また一人、同業の方が亡くなられた。

ついさっきまで談笑していた身内が

一瞬のミスで自分の目の前からいなくなる。

 

私も家族で伐採事業を営んでいるので、

心がざわつくのを抑えきれない。

起こってしまったといえばそれまでだけれど、

あってはならない事故だった。

そしてこれは、100%防げた死亡事故でもあった。

 

高所から転落する死亡事故のほとんどが、

高所作業の危険性を理解できていないのと

自分の技量の過信にある。

 

1mは一命取る という言葉があるように

人間は1mから落下しただけでも、死んでしまう危険性、可能性がある事を理解し、

自分に臆病であったなら、

10mの樹木にはしごをかけ、ノーヘル、安全帯非着用、

ロープを利用した墜落防止器具の非設置で

樹木剪定、樹木伐採をすることなどありえない。

 

農家が無知ゆえに、安全対策もせず

木登り剪定、伐採をして、ケガをするというのは良く聞く話。

しかしこれが、こと職人世界になると

全く別の理由で安全対策をしない事となる。

 

安全対策=技術が無い、能力がない=かっこ悪い

というわけのわからない常識が蔓延しているのがこの業界の現実。

素上りで(安全対策を行わず)木に登れる事こそが技術。

なんて常識が蔓延しているこの業界に就職したら、

1年もあれば普通に洗脳されていく。

 

私が経験者を雇いたくないのは、対極にある思想を持った職人の

思考を変えることは不可能だと理解しているから。

そういった人は大きな怪我をしてやっと気が付いて

トラウマになる、もしくは後遺症を残したり、最悪は死んでしまう。

運が良ければ落下事故を起こさずに引退できるが、

その成功体験は悪い意味で後に引き継がれる。

 

運に頼る安全などあってはならない。

 

緑地管理に関わる仕事がしたい=就職

しか思いつかない方は覚悟しておいた方がいい。

この業界は、自分のような考えの人間の方が圧倒的に少ない。