あとで鈴之助に言われるに決まっているー-、「目から星が出たよッー-」
もう黙るしかない。私のおかげで優勝を逃したっていうに決まっているー-。
☆
鈴之助は乙女の嬌声を聞いて、目からトウィンクル・トウィンクル星が瞬いていたー-。
準決勝はおかげで誰と戦ったか覚えていない。ふと我に帰ったら、相手が上段から面を打ち込んできたー-、すかさず竹刀で応じ、それをやり過ごした。「ここも素早く切り返しだな!」鈴之助はそう直感した。
そう思った瞬間にまた上段から面への打ち込みー-、それをしないで左に払って切り返し、胴打ちー-。いっぽ―――ん。乙女には言葉が一文字一文字に聞こえた。
今度はがっちり口を結んで、心の中で「お見事――ッ」。
☆
いよいよ雷太との決勝戦だ。乙女は小声で鈴之助に伝えた。
「二回の右からの胴打ちは雷太さんも見ているからね。三度目は通じませんよ」ー-。
確かに、でも鈴之助の得意は小手と左胴打ち込みー-。
「切り替えよう」
そうしようーー