昨日に引い続いて続けま~す!
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~別の世界~
燕に起こされて目が覚めたら、俺は倒れていた。雅紀、薫も同じように。
一体何が起きたのだろうか。眩しくて目を閉じた瞬間に、何かに吸い込まれたような感覚がした
けど、目の前に広がる世界を見て、どこかに飛ばされたことを俺は確信した。
「おい、雅紀、薫。無事か?しっかりしろ。目を覚ませ!」
「うん・・・。隼人、何があった?」
「お兄ちゃん、これってどういうこと?」
「こうなった以上、訳を話すしかなさそうね。」
と、燕は言った。続けて、
「あなた達を巻き込んでしまったことについては、本当にごめんなさい。ここは、大まかに説明
すれば、コンピューターの中。データに統制されるもう一つの世界なの。」
俺はとっさに口を開いた。
「えっ、そんなこといきなり信じられるかよ!証拠をみせてくれよ」
「そうね。この部屋にあるものに触れてみて。」
俺が触るよりも先に、信じられないと言いながら雅紀が壁に触れると、
触れた部分だけが変化し、数字やアルファベット、記号の羅列が現れた。
「わかってもらえた?この世界はわたしたちの住む世界とは違うもう一つの世界なの。
父はここをThe Worldと呼んでいたわ。」
「データの世界、The Worldか。それにしてもわからないことが多すぎる。説明してくれ。
俺たちが今どういう状況なのか。なぜ、燕がここを知っているのか。」
「簡単な方から説明すると、私達は血や肉、骨でできた存在から0と1のような記号で体を形成
したデータになってしまったということ。体重という概念がなくなる、
つまり、喉が渇く、お腹がすくと言ったことがなくなったということね。」
「俺達の体は既にデータなのか?」
「ええ。実体に見えるけどね。もう一つの説明をするわ。」
「頼む。」
燕は説明を始めた。話によると、四ノ森財閥はコンピューターセキュリティのソフトからゲーム
ソフトまでありとあらゆるコンピューターサービスを売ることが主な商売で、燕の父つまり四ノ
森浩輔はコンピューター関連の研究の第一人者として業界でも有名な人物で、浩輔がコンピュー
ターネットワークの統制をはかっていたのだが、最近コンピューターネットワークにウイルス
が頻繁に出現しているのを発見した。そのウイルスが今までに発見されたどのウイルスにも当
てはまらない未知のウイルスで、一種類だけでなく何種類もいて、これは明らかに、人間の手に
よるものとしか考えられないと浩輔は考えて、財閥総出で特殊なディスクを開発した。
ここで、雅紀が口を出し、
「話を遮るようで悪い。それなら四ノ森がどんな方法を使ってかは知らないけど、わざわざコン
ピューターの中に来る必要はなかったはずじゃない?」
「雅紀君、話を最後まで聞いて。そのディスクを使っているうちにウイルスが学習して、ディス
クを無効化したの。」
「じゃあ、その効力を上回るものを作れば・・・」
その言葉を聞きつつも燕はさらに続けた。
「さらに、ウイルスたちはコンピューターを開いている人を無差別にThe Worldに取り込めるよう
になってしまったの。」
確かに、ニュースでも四ノ森財閥の技術開発局の局員も行方不明とは書いてあった。戸塚葵、藤
堂亘輝、松山千里、森下琢磨の四人の局員が行方不明になってしまったらしい。
「だから父ははさらにディスクを改良し、この世界でウイルスを倒すための武器とした。」
「ちょっと待って。ディスクってデータ保存や音楽とかに使うけど、この世界で一体どこにディ
スクを入れるのさ?」
「その問題を解決したのがこのディスクなの。このディスクには膨大な量の偽データが入ってい
て、このデータをウイルス本体にぶち込めばそれでウイルスを消滅できるの。」
「ウイルスがデータを食らうのを逆手に取ったということだな。」
「さすが隼人ね。物分かりが早くて助かるわ。そして、このディスクは使用者の武器となる。こ
のディスクを持ち、闘争心に応じて、このディスクはその人に相性のいい武器に変わるの。」
突然、燕はディスクを取り出して掲げた。すると、シャキンと音が鳴って、
ディスクが形を変えた。
「私の場合は弓矢。この矢がウイルスに触れると爆発して偽データを流し込み、消化不良で破裂
して消滅する。」
「なるほど、燕は戦いに来たってことか。じゃあ、燕の父さんはどこにいるの?」
「戦いにきたというのもあるけど、行方不明者の捜索も目的よ。父と私の両方がこの世界にいた
ら、現実世界で財閥を経営しつつこの世界に潜入した者のバックアップをすることができないか
ら、私と父は交互に潜入しているの。そして、必ず黒幕をつきとめる。」
「こんな状況下に俺たちは野次馬みたいに入ってしまったのか。」
「ええ。こうなった以上、あなた達を外に出すためには外の世界と繋がるターミナルビルを目指
すしかなくなったわね。
私一人なら他の帰り方で帰れるのだけど、あなたたち全員を返すのは不可能なの。私の携帯に道
具や武器は転送してもらえるようになっているのだけど・・・」
ここで、今まで黙りこんでいた薫が口を開いた。
「四ノ森先輩、じゃあ、その道筋でウイルスとの戦闘になりうるってことですよね。私達に武器
はないのでしょうか。自分の身を守るものがないことにはどうしようもないのですが。」
「薫ちゃん、わかっているわ。だから、あなた達がこちらに来て気を失っている間に、ディスク
を三枚転送してもらったの。これを三人に託すから、それを武器として使って。この部屋はわた
しがプログラムで作った、いわば隠し部屋だからウイルスの侵入はないと思う。この部屋で自分
の武器をそれぞれ確認しておいてちょうだい。」
三人はそれぞれディスクを構えた。まず俺から。
シャキンという音を立ててディスクが変形した。
俺の武器は日本刀だった。ディスクから変わった武器はディスクの時よりも重くなり、おそらく
日本刀と全く同じ重さなのだろう。
「じゃあ、次は俺だな。」
雅紀のディスクもシャキンと音を立てて変形した。変形する際に二つに分かれてディスクはトン
ファーとなった。
「俺はトンファーか。」
「次は私の番ね。」
薫のディスクも同じように変形した。どうやら銃みたいだ。
「私はショットガンね。」
「三人ともよく聞いて。ディスクからできた武器には仕掛けや特性があるの。例えば、この世界
ではプログラムによって銃や弓矢なら弾切れと言う概念がないから高速連射が可能なの。あなた
達も戦闘で確認して。武器の使い方くらいはわかるでしょ。」
「馬鹿にするな。」
俺の闘争心によって出た武器にはどんな特性があるのか。雅紀と薫も同じようなことを考えてい
るみたいだった。四ノ森によると、目的地はターミナルビル。それまでに、ウイルスとの戦闘は
避けられないらしい。頃合いを見計らって燕が
「武器は普段ディスクに戻すことができるから携帯には困らないはずよ。準備はいいかしら。こ
の部屋を出るわよ。」
そうして、危険な旅が始まろうとしていた。
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はい、今日はここまで!
続きをお楽しみに~