「群青と真紅」を楽しみにお待ち頂きありがとうございます✨✨
今の物語は少しづつ、少しづつ、二人の絆を紡ぎ、深めていくための大切な時間の流れになっております
その為大した事件が起きるわけでもないので、辛抱のしどころでございます🤣
実際のグテ同様、じれったさや二人の関係性にやきもきしてしまう所、またはドキッとする場面を楽しんで下されば幸いです💕
たまには挿絵っぽく二人の貴公子の画像を載せましょうかね❤️💙
前回のお話
《本文用語説明》
※ クレストレイル(Crest Rail)椅子の背もたれの上部
【テヒョンの素の姿】
己の弱さに呑み込まれるのだ
優しさなど「力」には及ばぬ
そなたは、だから、
永遠に苦しまなければならない
··········
・・・・・
ジョングク
ジョングク
ジョングク
ジョングク❗
ジョングク❗❗
「わぁっ!!!」
ジョングクは勢いよく起き上がった
胸の鼓動が激しく鳴っている
「ジョングク!大丈夫か?」
声がする方を向くとテヒョンが心配そうな顔をして、ジョングクの肩を掴んで覗き込むように見ていた
ジョングクの体は起きてはいるが、頭が覚醒していないようだった
「テヒョン様・・・・?」
「凄い汗だぞ、、どこか具合が悪いのか?」
汗と言われてジョングクは手の甲で頬や額に触れてみた
「いえ、体はなんともありません。・・・悪い夢を見ていたようです」
「そうか・・ドアをノックしても返事がないし、開けてみたら凄く魘されていたから、、驚いたぞ」
「ご心配おかけ致しました、、、」
ジョングクはやっと頭が目覚めてきた
そして、覚醒してきた頭の中に、眠りの中で聞いたあの言葉が巡る
『あの言葉は、何だったんだろう・・』ジョングクは誰が言ったかも分からない声の、その予言のような言葉に、何か心に引っ掛かるものを感じた
「本当に、、大丈夫か?」
真顔で考え込んでいたので、テヒョンが心配そうに聞いてきた
「あ、はい。大丈夫です」
ジョングクは我に返って返事をした
テヒョンは仕事を終わらせて、ジョングクの部屋に来たようで、書類をいくつか持っていた
「テヒョン様、お仕事は終わられたのですか?」
「うん。ああ!そうだ、ジョングクにも考えて欲しい事があって、それで終わってから直接ここに寄ったんだ」
そう言ってテヒョンは、ジョングクが座っているソファに書類を広げ始めた
そして書類を挟むようにして自分も座る
今後の領地の運営について、責任者、管理者、現場責任者で話し合いを持った
テヒョンとしては、縦だけでなく横でも連携を強めて欲しいらしい
しかし、【階級】を重んじる上層部は下々の者に運営の口出しは無用、という凝り固まった考えを持つ者がいるようで、、、ジョングクは昼食の席でテヒョンが下座に座る者達に、労いの言葉をかけたことを愚痴っていた上層部らしき者のことを思い出した
テヒョンは資料をジョングクに見せて構想を話す
あれやこれやジョングクと意見を交わしながら、その内ソファから降りて、降りたソファを背もたれにして座ると、そのまま資料の中に没頭してしまった
なんという集中力だろう!ジョングクは穴が空くのではないかという位に、資料に目を通し、入り込んでいるテヒョンを見て驚いた
それも丁寧に、丁寧に頁をめくっていく
二人の辺りだけが、静寂の空間になった
けれどそれは心地よい静寂だった
時折、紙をめくる音だけが聞こえるだけで、それすらも心地よかった
ジョングクも資料に没頭していると、しばらくして寝息が聞こえてきた
ふとソファの下に目を向けると、テヒョンの頭が前に傾いているのが見えた
そして資料を持った手はだらりと床についている
テヒョンは眠ってしまっていた
ジョングクはテヒョンをベッドに運ぼうかと思ったが、思い直し、ソファからそっと離れるとブランケットを探し出し、戻ってくるとそのままテヒョンに優しく掛けた
そして自分もテヒョンの隣に座ると、傾いたテヒョンの頭を優しく持ち上げて、自分の肩にもたれ掛けさせた
ジョングクの肩にテヒョンの頭の重さと体温が伝わってくる
肩に感じるテヒョンの重さに、爵位は違えど、当主としてお互いの肩に伸し掛かる責任の重さを重ねた
また、ジョングクにとって親交を許された大切な存在が現れた事で、守るべき責務のようなものも感じ、また一方では本当に自分のような者が、この方と友情を育んでいいのか、まだ葛藤していた
社交界の中では冷たく近寄りがたいオーラを感じるテヒョンだったが、ジョングクに見せてくれる素の姿は、純粋で真面目な温かい心根を持った青年だった
それはテヒョンが作った仕事の資料にもよく現れていた
きめ細かく分析された内容には、身分に関係なく各個人の適性に沿った役割が事細かく記されている
