設の何部屋かのリフォーム。
もうずっと来てるから番頭からとくに説明はない。その部屋の鍵を受けとると、マスクをし、いよいよそこへ向かう。
建物の中はエアコンがきいててまだいい。
解体が終わった部屋のガラ出しが俺達に与えられた仕事。
ガチャっと玄関を開けると部屋の中はここだけ異次元。きれいな内装は跡形もなく床も天井もコンクリートむき出しで、高級感あるエントランスも花が飾られた通路も遠い別の場所かと思ってしまうほどだ。
積み重なりあう鉄屑。粉々のボードやベニヤや木材、パーチの山。間仕切りの扉達に畳。
そして大量のガラ袋。。。
窓から差し込む光の中で相当なホコリが舞ってるのが見える
窓をあけよう!!!ガララララララ
「壊す方はいいよなーー。壊すだけ壊してめんどくせーのは俺らにやらせやがってよーーー」
ただ、高い所にあるだけあって、ここからの眺めはなかなかいいんだよなぁ。。。
たくさんの緑があり、季節がさえぎられることなく見渡せるよ。
遠くを見ながらふと想いをはせたりもしたもんだ、、
おっと、よし!
さぁーやってやろうじゃねぇか!
うまく台車に積み、エレベーターで降り(運搬用のはなく、住居人が使うエレベーターを養生してだ)外にスタンバイさせてる軽トラの荷台に積む!………の繰り返し
何故軽トラに積むのかとゆーと、コンテナが600メートルくらい先の駐車場のすみにあるからだバッキャローーーー
平坦な道ならまだいいが、ひたすら下り坂が続くのと、台車で一回一回コンテナまで行ったり来てたりしてたんじゃキリがない(初めのころ番頭はそれをさせていたんだからァ〜〜〜んもう〜ニクいぜニャロメ。。。。。許さん)
建物の中はエアコンがきいてるとはいえ、それは解体がすんだこの部屋には無縁でござる。あちー!
あっちーーぜ!!!!!
ぅうおおおおおおおー!!!!!!
二人とも会話が減って来てる
他の仕事仲間が本来の現場で仕事終らせて次の現場に行ったり酒飲んでたりしてるってのに、こっちは、やってもやってもキリがない。
なぜって〜〜〜、この部屋のガラを出しきったら今度は同時進行中の別の部屋だからさ〜♪
だけど、当初は何日もかかってガラを出しきったのが、ここまでくると手際よく二日か三日であらまし(、、やりたくねーのに)やっつけてしまえるから………いいんだかわるぃんだか、、
まぁイイや、
軽トラの左右両はじを厚いベニヤだったりパーチを使ってあおりにして、積めるだけめーいっぱい積んだら
「よっしゃ!一発これで行ってこよっか!」
そーすると俺は軽トラの荷台に乗っかって、走り出すのをワクワクしながら待つんだよ!
やってらんねー仕事で………とはあんまり言わないほうがイイんだろうけど、、それでも、この時間だけはとにかく、たまらなく好きだった!!
天気がイイ日なんてもう最高だね
軽トラが走り出すと、汗だくになった体に風がなんて爽快なんだろう
夏休みの空だよ!
「このままどっか行きたくなるね」
よく荷台から言ってた
さいなら。軽トラの真夏よ
負けないくらいホットな冬がおとづれるぜ