確定申告の準備やら就職活動で忙しい毎日です・・・滝汗




カルニチン欠乏症の診断・治療指針 2018』では、カルニチンの生理・生化学的作用として以下の4つが挙げられています。

 

(1)長鎖脂肪酸のミトコンドリアマトリックス内への輸送に必須で、長鎖脂肪酸のβ酸化によるエネルギー代謝(ATP産生)を促進する。

(2)細胞内のアシルCoA/CoA比率の調整により、種々の代謝に重要な遊離CoAプールを維持する。

(3)有機酸代謝異常症や種々の病態で蓄積する有害なアシルCoAのアシル基と結合し、アシルカルニチンとなって細胞外、尿中へ排泄する内因性解毒剤として作用する。

(4)スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)、グルタチオンパーオキシダーゼ、カタラーゼなどの抗酸化酵素の発現増強作用、アポトーシス抑制作用などにより、抗酸化作用、抗炎症作用、生体膜安定化作用、線維化抑制作用などを発揮する。

 

 


前回(2/23)の記事では、このうち(1)についてまとめさせていただきました。


その結果、

カルニチンが欠乏すると、長鎖脂肪酸のエネルギー代謝(ATP産生だけでなくケトン体産生も)が障害され、特に脳脳みそ にとってダメージが大きいらしいゲロー

ということが分かりました。
 

 

 

引き続き、今日は(2)について調べてみたいと思います。




●(2)細胞内のアシルCoA/CoA比率の調整により、種々の代謝に重要な遊離CoAプールを維持する。


――またしても一読しただけでは何のことかサッパリ分かりません。

 

ですので、前回も使用した図表を用いて理解していきたいと思います。


 

 


この図表中に少なくとの3ヶ所登場しております CoA のことですが。

前回(3/23)の記事でも簡単に触れさせていただきましたように、 CoA(=コエンザイムA,補酵素A)はビタミンなどから生体内で合成される低分子の有機化合物で、酵素とゆるく結合して種々の化学反応を触媒します。

たくさんある補酵素のうち、β-酸化(脂肪酸代謝)や糖新生、尿素サイクル、解糖系、TCA回路などの代謝反応に関わるものを 補酵素A(CoA) と呼びます。

 

つまり、上の図表には書かれていませんが、⑦⑧、その後の《TCA回路》にもCoA は深く関わっています。

言い換えますと、

β-酸化(脂肪酸代謝)や糖新生、尿素サイクル、解糖系、TCA回路など多くの重要な代謝反応において、CoAが必要不可欠

ということなのです。


 

※ちなみに、超簡単に定義しますと・・・

糖新生

食事からのグルコース供給がなくなり、肝臓がグリコーゲンを使い果たした時、血糖を維持するためにグルコースを作り出す反応。主に肝臓(激しい飢餓時には腎臓と小腸も)の細胞の細胞質で行われる。大部分は解糖系の逆反応で、原材料は乳酸、ピルビン酸、アラニン、アスパラギン酸、グリセロールなど。

 

尿素サイクル

別名オルニチン回路。摂取されたアミノ酸(元はタンパク質)をエネルギー源として利用する際、中間産物として有毒なアンモニアが発生するが、尿素サイクルはこの有毒なアンモニアを毒性の低い尿素に変換する反応。主に肝細胞のミトコンドリアと細胞質で行われ、尿素は腎臓を経て尿中に排泄される。

 

解糖系

細胞内で酸素を利用して有機物を分解し、エネルギー(ATP)を取り出す反応を『呼吸(別名:内呼吸あるいは細胞呼吸)』といい、解糖系は3段階ある『呼吸』の反応のうちの第一段階。細胞質基質においてグルコース(=ブドウ糖。元は炭水化物)をピルビン酸と水素イオンに分解し、ATPを得る。

