群青と真紅㉙【Magic Hearling】 | Yoっち☆楽しくグテを綴る♡

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アラフィフの生活や周辺で起きたことを書いています☆
そしてときどき
終活のガイドをさせていただきます

現在、BTSの底なし沼にハマり浸かっております
ガチガチのグテペンです
現在、テヒョンとジョングクをモデルに小説を執筆中☆

✡️作者の独り言🔯
実際のテテも、もしかしたら人生が変わるかもしれない・・・
ただ漠然と私はそんな気がしています
でもね、テテに悪意のあるものがどう動いても、テテの放つ光は増大するだけなんですよ✨✨👍✨✨
そして、グテを支える
グテペンは悪意のものからは挫けません
グテペンを自由に出来るのは
キム・テヒョンチョン・ジョングクの二人だけです🔥これは揺るぎないもの

この【群青と真紅】で活きているテヒョンもジョングクも、喜怒哀楽を存分に感じ、人間らしい生き様を魅せてくれると作者の私が証明しましょう💖


前回の物語


パリでも貴公子、王子様と讃えられている、生まれながらの真の王子👑
✤✤キム・テヒョン✤✤

物語の続きが始まります✨✨✨✨


【テヒョンの優しい風】


初冬に入った割には、穏やかな風が吹くプチ・パレスの昼間
空気の入替えのために、スミスがテヒョンがいるベッド側の窓を開け放っている

時折優しい風がオーガンジーのカーテンの裾を揺らして入ってきて、テヒョンの美しい額をかすめて流れていく

テヒョンはドクターの言う通り、ベッドの中で安静を保って、じっくりと静養していた
「テヒョン様、お寒くはございませんか?」
スミスが開けている窓に立って訊いた
「いや、寒くはない。風がとても気持ちがいいのだ」
「本当に。もう冬に入りましたのに、今日は暖かい位でございますね」
テヒョンは『うん』と応えて窓の方へ顔を向けた
「テヒョン様、間もなく昼食でございます。窓を閉めますか?」
「そのまま開けたままでいい」
「かしこまりました。ではこのままで」

しばらくして昼食が運ばれて来た
怪我をしたテヒョンが食べやすいようにと、サンドウィッチが出された
背中にクッションをいくつか置いて、前より起き上がる状態にしてみる
「痛みはございませんか?」
「大丈夫だ」
「ではこの高さで宜しいでしょうか」
「うん」
「それではお食事のお支度を致します」
スミスはテヒョンのベッドにベッドテーブルを用意して、食事の皿を置いた

朝食時にだいぶ腕を使ったので、今度は難なくサンドウィッチを掴むことが出来た。
スープや紅茶は、スプーンを使ったり、普通のティーカップだと心許ないので、
持ち手が2箇所付いているマグカップが用意された

テヒョンはひと通り食事を済ませると、ウトウトと睡魔に襲われた
その様子に気付いたスミスが、テヒョンのベッドテーブルを静かに片付けて、窓を閉めた
そして、テヒョンの背中のクッションをいくつか外して、眠りに入りやすいように整える。ブランケットを肩まで掛ける

スミスはテーブルに着くと、自分の食べかけていたサンドウィッチを堪能しながら、読みかけの本のページを捲る
スミスはここではテヒョンの為だけに仕事をしているので、余裕があった
そのお陰で主人の寝顔を時より見守りながら、読書とランチを楽しむ事が出来た

お昼の時間が過ぎた頃しばらくすると、扉をノックする音がした
スミスは立ち上がり扉を開けると、そこにフランシス嬢が立っていた
「これはフランシス嬢、いかがなされました」
「こんにちは、スミスさん。キム公爵はお休み中でしょうか」
「はい。今はお眠りになっておられます」
「ではこちらで。私、お見舞いを持って参りました。今朝焼いたマドレーヌです。スミスさんもご一緒に召し上がって下さいませね」
フランシス嬢はそう言って、紙の袋をスミスに差し出した
「おお!これはテヒョン様がお喜びになります。私にまでも、、、有り難く頂戴致します」
「喜んで頂けて嬉しいですわ。キム公爵が食欲がおありなので、お菓子をお持ちしようと思いましたの。事故の傷が心身共に癒える事を願って作りました」
「お心遣い、感謝致します」
スミスが深々と頭を下げた。そして更に
「しかし、私まで頂いてしまって、恨まれませんか?」
と、少し戯けて訊いてみた
フランシス嬢はクスクスと笑って
「ご心配には及びませんわ。今朝トーマス様にもチョン伯爵の分と合わせて、お届け致しましたので」
と答えた
「お忙しい朝でございましたな」
スミスが言うと
「でも皆様が喜んで下さるから、私はとても嬉しくて、楽しんで作れております。あ、でも国王陛下が最後になってしまったことは、内緒にして下さいませね」
フランシス嬢が小さく肩をすくめて笑う。本当にチャーミングなお方だと、スミスは思った

