皆さんはスマホの保険って入っていますか?

先日、私は新しいアイフォンを買うために、ドコモショップに行きました。

たくさんの契約事項を確認し、サインをして、煩わしい手続きに終わりが見えてきたとき、最後に「盗難や紛失に備えて、保険の加入はされますか?」と聞かれました。

新しいアイフォンは10万円程で毎月の料金の1万円くらいですが、それに加えて750円を払えば、盗難や紛失された場合に加えて、画面割れをした際にも保障をしてくれるというものでした。


結局、私は保険に入ったのですが、それは、冷静に損得を考えもせず、他の保険と比較もすることもなく、衝動的に、「手に入れたアイフォンを失うかもしれない・・・」という可能性に対する恐怖を感じて入ってしまいました。


ここには、損失回避という原理が働いています。人は誰でも得をしたいと感じますが、それ以上に「損をしないこと」に対してとても敏感です。少しでも損をすると思うと、そっちばかり気にしてしまい、もっと得をする可能性は後回しにしてしまうのです。

「損をしたくない思いは、それと同額の得をしたい思いの倍以上強い」というのは、心理学の分野で優れたダニエル・カーネマンの有名な言葉です。


では、今回の私のアイフォンの例を冷静に分析してみましょう。

新しいアイフォンを2年間使うと考えると、保険にかかるお金は、750×24月=18000円。それに加えて、この保障を受ける時には、別で11000円が掛かるのです。もし、保障を受ける際には29000円のお金を払う、ということになります。


大事なアイフォンを守るためなら、そのくらいのお金は払っても痛くない!という人もいるかもしれませんが、私の意見としては、10万円のものに対して、滅多に起こらないことのために、約3万円のお金をかけるのは、高すぎるように感じます。画面割れに関しては、よく起きることのように感じますが、保険に入っていなくても、アップルでは22400円で修理してくれます。


言い換えれば、保険に入らなければ、払うはずのお金を節約できるのです。それでも、保険に入っておいた方がいいと感じてしまうのは、「手に入れたスマホを失いたくない」という想いと、実際に盗難や画面割れが起きてしまった際に「あの時保険に入っておけば・・・と後悔したくない」という、損失回避の心理が強く働くからだといえます。


私たちは、損失を回避したいばかりに、お金に関わる判断を誤ってしまいがちです。これは、私たちの本能であり、猿でさえも、「損をしたくない」という強い心理を持っているのだそうです。

私たちは、損失を回避したいという想いが強い生き物であることを心に留めて、それが過剰になっているなと感じた際には、本来の目的や、本当に大切なことを見失っていないか、一度原点に立ち止まって考えるようにしましょう。