この記事は一昨日の続きになります。
今日はADHDの責任病巣へと近付いてみたいと思います。
(自分が理解できて「へーっ、そういうことだったのか!」と満足しているだけの、おそろしくつまらない記事となっておりますことを先に謝らせて下さいお願い

 




■大脳皮質の各部の名称
・大脳皮質の各部には、別々の観点からつけられた複数の名称があり、しかもそれらが混在して用いられているそう。
・別々の観点とは、マクロの解剖、ミクロの解剖(顕微鏡や染色など)、機能的役割に応じた名称、など。(たとえばよく用いられるブロードマンの脳地図は、ミクロの解剖に基づくものの1つ)
・そのうち、機能的役割に応じた各部の名称は下図の通り(黒字のもの)。
 ↓

(この画像はこちらから引用させていただきました)

 

 

■前頭葉の各部の名称(上の図の赤紫色のライン部)
・前頭葉は以下の6つに分けられます。
    一次運動野・・・上図の紫の部分
    運動前野(運動連合野)・・・上図の緑色の部分
    前頭眼野(前頭眼窩野)・・・上図の茶色の丸部
    前頭前野(前頭連合野)・・・上図の水色の部分
    ブローカ野・・・上図の明るい緑色の部分
    眼窩前頭皮質・・・上の図では見えず→下図の赤い部分

 


 〈眼窩前頭皮質〉の位置 (出典画像:Anatomography)


・このうちADHDの病態に関連があるとされる「前頭前野」について見ていきたいと思います。

 

 ↓

 

■前頭前野とは
・他に、前頭連合野、前頭前皮質、PFC( prefrontal cortex )とも呼ばれる。
・前頭葉の前側の領域で、この前頭前野そのものだけを指して“前頭葉”ということも多い。
・大脳の約30%を占めるが、動物でこの部分が発達しているのはヒトと同じ霊長類のサルのみ。動物の中でもっとも前頭前野が発達しているチンパンジーでさえ、大脳の15%前後しかない。ちなみにネコでは3.5%、イヌでは7%、サルは11%。
・ヒトの脳の中で最も遅く成熟し(25歳頃まで成長を続けるとされている)、老化に伴って最も早く機能が低下する。

 

 

■前頭前野の成り立ち
・前頭前野は、大きく「外側部」「内側部」「腹側部(あるいは眼窩部)」に分けられる。
・それぞれ異なる機能を担っているが、完全に独立したものではない。たとえば外側部も、少ないながらも内側部や腹側部と同様の機能を担っていたりする。

 

 

 「外側部」・・・外側から見える部分
   (上の図は脳を左側から見たところ。左側が前)
 「内側部」・・・左右に2分して現れる部分
   (上の図は真ん中で縦に切った脳を左側から見たところ。〃)
 「腹側(眼窩)部」・・・脳底部に位置し下から見える部分
   (上の図は左脳を下から見たところ。〃)

 ※数字はブロードマンの脳地図における領野

 

 

■前頭前野の機能

・ヒトがヒトたる所以である、知性や思考や創造性をつかさどる脳の最高中枢とされている。
・「定型的反応様式では対応できないような状況において,認知的、動悸づけ状況を把握し,それに対して適切な判断を行い,行動を適応的に組織化する」という役割を果たしている。
・具体的にいうと下図↓のような感じ。

 

(*何か・・・娘のダメなところが揃ってるんですけど汗

 

・自閉症やADHDなどの発達障害、統合失調症、うつ病、認知症などの精神・知的障害とも関わっており、これらの治療につながるとしてこの脳部位の機能解明が急がれている。
(*やっぱりそうでしたあせる

※補足・・・細かい内容ですが、のちのち必要になるかもしれませんので書いておきます。

・側頭連合野、頭項連合野などの後連合野からの入力があり、ほとんどのあらゆる感覚刺激に関して高次な処理を受けた情報が集まっている。
・背内側核を中心とした視床、帯状皮質や海馬、扁桃核などの辺縁系、それに視床下部、中脳網様体などからも線維連絡を受けており、記憶、動機づけ覚醒状態に関する情報の入力もある。
・これらの入力を受けて前頭連合野から出される信号(フィードバック信号)は、トップダウン信号として受け取る側の脳活動を制御している。
・運動性連合野である運動前野と補足運動野、それに大脳基底核の尾状核、被殻、淡蒼球などとも相互に線維連絡があり、複雑な随意運動の計画や制御に重要な役割を果たす。

 

 

 

前頭前野の各部について、もう少し細かくみていきたいと思います。

 

■前頭前野の各部の働き

「外側部」
・認知・実行機能を主に担っている。
・具体的には、ワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論など。
・たとえば対象を正しく評価して計画を立てたり、計画に基づいて順序よく行動したり、ルールに基づいて物事を行ったり、すべきでない反応を適切に抑制するなど、行動の認知・実行制御に重要な役割を果たしている。
(*何か、娘が苦手なことばかりです・・・アセアセ

●「内側部」
・心の理論や社会性機能において重要な役割を果たす。
・他者の考えや感情を推し量ったり、社会的関係を認知するなどして社会的行動を支えるとともに、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。


●「腹側部(眼窩部)」
・情動・動機づけ機能と、それに基づく意思決定過程に重要な役割を果たしている。
(*これも「先延ばし」と関係ありそう・・・汗
 

 


また、前頭前野内でも、後方から前方にいくにつれてより高度で抽象的な情報処理を担うようになること、特に外側部でその傾向が強いことが分かっています。

 

それに基づいて、次のようなさらに細かい部位分けも存在します。
(下図参照・・・前頭前野に含まれる部位のうち、下記に説明のあるものは赤丸で、説明のないものは赤線で印をつけています)
  ↓