「これからまたどちらかへ?」
スミスが訊ねた
「ええ。国王陛下にマドレーヌをお届けしたら、子ども達がいる施設でお菓子作りの教室を開きます」
「それはお忙しいですな。どうぞお気を付けて行ってらっしゃいませ」
「ありがとうございます。キム公爵にお大事にとお伝え下さいませ」
「かしこまりました」
フランシス嬢は、ちょこんと挨拶をすると足早に廊下を通り過ぎていった
スミスは活動的なフランシス嬢にとても感心した
特に社会活動に積極的に参加されているらしく、昨日のチャリティー競技会の会場でも、主催者側のスタッフとフランシス嬢がよく話をされていて、彼女の顔馴染が多いことにスミスは気付いていた

フランシス嬢の後ろ姿を見送った後、スミスは部屋の扉を閉じた
テヒョンの周りに集まってくる大勢の人間の中でも、人のために心を寄せられる人が1番近くにいる事を本当に有り難いと、スミスは心から思うのだった


【マージリング〜Margiling〜】


かなり陽が傾いて、夕方の4時すぎには日没を迎えた
テヒョンはぐっすり眠れたようで、目覚めはスッキリしていた

「お目覚めでございますか、テヒョン様。あと少しで灯り点けも終わりますので、お待ち下さい」
スミスは部屋の燭台に火を灯して回っていた
部屋の中央では、宮廷職員がロープでシャンデリアを下げて火を点けていて、テヒョンはそれらの作業を眺めていた

スミスが燭台の火を点け終わると、テヒョンのベッドまで来て、ベッドサイドの冠水瓶から、水をグラスに注いでテヒョンに渡した
「今回はオレンジ水が入ったミネラルウォーターでございます」
「うん、、」
テヒョンはグラスを受け取ると、一気に飲み干していく
空になったグラスを受け取ったスミスは
「喉が渇いておいででしたか?もう一杯飲まれますか?」
と訊いた
「いや、もう大丈夫だ」
テヒョンはそう答えて、大きな欠伸をした
「よくお眠りでございましたね。もうじきにドクターが見えられますよ」

しばらくすると、宮廷医がテヒョンの主治医と共に部屋へやって来た
主治医はテヒョンの顔を見るなり駆け寄り
「殿下、お加減はいかかでございますか?」
と心配そうな表情で訊いた
「ロバート先生・・・すみません、ご心配おかけして」
「いいえ、私はあなた様の主治医ですから、そのようなことはよろしいのです」

テヒョンの主治医、ロバート・ウォルシュは、テヒョンが生まれてからずっと診て来たベテランの医師だった
テヒョンが落馬をして負傷した連絡を受け、急遽診てくれることになった
「早速、見せていただけますかな」
スミスがテヒョンの脱衣を手伝った
包帯を取り、湿布を剥がすとロバート医師は、宮廷医と共に早速触診を始めた
「ドクターが仰った通り、アザの痕がありますね・・・」
「しかし、殿下の回復は神業のように早いのですよ」
宮廷医が未だに不思議そうに、ロバート医師に怪我の状況を話す
しばらく二人の医師は、テヒョンの背中の患部を診ていた
「確かに、早急な回復なのが見て取れる・・・」
ロバート医師がそう言った時、何かに気付いたようで、急にスミスの方を向いた。スミスはロバート医師と目が合うと、少し頷く仕草をした