人を見る目が優れているからこそ、社交界での《裏表》がひしめく空気を人一倍感じてしまうのだろう
テヒョンの冷たく近寄りがたいイメージは、彼の鎧なのだとジョングクは悟った
【二人の距離】
かなり陽が傾いてきた
テヒョンの宮殿に張り巡らされた窓に夕陽が反射して、宮殿自体が金色に輝いていた
宮殿の中では、蝋燭の灯りが灯され始め、装飾が施された美しい内装に、より重厚な趣きが増して見える
スミスが近侍を伴ってジョングクの部屋に来た
テヒョンの部屋は本人が不在だったので、こちらにいるものと思って二人分のショコラショーを持ってきていた
しかし、ノックをしても応答がないので『失礼致します』と声を掛けて扉を開いた
「おお!なんとお可愛らしい」
部屋の中を見た近侍が思わず声を上げた
「尊いお二人でいらっしゃるな・・・」スミスはそう言って思わず微笑んだ
「まるで本当のご兄弟のようでございますね、スミス様」
スミスと近侍の二人が思わず見入ってしまった視線の先に、ソファの下で寄り添いながら座って眠る、テヒョンとジョングクの姿があった
「いやいや、見惚れている場合ではない。お二人がお風邪を召してしまう前に、お起こししなくては」
「はい。」
近侍が慌てて持ってきたショコラショーのトレイをテーブルの上に置くと、スミスが持ってきた蝋燭を受け取り、部屋の灯りを灯していく
スミスが二人のそばまできてしゃがむと、テヒョンの資料を拾い集めてから声を掛けた
「テヒョン様、起きて下さいませ」
スミスの声にテヒョンが静かに目を開けた
そしてジョングクの肩にもたれて寝ていた事に気付き、更に自分の頭にジョングクの頭が寄り掛かっている事に気付く
『チョン伯爵・・』とスミスが言い掛けたのを制して、テヒョンは手をジョングクの頭に添えて静かに起きると、自分の肩にジョングクの頭を乗せてやり、それから話しかける
「ジョングク、ジョングク・・」
テヒョンの声にジョングクの目が静かに開いた
そしてテヒョンと至近距離で目が合って、慌てた
「ははは、今日は2回も君を起こしたよ」
「すみません、、いつの間にか寝てしまいました」
「お二人共よくお休みでいらっしゃいましたよ。お座りのままでしたが、お体は痛くはありませんか?ショコラショーを持ってまいりましたが、飲まれますか?」
テヒョンとジョングクは伸びをして体をほぐした
「スミス、ショコラショーもらうよ。ジョングクも飲む?」
「はい、ありがとうございます。・・しかし、日が暮れてしまいました。」
ジョングクがしまった、という顔をしたので、スミスが気付いてこう言った
「チョン伯爵のお屋敷に、使いの者を行かせております。今日もこのままこちらでお過ごし下さい」
「何から何までお世話になってしまって・・・」
ジョングクがそう応えると、テヒョンがジョングクに椅子を引いてやりながら
「結果的には、僕が君を足止めしているようなものだからね。君の用事が停滞してしまうような事になったら、逆に申し訳ないよね」
と言った
「いいえ、そのご心配には及びません。私はまだ父の見習いのようなものですので。」
ジョングクがそう言いながら、テヒョンが引いてくれた椅子を自ら引こうとして
クレストレイル(※)を掴もうとした時、テヒョンの手を掴んだ
するとテヒョンの手が一瞬ピクリとした
ジョングクが『失礼致しました』と言うと、テヒョンはニヤリと笑ってジョングクを見た
久しぶりに見るテヒョンのあの顔だった
ジョングクはつられて笑うが、直ぐに目を逸らしてしまった
「さ、どうぞ。お召し上がり下さい」
スミスの声掛けで、二人はテーブルに落ち着いた
二人揃ってカップに顔を近づけると、濃厚なカカオの香りが、テヒョンとジョングク二人の、いつの間にが高鳴り出していた胸の鼓動を落ち着かせた
「今夜のご夕食はこちらのお部屋にご用意しても宜しいですか?」
スミスが聞いた
「はい。お願いします」
応えたのはこの部屋に滞在するジョングクだった
ジョングクはあの広い食堂よりも、落ち着いたスペースの方が、テヒョンにとってはいいのではないかと考えた
自分が帰ればまたあの広い食堂でテヒョンが食事をすることには変わらないのだろうが、自分が滞在する時だけでもアットホームな食事を感じて欲しかった
「ジョングク」
「はい」
「・・・ありがとう」
テヒョンがカップを両手で持ちながら、ジョングクを真っ直ぐ見つめてそう言うと、ショコラショーをコクコクと飲み干した
テヒョンが何について『ありがとう』とジョングクに言ったのかは分からないが、、、多分、思いやる気持ちが通じてもらえたのだとジョングクは感じ取った