「仕事は幸福」という価値観に立脚した労働法制を![HRPニュースファイル1316]

http://hrp-newsfile.jp/2015/2108/

文/幸福実現党山形県本部副代表 城取良太

◆日本にはびこる岩盤規制の一角・労働法制

安倍政権は今通常国会において、労働時間規制の緩和を中心に、労働基準法の改正法案を提出する予定となっており、岩盤規制の中核、労働法制にメスを入れつつあります。

改正内容を二つに大別すると、まずディーリングやコンサルタントなど、年収1075万円以上の高度専門職を対象に、時間外労働などへの支払い義務を免除し、成果で給与を決める「高度プロフェッショナル制度」の導入と、仕事の時間配分や残業の必要性を労働者本人が判断する「裁量労働制の拡大」が挙げられます。

終戦から半世紀以上を経過し、日本人の働き方が大きく変化している反面、三六協定(労働基準法36条)など未だ当時の工場労働者を念頭に作られた労働時間規制が存在し、今まで時代錯誤の感がぬぐえなかった点は否めませんでした。

第1次安倍政権時にも、同様の改正案が議論されましたが、労組や野党、マスコミから「残業代ゼロ法案」と厳しく批判され、法案成立を断念した経緯から、とりわけ安倍首相にとっても今回の改正案に対する思い入れは強いはずです。

大いに賛同できる改正案ですが、昨年は議論のテーブルにのっていた「解雇規制」の緩和見直しは労組の猛反発から見送られたことを考えれば、労働法制の改革は道半ばであると言わざるをえません。

◆解雇規制は本当に労働者のためになるのか?

今後、労働者・企業双方に魅力的な労働環境を創設するために考えるべきポイントを2つ挙げていきたいと思います。

第一には、前述した「解雇規制」についてです。

もちろん、差別的な解雇や解雇権の乱用から労働者を守るために最低限必要な制度であり、法制度だけを比較すればヨーロッパ諸国とさほど変わらず、解雇が自由なアメリカを除けば、国際的な水準と見られる風潮もあります。

しかし、経営上の判断で「整理解雇」を行うに当たって、ヨーロッパでは要件が緩和されるのに比べ、日本では司法が「整理解雇」は労働者に責任がないと考えるため、人員削減の必要性や解雇回避の努力など、「整理解雇の4要件」を満たした場合のみ、正当な解雇と認めるという厳しい限定がなされています。

このように実質厳しい解雇規制があることで、まず企業側は正社員を採用する際に、慎重な判断が求められ、潜在的な正社員としての就職機会を奪うことにつながると言えます。

また、整理解雇を行う前に希望退職の募集を行う必要が出てくることで、本当は残って欲しい優秀な人材から流出してしまうというジレンマに陥ることも多々あります。

結果的に、この解雇ルールによって守られているのが、正社員という立場をフル活用しようとする「ぶら下がり社員」たちであり、企業・労働者双方から見ても、公平さが欠如した形になっているのです。

◆派遣は本当に悪なのか?

第二としては、「派遣労働」についてです。

今回、安倍政権は労働者派遣法の改正案も閣議決定し、更なる規制緩和を目指していますが、野党側から「派遣の固定化につながる」と強く批判されています。

また、産業界においても「派遣はダメな働き方である」や「(派遣を含めた)非正規社員は全て正社員にすべし」といった極端な論調も根強く、派遣という雇用形態がマイナスであるかのように喧伝されています。

しかしながら、派遣会社の営業管理職として、過去にのべ1000人単位の派遣社員と接してきた経験上、上記のような議論は現場感覚を失した空理空論であると言わざるをえません。

派遣社員は正社員になれないから派遣という道を選ぶ訳ではなく、専門性追求やキャリアアップ、資格取得の時間確保など、積極的な動機から選ぶ派遣社員が大半であったといえます。

また、派遣から正社員へのステップとして「紹介予定派遣」という制度も既に10年以上前から施行され、派遣期間を通じて実務を行うことで、労働者のみならず、企業側からのミスマッチを解消しようという取り組みも行われております。

更に言えば、「必要な時に、必要な部署へ、必要な労働力を」が可能となる派遣という弾力的な仕組みが、ある意味で厳しすぎる解雇規制の補完的な役割を担い、企業側のニーズを満たしてきたと言えるのではないでしょうか。

◆「自由・多様性・公平性」を保障する労働市場の創設を!

