8/26の記事の冒頭で、

「偶然にも、最近、身近な友人二人から身につまされる話を伺ったので、備忘録としてここに記しておきたいと思います。」

と書かせていただきました。


今回はその続きで、もう一人の方のお話について触れさせていただきたいと思います。




その前に…


その8/26の記事に対しましてのコメントで、「そうなのね!?すごいっ!て」思うことや、とっっってもためになるお話を聞かせていただくことができました。
療育について関心のある方には特に、是非ご一読していただけたら・・・って思います。
(*まめしまさん、uniuni-1974さん、みーやママさん、luna-2020さん、どうもありがとうございました!ラブ

*こちらの記事のコメントになります↓

 







今回は私のお友だちのお話です。

その方(*以後"Lちゃんママ"と表記させて下さい)は私より5-6才ほど年下で、現在小学校6年生の娘さん(*以後"Lちゃん"と表記させて下さい)と、小学校低学年の息子さんのお母さんです。

Lちゃんママは偏差値70オーバーの大学を卒業されたスーパーエリートです。
(*それでいてとても気さくで優しい方ですニコ

キャリアが一段落されてからのご結婚だったようで、出産後は第一線から少し退き、ご家族のために時間を割くことのできる生活スタイルへとシフトされています。

都会育ち・中学受験経験者のLちゃんママは、お子さんたちの育て方も、ご自身の経験にもとづいてしっかりとしたポリシーを持っておられました。

 


たとえば…

小さな時から家族であちこち出かけ、いろんな体験をさせる。自然の中での遊びもたっぷり。
また幼い頃からピアノと水泳教室に通い、感性と体力を養う。
保育園の年長さんからは、小学校入学に向け公文の国語と算数の教室と、外人さんの幼児英会話教室に通いはじめる。
そして小学校3年生の2月からは中学受験に向けての進学塾通いを始める。それを機に公文は卒業。
英会話とピアノと水泳を続けるかどうかは、子どもたちの意志に任せる。


「なるほどー。都会ではこうして子どもたちを育てるのかひらめき電球

と、新しい情報をまったくアップロードすることなく、自分が育った時と同じように子どもたちにそろばんと習字とピアノ教室に漫然と通わせていただけの私は、とても感心したものでした。


その方の第1子であるLちゃんは、読書が大好きでちょっと算数が苦手な、空想好きの女の子だと聞いていました。

「なぬ? 読書と空想が好き!? ちょっとうちの娘に似てるかもびっくり

と感じてさりげなく訊ねてみましたが、夜更かしではないとのことでしたので、

「やはりうちの娘だけだよね・・・とんでもないのは」

と、私が娘にどれだけ手を焼かされているかをおもしろおかしくLちゃんママに話していました。
それが今から4-5年前、娘が大学低学年で成績優秀者で、思えば娘の人生で唯一問題を起こさなかった頃のことでした。


その後、私は娘の留年でバタバタすることとなり、Lちゃんママも娘さんたちの塾通いが始まって、ここ2年くらいは互いに忙しくて特に連絡を取り合うこともなく過ごしておりました。


ところが先日久しぶりに、他の方を含めて一度ランチにでも行きませんか?、という話になり、私からLちゃんママに連絡してみましたところ

「実は4月から娘(=Lちゃん)が不登校になってて、家をあけられないので…ごめんなさい」

という返事が届いたのです。


LINEには一緒に

「こだわりが強かったり変に感覚過敏があったりで、今はほぼ引きこもりの状態です。塾では一番上のクラスで頑張ってたのですが…」

との文面もありました。


とても心配になり、また、とてもひとごととは思えなかった私は、"こだわり"や"感覚過敏"という単語に「もしかしたらLちゃんにも発達障害が関係してる…?」と思い、でも直接は言い出しにくかったので、代わりに、娘がいまだに卒業できていないことや、去年ADHDと診断されるまでとされてからのことを、引かれてしまうほどの長文でLINEしてしまいました。


