小学校5年生の時に現在の住まいに転居してきた際、地元の公立小学校に転校した娘が、転校後1週間くらいして学校に行けなくなったことにつきましてはこちらで書かせていただきました。

その時は、症状からOD(起立性調節障害)を疑い、トフィスという薬の服用と保健室登校や保護者(私)同伴での教室登校を経て、2ヶ月弱で無事、普通に学校に通えるようになりました。

しかし娘のOD症状は20代後半となった現在も継続しているとのこと。

娘にはODの他にも気管支喘息、アレルギー性鼻炎、片頭痛と筋緊張性頭痛、過敏性腸症候群、光や臭いや音に対する過敏性、などがあります。

これらも娘の日常生活を大いに妨げているようですので、少しでも解決できるよう、1つずつ調べていきたいと考えています。

そこで今回は、この前たまたま家庭用の自動血圧計を購入したこともあって、『OD』について調べてみることにしました。
(血圧計は、家電店で安売になっていたので「両親のために」と購入したら、既に持っていて余ってしまった、ってだけなんですけどね汗

 

まずは基礎知識すら乏しい自分のために導入から・・・

■起立性調節障害(OD,orthostatic dysregulation)とは
・自律神経の代償調節機能が低下した状態と、心理社会的因子がさまざまな程度で混ぜ合わさった、幅広いスペクトラムからなる疾患。
・ただしODの場合は、“自律神経失調症”や“更年期障害”のように自律神経の働きが広くバランスを崩してしまっているわけではありません。
・ODでは、主に循環器系を調節する交感神経(詳細は下記)の代償機能が低下しています。
・そのため起立時などの体動時に反射的に血圧を保つことができず、血圧が低下してしまったり、その反動で頻脈になってしまいます。
・血圧が低下した結果、脳に行く血流が低下し、動悸の他、めまいや失神などの症状が出現します。
・また低血圧のため朝起きられず、午後からだんだん元気が出てきて、夜はなかなか眠れない、という症状も多くみられます。その結果夜更かし朝寝坊が定着してしまい、登校が困難となり不登校に至るケースも少なくありません。
・日常生活の困難から、強い不安や抑うつ、焦燥感、集中力や作業能力の低下などの精神症状を伴うこともあります。
・循環器系以外の自律神経の機能異常により、疲れやすい、腹痛、吐き気、嘔吐、頭痛、胸痛、食欲不振、朝起きられない、などの症状も現れます。


ここで少し自分のために分からない用語の解説を・・・
 

○自律神経とは
・「神経」は、脳と脊髄からなる「中枢神経」と、脳と脊髄から出て全身に分布する「末梢神経」からなっています。
・このうち「末梢神経」は、自分の意志でコントロールでき、知覚や運動をつかさどっている「体性神経」と、意思とは関係なく体の機能を調節している「自律神経」とに分かれます。
・このうち「自律神経」は、心身を緊張・興奮状態に導く「交感神経」と、心身をリラックス・鎮静状態に導く「副交感神経」に分かれています。「交感神経」と「副交感神経」は互いに拮抗して働きます(同時には働けません)。
・「体性神経」は、「中枢神経」からの指令を伝えて筋肉などを動かす「運動神経」と、末梢で受けた感覚などの情報を「中枢神経」に伝える「知覚神経」に分かれています。

(こちらの画像は同じアメブロのsoleilさまのブログから引用させていただきました)

 

 

・これらのうち「自律神経」は内臓や血管などに分布していて、人間や動物の意思とは無関係に、体温や血圧、脈拍、発汗、内臓の働きなどを調節しています。

(この画像はこちらより引用させていただきました)

 

 

・「交感神経」と「副交感神経」は互いにバランスを取り合いながら、体の状態が最適に保たれるよう働いています。ただしこれらは同時に
・これらのバランスが広く崩れたものが、いわゆる“自律神経失調症”などです。

(この画像はこちらより引用させていただきました)

 



何となく分かってきました!
では、再び本題に戻りたいと思います。

■ODの分類
・ODは起立後の循環反応のパターンから、以下の4つのサブタイプに分類されます。

 

①起立直後性低血圧(INOH)
・・・起立直後の血圧低下からの回復に時間がかかるタイプ。
②体位性頻脈症候群(POTS)
・・・血圧の回復に異常はないが、起立後心拍の回復がなく上昇したままのタイプ。
③血管迷走神経性失神(VVS)
・・・起立中に急激な血圧低下によっていきなり失神するタイプ。
④遷延性起立性低血圧(Delayed-OH)
・・・起立を続けることにより徐々に血圧が低下して失神に至るタイプ。
 

