続きで~す!
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~ウイルス~
部屋を出て驚愕した。The Worldはデータの世界じゃなかったのだろうか。現実世界とそっくり
な風景が見えた。しかも摩天楼だ。ただし、人の気配はまるでない。目的地のターミナルビルが
遠くの方で輝いている。この世界に太陽はないみたいだ。ネオンが光る闇夜のようだ。四人は辺
りを警戒しつつすばやく行動した。突然、辺りの空間が綻び始め、ビルの陰から巨大蟻と蛇の化
け物が現れた。
「あれがウイルスよ。地球上の生物を模ったものが多いの。多種多様で、種類によっては今のあ
なた達じゃ歯がたたないでしょうね。まあ、この程度の雑魚を片づけられないことはないと生き
て現実世界に帰ることなんてできないけれど。」
俺は冷静に俺達の戦力を分析した。雅紀はボクシング部、俺も剣道部でなおかつテニススクール
に通っているから運動神経だけなら自信がある。それに薫は射撃が昔から得意だ。あの口ぶりだ
と、今回は燕は手を出さないだろう。
「燕、馬鹿にするなよ。雅紀が蛇、俺が蟻を接近戦で相手の気を引くから俺達で倒せそうにな
かったら、隙を見て薫が裏に回って射撃してくれ。」
「了解。」
「任せて、隼人君。」
俺が刀を構え蟻と対峙し、雅紀が蛇に向き合った。薫はショットガンを構えつつウイルス二体の
背後に移動して隙を窺っている。蟻型ウイルスが爪で攻撃を仕掛けてきたが、難なく刀で攻撃を
受け、捌き、胴体を一刀両断すると蟻型ウイルスは消滅した。雅紀は蛇型ウイルスが噛みついて
くるのを左手のトンファーで牙を抑え、右手のトンファーで脳天に渾身の一撃をかました。する
と、蛇型ウイルスも消滅した。すると、いきなり出現したカラス型ウイルスが油断した二人の隙
をついておそってきた。しかし、気を緩めずにショットガンを構えていた薫が連射して撃ち落と
した。
「なんだ、やるじゃない。でも、戦い方を完璧に理解していないわね。ウイルスには必ず体のど
こかに紋章がある。大半の雑魚は胸に勝因があることが多いのだけど、まれに違う部位に紋章が
ある敵もいるから注意して。そこを攻撃すれば、一撃で相手の攻撃を待たずしてこちらが楽に倒
せるわ。」
「待ってくれ。紋章なんて意識してなかったけど、俺も隼人も一撃で倒した。薫だって、攻撃さ
れることなく倒せたじゃないか。まあ、蛇の紋章は脳天にあったみたいだけど。」
「雅紀君、それはあなた達がたまたま紋章を攻撃していたからよ。薫ちゃんは三発目が紋章に当
たったからウイルスが消滅したの。」
この戦いで無傷だったのはビギナーズラックだったわけだ。ここで、俺は戦闘中に気になったこ
とを確認した。
「もし、俺たちが相手にダメージを負わされたらどうなる?それに、相手が消滅したってこと
は、俺たちもやられたら消滅するのか?」
「人によって違うけど、データ化された今の私達の体だったら動きが鈍くなるわ。そして、この
世界での死は消滅を意味する。元の世界に生きて帰りたいのなら、紋章の見切りと防御のイロハ
を学ぶことね。」
「四ノ森先輩。相手がウイルスならワクチンがあるのでは?」
「薫ちゃんも賢いわね。そうよ、ウイルスに対してのワクチンは存在する。さっき、あなた達が
気絶している間に予防注射と同じように処置しておいた。だから、大概の攻撃はそんなにダメー
ジにはならないと思うけど。」
「もう一ついいですか。この世界でいる時間と現実世界はリンクしていて同じ時間を過ごしてい
るという訳ですよね?そうなると、私達は行方不明ということになると思うのですが。」
「本当に論理的で賢いのね。この世界と現実世界の時間は同時並行よ。つまり、私達は早く帰還
しないと、警察の行方不明者リストに載ってしまうでしょうね。夏休みだから、授業に害はない
でしょうけど、家族は心配するでしょう。ということで、先を急ぎましょう。」
始まりの部屋を出発して二時間ほど経って、正午になった。空腹に悩まされてもおかしくないは
ずなのに、まるで感じなかった。どうやら、本当にThe World内に空腹と言う概念は存在しないよ
うだ。改めて、俺がデータになってしまったことを実感した。
~闇の胎動~
隼人達が目指すターミナルビルの最上階に人型ウイルスが五人いた。五人のウイルスとは他
に、壁際に腕を組んで寄りかかっている者がいる。四人はローブで身を隠し、あと一人は玉座に
座っていた。ローブを着たウイルスの一人が口を開いた。
「ザムザ様。この世界にセキュリティプログラム以外の異物が入り込んだようです。パトロール
中の下級兵士三体の消滅を確認しました。いかがいたしますか?」
「ゲインよ。異物の確認を急がせろ。それがわれらの敵ならただちに消滅させるのだ。あと、そ
の異物の情報を洗っておけ。」
「はっ!状況によっては私も参戦する所存です。」
「好きにせよ。」
ゲインと呼ばれたウイルスは敬礼してから最上階の部屋から出て行った。それを見届けたあと、
玉座の主はつぶやいた。
「場合によっては奴らを利用するのも一計だ。」
視線の先には、行方不明とニュースで報道されていた人間達が檻の中に収容されていた。
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はい、今日はここまで!
次回をお楽しみに~