するとLちゃんママから次のような内容の返信があったのです。

・実はLちゃんも病院でADHDと言われている。
・小4の2月頃に、塾での学年が5年生に上がり一気にタスクが増えたこと、また同時期に女の子同士のゴタゴタに巻き込まれたことがストレスになったようで、学校を休みがちになった。
・スクールカウンセラーに相談したところ、近くのクリニックを勧められて受診した。そこで「ASDではなさそう」と言われたが、先生はかなり高齢な上、Lちゃんママ自身がいろいろ調べて「ではADHDの可能性はないですか?」と訊ねるとようやく検査をしてくれたり、「睡眠の質が悪い気がするのでメラトベルを処方して欲しい」とお願いすると、「メラトベルのことはよく知らないが、薬はなるべく飲まない方がいい」と言われたりと、あまり詳しくない様子だった。
・運の悪いことに、去年5年生になった時にスクールカウンセラーの先生も交代になってしまった。以前の先生は教室に来てLちゃんの様子を観察し、良いところを沢山見つけて「プラスの部分を見つけて伸ばしてあげましょう!」と前向きに関わって下さっていたが、今度の先生は教室に来てくれることもないし、「私もそういう傾向があるんです。教室でいろんな音が聞こえたり」と自分の話ばかりで、あまりLちゃんのことを見てくれていない。病院での検査の結果を見せて欲しいと言われ提出したが、以後そのことについて何の話もなく、何のために提出したのかも分からない。
・次第にLちゃんはスクールカウンセラーのところにも病院にも行きたがらなくなり、Lちゃんママだけが一年間ほど通ってLちゃんの様子を報告していたが、何も変わらないしあまり聞けることもなくなったので、今は足が遠のいてしまっている。
・そしてこの春6年生になったLちゃんは、完全に学校にもどこにも行かなくなり、引きこもりのような生活を送っている。
・それだけでなく、最近は癇癪を起こして暴力を振るったり、家族を家から閉め出したりするようになっている。一度Lちゃんの暴言暴力に驚いたLちゃんママのお母さんが市の子ども家庭センターに相談したが、公共のシステムは時間がかかりすぎるのか、なかなか進展がない。
・ふだんのLちゃんはLちゃんママのそばにずっといて、母親を拒絶しているわけではなさそう。
・Lちゃんママは、LちゃんにはやはりASDもあるのではと考えるようになり、ちゃんとした診断を受けるために一度は専門医を受診したいと考えているが、Lちゃんはすっかり病院嫌いになっていて、病院に行こうとしない。
・療育についても、いきなり"障害"と言われたLちゃんは、学校のなかよし学級のお友達のイメージしかなかったせいか、ショックが大きく拒否している。
・感覚過敏のためか薬も一切受け付けてくれず、癇癪に対して処方されたエビリファイも、睡眠障害に対する抗ヒスタミン剤も、まったく飲んでくれない。
・困り果てたLちゃんママは、ネットをいろいろ見ていて、親子コミュニケーションについて学ぶサイトを見つけた。

・そこでは「3ヶ月でみんな変われる」と謳われていて、先日、そこの講師の個別相談を受けたところ、「Lちゃんのような凸凹のある子はネガティブなイメージがとても残りやすいので、頑張ってきたことや上手くやってこられたことをもっと認め、自信をつけることで社会へ進んでいける」というようなことも言われた。そういえばLちゃんが最初につまづいた時、必死でサポートしながらもLちゃんのこだわりが理解出来ず、「やればできるでしょ!」と叱咤激励ばかりしていたことに気付いた。
・かなり高額の費用がかかることもあり半信半疑だし怪しいとは思いつつも、親としての仕事かなと思い、講義を受けることにした。



――この話を聞いて、Lちゃんママがどんなに大変な思いをされどんなに悩んでおられるかと思うと、胸が苦しくなってしまいました。

でもそれ以上につらい思いをしているのは、間違いなくLちゃんですよね・・・。



うちの娘も、今でこそずい分落ち着いていますが、中学時代から大学に入る頃までは、いろいろしでかしてくれました。

学校をサボったり、プチ家出をしたり、眠り込んで電車に乗ったまま遠くに行ってしまったり、私の財布から一万円札を何度もくすねたり、留年のかかっている高校の試験前日に家を抜け出してネット友だちとイベントに行ったり、大学受験当日のはずが受験せずこっそり遊びに行ってたり。
その他、ついてきた嘘は数え切れません。
学校からも何度呼び出されたことか・・・。