(この図はこちらより引用させていただきました)

 

・これらのうち①が最も多く、次いで多いのが②、③と④は比較的少ないとされています。
・しかし①②の後に③の失神を起こしたり、経過中にタイプが変わることもあります。
・これらの他に、 新しいサブタイプ(過剰反応型…起立後に著しい血圧上昇を示す、脳血流低下型…起立後の血圧・脈拍に異常なく,脳血流が低下する)が報告されています。この2つでODの15%を占めていますが、新起立試験では見分けることができず、特殊な検査が必要だそうです。


■ODの好発年齢や頻度、経過
・小学校高学年くらいから中学校の思春期前後(10~16歳)の児に多いとされています。
・有病率は、小学生では約5%、中学生では約10%。重症例は約1%。予備軍は小4~中3の40~50%ともいわれています。
・男女比は1:1.5~2。
・約半数に遺伝傾向あり(特に母親の影響が大きいとされています)。
・軽症例は適切な治療により2~3ヶ月で改善、日常生活に支障のある中等症は1年後の回復率は約50%、2~3年後は70~80%、不登校を伴う重症例は1年後の復学率は30%、長期欠席が続いている場合は社会復帰に2~3年かかることもある、とされています。
・通常、思春期を越えるとともに自然軽快するケースが多いといわれています。しかし成人後まで持ち越したり、いったん軽快したものの、生活リズムの乱れや仕事・人間関係のストレスなどにより成人後に再発する人も認められます。

■ODの診断
・まずは下記の身体症状11項目のうち3つ以上あてはまる場合、ODとして詳細な診察や検査(他の器質的疾患の除外)を進めていきます。


(この図もこちらより引用させていただきました)

・上記のうち2つしかあてはまらない場合でも、強く疑うとして同じく診察や検査を進めていきます。
・その後、新起立試験を行い、異常がなければ不登校診療ガイドラインにのっとっての診療へと移ります。
・新起立試験で異常が認められた場合はODと確定し、サブタイプ判定と重症度診断を行い、OD治療ガイドラインにのっとって治療を開始します。

以上の流れはこんな感じのようです:
 ↓

(この図もこちらより引用させていただきました)
 

 



・・・『新起立試験』!?
お恥ずかしながら、今初めて耳にしました。
娘が小学生だった頃は確か「シェロング起立試験」でしたが、いつの間にか変わっていたようですあせる(医学は本当に日進月歩・・・)

 

新起立試験とは:
・従来行われていたschellong起立試験ではINOHを見逃す可能性が高かった。
・そのため、聴診器にてkorotkoff音を聴取しての起立後血圧回復時間測定を用いた「新起立試験」が簡易的方法として推奨されています。
・具体的な方法を簡単に書いてみますと・・・

◇検査は静かな部屋で午前中に行うこと。ODでは午後には体調が回復して、検査が正常化することがしばしばあるため。
◇収縮期血圧、拡張期血圧、心拍数を測定する。
◇10分間臥位で安静にした後、3回血圧を測定する。
◇起立し、直後と1分毎に10分間血圧と脈拍を計測する。(実際は1分後、3分後、5分後、10分後のみのことが多い)
◇低血圧発作が起これば検査は中止する。
◇同時に起立後のふらつき、動悸、頭痛、倦怠感などの症状もチェックする。
◇ 一定の条件や日時によって測定結果が変わるため、1回の検査で 判定せず、臨床症状と総合的に検討し、必要に応じて再検査を行う。




初めてODと診断されから15年以上経ったにもかかわらず、娘には現在も症状があるといいます。
立ちくらみはもちろん、学校の実習や電車で長い間立っていたら気分が悪くなり倒れそうになったり、エレベーターや電車で香水などの強い臭いに接すると気分が悪くなり顔面蒼白となって嘔気がしてきたり、走った後は動悸がして冷や汗が出たり・・・。

小学校5年生の時は当時の起立試験(schellong起立試験)が陽性だった娘ですが、果たして現在はどうなっているか――。


次回、新起立試験に挑戦し、結果について考察してみたいと思います。




*先週帰省した時に、自動血圧計を娘に持って帰らせてありますので、明日朝、やらせてみようと思いますてへぺろ