TCA回路

別名クエン酸回路、クレブス回路。(*一般に高校生物ではこれらの呼び方で、大学からは"TCA回路"になることが多いらしいです。ホエーぶー。解糖系から続く『呼吸』反応の第二段階で、解糖の最終産物であるピルビン酸がCoAと結合することによって得られたアセチルCoAから始まる、9段階からなる環状の代謝経路。アセチルCoAは、解糖系のほか、脂肪酸のβ-酸化やアミノ酸の代謝からも得られ、脂肪酸代謝、アミノ酸代謝、尿素回路、糖新生など多くの他の経路が出会う場所(=代謝の交差点)でもある。ただしこのTCA回路ではATPは作られない。細胞内のミトコンドリアのマトリックスで行われる。

 

 

以上を図示しますと下図のようになり、三大栄養素からのエネルギー産生がすべてつながっていることが分かります。(*何かスゴイ。人体(生物)ってスゴイ👼)



(*この画像はこちらから引用の上改変させていただきました)

 



これらの重要な反応のすべてに関わっているという点から、CoA が生体にとっていかに大切な物質であるかはお分かりいただけるかと思います。

 

 


ですがこの CoA 、生体内でビタミンなどから合成されることもあり、量的にも限られています

 


補酵素であるCoAは、酵素とゆるく結合して化学反応を触媒し、働きを終えると離れて(=遊離CoAとなって)また再利用されます。

たとえば最初の図表の①のところで、長鎖脂肪酸は肝臓や筋肉の細胞内に取り込まれた後、CoAと結合して長鎖アシルCoAへと活性化されます。

その後、③ミコンドリアの外膜と内膜の間のスペース(=膜間隙)へと運ばれていき、④のところでカルニチンと結合してアシルカルニチンとなる時に、CoAを遊離します。(*この代謝経路を経るのは長鎖脂肪酸だけのため、"長鎖"は時々略させていただきますお願い

こうして遊離されたCoAは次の反応で再利用されるわけですが、カルニチンが不足すると最初の図表④の反応が進まないため、反応③で生成されたアシルCoAが蓄積します。
同時に、アシルCoAからCoAを遊離することができず、必要なCoAが不足してしまう(="CoAプールが維持できない")という事態が発生します。

 

 


また、何らかの原因で長鎖アシルCoAがミトコンドリア内(マトリックス)に蓄積した場合(*下図の太い紫の内)、不要な長鎖アシルCoAを細胞外へと輸送・排泄するシステムが働きます。

下図の中にあります青い上向きの矢印部分がそれです。

 




具体的には、蓄積した長鎖アシルCoAは、ミトコンドリア内膜に存在するカルニチンアシルトランスフェラーゼ(CAT)の作用によって遊離カルニチンと反応し、長鎖アシルカルニチンが生成されます。

この長鎖アシルカルニチンは、ミトコンドリア内に入ってきた時と逆の順路をたどり、カルニチンアシルカルニチントランスロカーゼ(CACT)による交換輸送によって、ミトコンドリア外、さらには細胞外へと排泄されていきます。

図にありますようにこの時の反応でCoAが遊離され、遊離されたCoAは貴重な物質として再利用されることになります。

 


以上のような2つの過程には、遊離カルニチンが大きく関わっています。
 

そのためカルニチンが欠乏すると CoA を遊離することができなくなり、CoA不足へと陥ってしまいます。

その結果、2/23の記事で説明させていただきましたカルニチンの作用●(1)「長鎖脂肪酸のβ酸化によるエネルギー産生(ATPもケトン体も)」が困難になるだけでなく、

CoAの枯渇を介して、糖や蛋白質からのエネルギー産生にまで悪影響を及ぼしてしまう

ことになるのです。

(※このCoA が枯渇した病態は CoA sequestration syndrome とも呼ばれるそうです)

 

 

こんな感じで・・・

(*この画像はこちらから引用の上改変させていただきました)




上の図を見れば、

カルニチン欠乏がCoAの枯渇を介して細胞内の全エネルギー代謝(産生)を障害してしまうことが一目瞭然ですゲッソリゲッソリゲッソリ!!!