かのP.F.ドラッカーは「ネクスト・ソサエティ」の中で、近未来には、雇用の半数はフルタイム社員ではなくなり、派遣を始めとするアウトソーシング業がより栄えていくなど、今後、企業と雇用の形がより柔軟に変容していくことを予見していました。

しかしながら、日本の現行労働法制は「労働は賦役である」という左翼的な価値観に彩られており、時代遅れだと言えます。

今の労働時間規制に関する議論にしても、本人がその仕事に生きがいを感じることが出来るならば、残業時間がいかに長かろうが、喜びと共に、大きな成果と貢献を果たすことにつながるはずです。

今こそ、「仕事は幸福」であり、「人間を成長させるもの」であるという価値観を土台に持った労働法制が必要なのではないでしょうか。

自由で、多様性を認め、公平性を保った労働市場を創設することこそ、日本で働く全ての人の自助努力の発揮につながり、結果的に日本経済の大繁栄に結びついていくはずです。
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【本日のニュースクリップ】
1. 辺野古移設問題はすでに決着済み 米軍基地は安全保障上不可欠だ
2. 小保方晴子氏への論文掲載費の返還要求は科学研究にブレーキ
3. 「農協改革」って何?【リバ犬×そもそモグラ博士のそもそも解説】



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◆辺野古移設問題はすでに決着済み 米軍基地は安全保障上不可欠だ
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9400

米軍の普天間基地の辺野古移設をめぐる問題で、沖縄県の翁長雄志知事は23日、ボーリング調査などの現場海域での作業を全て停止することを沖縄防衛局に指示した。1週間以内に作業を停止し報告しない場合には、「岩礁破砕許可」を取り消す考えがあることを明らかにした。

岩礁破砕許可は、辺野古の埋め立て工事に向け、仲井真弘多前知事の下、昨年8月に県が防衛局に出したものだ。 ただし、その際に「申請外の行為をし、または条件に違反した場合は、許可を取り消すことができる」という条件がついており、翁長知事は、「コンクリート製ブロックが岩礁破砕を許可した区域外に投下されたため、サンゴ礁が傷つけられた可能性が高い」などと主張し、「岩礁破砕許可」を取り消すとしている。

昨年12月に辺野古移設に反対する翁長県知事が県知事に就任して以来、政府と沖縄県の間の溝が深まっている。


◎県知事の判断は法治国家のあり方に反している

沖縄県は岩礁破砕許可を取り消す根拠に、県の漁業調整規則を挙げている。しかし、2013年に辺野古沿岸の埋め立ては承認されており、すでに移設問題は決着がついているはずだ。「サンゴ礁が傷つけられた可能性が高い」などという不合理な理由で、いまさら承認を蒸し返すことは許されない。

さらに言えば、沖縄県の漁業調整規則とは、水産資源保護法を根拠とし、沖縄県における水産資源の保護を目的として県知事が出したもの。
今回の翁長県知事の判断には、辺野古への移設を阻止しようという明らかな意図が感じられ、同規則の本来の目的とは異なる。本来の目的とは異なる意図で規則を用いることは、行政権の濫用に当たり、法治国家のあり方として適切なのか疑問が残る。


◎基地移設がスムーズに行われないと安全保障が脅かされる

そもそも日米の国同士の決定事項に、一地方自治体が口を挟む余地はない。

中国が軍事予算を5年連続で前年比2桁増を記録するなど、軍事増強を続ける中、もし基地移設がスムーズに行われないと、日米間の安全保障に亀裂が入り、危険な状態になりかねない。そうなると、もはや水産資源や自然保護の話どころではなくなる。

現実に、香港では北京政府により民主主義が脅かされる事態が発生し、学生たちのデモ活動「雨傘革命」が起こったばかりだ。これは沖縄県にとって対岸の火事ではない。基地移設反対派はこうした外国の現状を理解していないのか。

沖縄では第二次大戦で米軍の攻撃を受け、何十万の人が亡くなったこともあり、沖縄県民の中には反米感情を持つ人もいるだろう。しかし、国防体制を整えることは、沖縄県を含めた日本の国益を守る上で最も重要なことである。沖縄県に住んでいる人たちは、沖縄県民である以上に日本国民なのだ。(冨)

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【関連記事】
2015年4月号記事 釈量子の志士奮迅 [第31回] - 「国民感情」ではなく「国民の幸福」を考える政治
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9225

2015年1月号記事 沖縄が「中国領」になる日が近づいた - The Liberty Opinion 2
http://the-liberty.com/article.php?item_id=8757

2014年12月号記事 現地ルポ 香港デモはアジアの民主主義を守るための戦い
http://the-liberty.com/article.php?item_id=8597

2014年11月16日付本欄 沖縄県知事選、当選の翁長氏が「琉球独立」団体と交流
http://the-liberty.com/article.php?item_id=8735

2014年10月号記事 現地ルポ・沖縄が「中国領」になる日 - 11月県知事選で命運が決まる
http://the-liberty.com/article.php?item_id=8305

2014年3月号記事 地方主権と自公連立の危うさ - 名護市長選2つの教訓 - The Liberty Opinion 1
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7257

2012年5月号記事) 日本は第二のチベットになる - 中国の「日本解放工作」
http://the-liberty.com/article.php?item_id=4027



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