テヒョンはこの時、壁に掛けてある鏡でロバート医師とスミスの、この一瞬のやり取りを目にしていた
鏡を見据えたまま、テヒョンは何やら考えているようだった

新しい湿布を貼り、包帯を巻いてテヒョンの診察が終った
新しいシャツに着替え、身なりを整えると、それを待っていた宮廷医がテヒョンに挨拶をした
「それでは私はこれで。只今から殿下の主治医である、ドクター・ウォルシュにお任せ致します。殿下、どうぞお大事になさって下さいませ」
「ドクター、お世話になりました」
「これから宮廷へ向かいまして、国王陛下にご報告申し上げます」
そう言って宮廷医はテヒョンに一礼した。そしてスミスが扉まで宮廷医を送る

「今回の落馬にはびっくり致しました、殿下。お小さい頃から健康的でいらっしゃいましたから、私の仕事は定期的な殿下の健康診断だけでございましたなぁ」
「私も大きな病も、怪我も経験がなかったので、焦りました」
「しかし、先程殿下のお背中を診て思いましたが、立派にご成長なさいましたなぁ。すっかり大人の男性になられました」
ロバート医師は感慨深げに話す
「そうですか?大人に見て頂けてますか?」
テヒョンが笑いながら話した
「そういえば、最初の頃はよくドクターにお世話になりました」
スミスが宮廷医を見送って、戻って来ながら話しに加わった
「そうでしたなぁ・・・殿下の夜泣きがおさまらないと、何度も呼ばれましたからなぁ」
スミスとロバート医師は笑った

テヒョンも自分の子どもの頃の話をする二人を見て笑って聞いていたが、不自然さを感じていた
自分が生まれた直後であるのに、なぜ子どもの養育に慣れた養育係が揃っていなかったのか、、、
夜泣きで主治医を何度も呼ぶなど、あり得ないと思った
子どもが誕生すると分かった段階で、準備がされるはずだが、不慣れなスミスに養育係の責任者を任せている
テヒョンは自分の出生に何があるのか、大人になってから気になる事が増えてきていた

ひとしきり昔話に花を咲かせた後、ロバート医師は帰り支度をした
「ドクター、間もなく夕食です。召し上がって行かれませんか?」
スミスが誘った
「いえ、お気持ちだけで充分でございます。この後、まだ戻らねばならない用がございますので」
「そうですか。では、玄関まで送らせて頂きます」
「殿下、また参りますので。しっかりご安静にしていて下さいませ」
「はい。大人しくしております」
「では、お大事に。おやすみなさいませ」
ロバート医師は一礼をして部屋を出た
「テヒョン様、ドクターをお送りしましたら、お食事をお持ち致します」
スミスはロバート医師の後を追って部屋を出た




「スミス様、殿下のお背中の施しには、マージリングの形跡がございました」
テヒョンの部屋を離れて、スミスとロバート医師は無言のまま廊下を歩いていたが、周囲を見回して人影が無い事を確かめると、ロバート医師が真剣な顔で言ってきた
「はい。そうなのです」
スミスも真顔で応えた
「一体どういうことなのでございますか?マージリングが使える者は限られた者のみのはず・・」
「テヒョン様のお側近くに、それが出来るお方がいらっしゃるということです」
「ええ?殿下のお側に、そんな事が出来るお方が・・・?」
ロバート医師の言葉に、スミスが深く頷く
「!!・・・側近のチョン伯爵・・」
ロバート医師は自ら言った後、思わず口を塞いだ
「ドクター、これはもう運命としか思えないのです。テヒョン様は聡明なお方。いずれご自身の事について疑問を訊ねてくる時がくるやもしれません」
「では、あの尊いお二人の話をしなければならない時が来ると?」
「はい。それはテヒョン様の知る権利でもございますから・・・」
「そうですか・・・いや、そうでございますね・・・」
「間もなく、テヒョン様のお父上、大公殿下がフランスからご帰国になられる予定です。実は私はその時に、大公殿下にご相談をするつもりでおります」
「・・分かりました。私も心の準備を致しましょう」
ロバート医師はスミスと握手をすると、待たせていた馬車に乗り、プチ・パレスを後にした


マージリングとは一体何なのだろうか


※ 画像お借りしました