 

 

 

 

えっ・・・と、ちょっと待って下さいヨ滝汗あせるあせる

 


これまでにも何度か触れさせていただきました知識を総動員してみますと、

脳みそ は、 全体重のたかが2%の重さしかないというのに、1日に体が必要とする全エネルギーの18%をも消費する。しかも眠っている間も。

よって、ブドウ糖不足に陥った時に脳が受けるダメージは、他の臓器に比べるとはるかに大きい。

長年 脳脳みそ はブドウ糖だけしかエネルギー源として利用できないと考えられてきたが、現在は体内のブドウ糖が不足した時は脂肪酸から合成される「ケトン体」を利用していることが判明している。
たとえば、通常時はエネルギー源の100%をブドウ糖に依存しているが、絶食時にはケトン体が約60%を占める。

カルニチンが欠乏すると、ブドウ糖不足時の脳脳みそ にとって唯一の代替エネルギー源であるケトン体の合成が十分できなくなるので、ヤバいゲッソリガーン
(*ここまでが前回の心配事でした)


ですがそれ以前に、カルニチンが欠乏しているとCoAの枯渇を介してブドウ糖からのエネルギー供給すら十分できない状況にあると考えられるので、絶食時以外も常に(またはたびたび)脳脳みそ はエネルギー不足の状況にさらされてしまっているのでは滝汗!?!?!?あせるあせるあせる





また今回、分かったことが2つあります。

まず、前回(2/23)までは

「カルニチンが関係しているのは脂肪酸代謝であって糖(炭水化物)の代謝には関係していないのに、なぜ低血糖が起こるのだろう??

と不思議でした。
ですが、カルニチン欠乏を介したCoA の枯渇のせいで、解糖系の最後の反応(ピルビン酸→アセチルCoA)とTCA回路がまわらなくなるからだったのですねポーン!
 

 


そしてもう一つ。

どうやらカルニチン欠乏は考えてた以上に脳細胞脳みそ にとって致命的らしいドクロゲロー

 

ということも分かりました。
(もちろん脳細胞にとってだけではありませんが)
 

 

健常発達の人ならまだしも、もともとADHDで脳細胞の機能不全がある娘です。
しかも脳細胞は常に大量のエネルギーを必要とする大食漢。
それなのにカルニチン欠乏のせいでエネルギー供給が不足してしまったら、もともとダメな脳細胞がダメージを受けてさらにダメになってしまうのでは・・・?
ゲッソリもやもやゲッソリもやもやゲッソリもやもや

 

 

 

 

――そこまで考えたところで急に不安になりました私は、大慌てで娘にカルニチンを毎日しっかりちゃんと飲むよう伝えました滝汗

 


初めてカルニチンを処方していただいた時に、先生から
「もしかしたら胃腸の具合が悪くなるかも」
と教えていただきました。

それを聞いた娘が
「ただでさえコンサータの副作用でお腹の具合が悪くて体重も落ちてしまっているので、これ以上悪くなったら本当に何も食べられなくなってしまうショック
と心配しておりましたので、それならば、と1回2錠ずつ1日3回飲まなければならないところ、勝手に1回1錠ずつに減量して様子をみていました。

幸いにもその量ですとちょっとお腹が張るくらいで、あまり影響はありませんでした。

 

また、ちょうど今は大学も予備校の授業もないためコンサータをお休みしていることもあり、この機に1日3回、ちゃんと2錠ずつ飲んでみて大丈夫かどうか試してみたいと思います。


だけどコンサータなしの娘はADHD全開ですので、1日3回も忘れずに飲み続けることは至難の技・・・ゲッソリ



仕方がないので、当分の間、私がLINEで

「カルニチン飲んだ?」「本当に?」「飲み忘れてない?」「ちゃんと飲みなさいよむかっ

とやいやい言いたいと思います・・・チーン