娘はいろいろめちゃくちゃなことをしでかしていた中学・高校の頃を振り返って、

「今でこそ自分がなぜあんなことをしていたのか、なぜあんな行動を取ってしまっていたのかをちゃんと分析できるけど、あの頃は自分の感じていることをうまく言語化できないから訳が分からなくて混乱もしていて、かなりつらかったし苛立ってもいたと思う」

と言います。


それを考えると、Lちゃんの場合は前回紹介させていただいたMちゃんよりも年上で状況が分かっているしいろんなことを感じているけれど、どうして自分はこうなのか、自分はいったい何がつらいのか、どうして学校に行けないのか、なぜ"障害"だなんて言われなければならないのかを当時の娘以上に理解することも受け入れることもできなくて、とても苦しい思いをしているのでは・・・と思ってしまいました。


また、娘は寝ぼけている時など特に、光や音、その他話しかけられる声や触られる手の温かさや感触、布団や衣類の肌触りなど、五感に関わるものがとにかく耐えられなくらい不快で、つい暴れてしまうことがあったと言っていました。
しかもその時は「自分には暴れる正当な理由がある」と考えていたらしいですガーン
(*そういえば普段はどんなに私から叱られても言い返してくることも怒ることもない娘が、朝起こす時などはめちゃめちゃ機嫌が悪く、時に暴言を吐いたりして、まるで腫れ物を触るように扱っていたのを思い出しました滝汗あせる


だから、もしかしたらLちゃんは、自分でははっきり認識することも言葉で表現することもできない、やり場のない不快な感情や苛立ちや怒りがあって、それを暴言や暴力でしか表現することができないでいるのかな・・・とも考えてしまいました。


そう思うと、Lちゃん(だけでなく発達障害とともに生きていくこと)は、本当にとてもしんどいことなんだろうな・・・と感じます。
(だから私も娘にもっと優しくならないとね・・・とあらめて反省しましたぐすん



ただ、Lちゃんママが一生懸命Lちゃんに向き合おうとしておられることが救いで、すばらしいなと思いました。


Lちゃんはふだんはママのそばにいたがるらしいので、家ではずっと一緒にいるそうです。
ネット依存を避けるために、Lちゃんの前ではスマホを絶対に触らないようにもしておられるとか。(だから私とのLINEのやり取りも、Lちゃんから家を閉め出されてる時などでした)

 

また、来年の中学入学に向け、発達障害に理解があり、進級や進学にストレスが少ない学校を探しているそうです。(オンラインの学校も含め)

 

将来についても、あせらず、ゆっくり、LちゃんがLちゃんらしい人生を送れるよう、親として長い目でサポートしていく覚悟をしているともおっしゃっておられました。

 

ご自身も、Lちゃんに頑張らせるのではなく、自分自身が関わり方などを変えられるよう勉強していきたい・・・と考えておられるそうです。

 


娘の意味不明な言動(当時は)に振り回されるだけ振り回され、そのくせ普通の道から外れてしまったことを受容しきれず、将来の安定だの何だのを優先して今の大学を選び、その結果娘を現状のようなことに追い込んでしまった私とはなんて違いでしょう・・・えーん



またLちゃんママは、今の時代、ネットを見ればたくさんの方が体験談などの情報を発信して下さっていることがとても救いになっているともおっしゃっていました。


そういえば、Lちゃんが通っていた英語教室を主催されているアメリカ人の女性にLちゃんの状況を話したら、

「私もADHDよ! だけどアメリカでは発達障害はむしろ優れた能力があると言われてるのよ!

と自慢されたそうですゲラゲラ


そういえば、以前TVの特集番組か何かで、自閉症の子どもを育てるためにアメリカに移住された日本人夫婦のことを観たことがあります。

向こうは発達障害を持つ子どもたちへの教育システムがずい分整っているようで、その分発見も早く、3才ころからサポートを始めたりもするそうです。
(もちろんいい点ばかりではないと思いますが)

Mちゃんの例を見ても、物心がつく前からのサポート(療育)はとても重要なのですよね。


オリンピックでも"多様性"が叫ばれていますが、性別、人種、LGBTQ、身体の障害だけではなく、発達障害も1つの個性として「これが私」と胸を張って生きていける世界になるといいなぁ、とあらためて思いました。


少なくともこれから成長していくLちゃんやMちゃんにはそういう人生が待っていますように、と心から祈っていますキラキラ

 


娘、あなたもそうあることができるよう、今からでも軌道修正できるかな・・・。