 

(この画像はこちらから引用させていただきました)

 

 

以下、赤丸部分の説明です。
 ↓

●「前頭極」

・前頭前野の最前部(ブロードマンの脳地図における10野。上の方に図(白黒のやつ)あり)のこと。
・前頭前野の他の部位とは異なり、「神経細胞密度が脳内で最も低く,樹状突起の分岐度や樹状突起の先のスパインの密度が最も高い」「前頭連合野以外との線維連絡が希薄」「神経繊維の成熟が最も遅く起こる」という際だった特徴をもつ。
・サルとの比較から、前頭極のうち特に外側部はヒトに特有な脳部位であることが分かっており、進化的に人において初めて出現した部位と考えられている。
・前頭極外側部は最も抽象度が高く,高次な情報の統合機能を持っているとされている。
・複雑な要因が絡む将来の記憶(展望記憶)や、いくつかの情報を保持しながら複数の作業を次々に行うなどの課題に重要な役割を果たす。
・つまり前頭極は「前頭前野 of the 前頭前野」ということになる。

●「背外側部」
・サルに対する実験から、外側部の中でも特に背外側部のドーパミンが、ワーキングメモリー課題遂行に最も重要な役割を果たしていることが分かっている。
 

●「腹内側部」
・内側部と腹側部それぞれの前の方に位置する部位を総称して「腹内側部」と呼ぶ。
・情動、動機づけに基づく意思決定に深く関わる。
・特に、一見論理的だが実は直感的で素早い意思決定に重要な役割を果たしているとされる。
・具体的には、次の行動を決めるにあたっていくつもの選択肢がある中、過去の良い経験や悪い経験に基づいて検討するに値しないものを即座に切り捨て、選択肢を絞ることで意思決定しやすいように援助する、など。
・この機能が正しく働かない場合(前頭前野腹内側部の損傷患者など)は、たとえばギャンブルで、最終的に損であると理解できる場合ですら、目先の利益に引かれてしまい、長期的には利益になるはずの選択ができない、など。
・これは、目先の利益につながる刺激が提示された場合、その選択に伴って過去に嫌な経験をしたという、健常者なら生じるはずの切り捨て反応が生じないために不利な選択をしてしまうため、と考えられている。
(*ま、まさに娘・・・。そしてもしかしてこれこそが「先延ばし」の根源ではっ!?アセアセハッ

・余談ですが、その後のじっくり考える過程(合理的推論)においては、「外側部」がより関係しているとされているそうです。
(*つまり娘が場当たり的に短絡的に「先延ばし」をしてしまうのは「腹内側部」の機能に問題があるからで、その後じっくり考えてもやっぱり先延ばしを続けてしまうのは「外側部」の責任、ってことでしょうか? それとも娘にとってはじっくり考えることはなく、短絡的な「先延ばし」の一瞬一瞬が永遠に続いているだけなのか・・・。どう考えても後者という気がします滝汗あせる

 

 

 

 


――こうしてみますと、つくづく、「前頭葉」の「前頭前野」という部分が本当にADHDの特性に大きく関係しているんだなぁ、ということが分かりました。
 



ちなみに3/20の〈 ADHDと「先延ばし」――その答えは「報酬系の機能障害」! 〉という記事で、

 
「これら(=ADHD)の症状を引き起こす病態として、神経心理学のレベルでは『実行機能系の機能障害』と『報酬系の機能障害』の dual pathway model が提唱されてきましたが、最近ではこれに『時間管理機能の障害』が加わり、triple pathway model へと発展しているそうです。
さらには『情動の制御異常』の関連も言われるようになっているそうです。 」
 

と書かせていただきましたが、この中の『実行機能系の機能障害』が、「前頭前野」の機能不全に由来するのだそうです。

 

 

前頭前野の機能不全により、ADHD群ではワーキングメモリ(作業記憶)や認知機能が障害されているため、

 

・目標達成のために必要な計画(プランニング)

・順序だて(衝動的な行動を抑制)
・シフティング(課題を柔軟に切り替える)
・まとめる

 

といった作業の実行機能に障害があり、その結果としてADHDの人たちは

 

・目的が達成できない
・課題が遂行できない
・他のことに注意がそれる
・衝動的な行動になる

 

ということが起こるのだそうです。
 

 


――なるほど。まさに娘そのものではありませんかポーンハッ

ですが気になる点が1つ・・・

 


・・・あれ!? 
「引き延ばし」に代表されるような

「将来の大きな利益を過小評価して、目先の小さな利益に飛びついてしまう」

という行動は、『報酬系の障害』のはず。
そして『報酬系の障害』は、「腹側線条体」という部位の機能障害が原因だと読んだのですが、今日勉強した限りでは、「前頭前野」の「腹内側部」の機能障害にまんま当てはまる気がします。

――どういうこと?  てか、「腹側線条体」って何? どこ?

 




というわけで、今後は「腹側線条体」や実際前頭前野などの機能障害部位で何が起こっているのかを勉強していきたい…かも、と思います。
(大変そうなので小さい字になりました滝汗





*その前に、明日は息子の卒業式です(式は中止ですが汗)。
試験も無事合格し、ついに日々勉強&修行生活に突入するのかと思うと、感慨深いです。
学生生活も長かったですが、ここから先もめちゃめちゃ長いよー。

そんなこんなで、明日は卒業式に出席できなくなった代わりに(そもそも「え? 出席する気だったん!? 来なくていいわー」と言われたくらいではありますが)、社会に巣立っていく息子のことを少しばかり振り返ってみたいな、と思います。