青木の2週間一人旅8日目 鳥取・城崎温泉編 | 中央大学理工ボート部のブログ

中央大学理工ボート部のブログ

日々の活動やイベントについて更新します。

2024年3月9日


鳥取県鳥取市 快活CLUB鳥取吉成店 

   5時30分起床。眠い目を擦りながら身支度をし、無料のトーストを4枚とコーンポタージュ、野菜ジュースを取って自分のブースでささやかな朝食を摂った。鳥取駅のバスターミナルを7時に出るバスに乗りたいのだが、泊まっていた快活から駅までは歩いて30分かかるので、少し余裕を持って6時20分くらいに出発した。


   日本海側の寒さで風邪をひかないように気をつけつつ駅に着いた。天気は曇り、哀愁漂うコンクリート造の無骨な鳥取駅舎に辿り着き、自分の乗るバスを探した。鳥取駅には自動改札が無かったが、バスにもICカードの機械がなかったので、小銭を準備して乗った。


   砂丘の最寄りのバス停につき、歩いて砂丘まで行った。まずは砂丘ビジターセンターに行くのが良いらしいが、朝早くて空いていなかったので、もう砂丘に入ることにした。

↑鳥取は曇りだったが、海の方は晴れていた。


   鳥取砂丘の砂は山から川を伝って海に流れたものが数万年にもわたって堆積したもので、かつては拡大する砂丘に悩まされていたが、江戸時代頃から始まった植林などの成果で今では観光地として成り立っている。


↑これは砂丘にたくさんあった氷の塊で、昨日降った雨が凍って風に吹かれてこんな風になったもの。砂丘版霜柱のような感じ。


   鳥取砂丘には「馬の背」という有名な丘があり、高さが47メートルある。これに登って日本海を眺めるのが定石なので、とりあえず登ってみることにした。


   この日は海風がかなり強く、馬の背に登れば登るほど風に飛ばされた砂が当たってくるようになった。

↑馬の背の頂上から撮った動画。地表から15センチくらいは風で砂が常に飛んでいる。


   自分の他に一組家族がいたが、風の強さと砂の直撃で馬の背の登頂は諦めて行った。


   アウターに当たる砂粒がバチバチ音を立て、フードをかぶって何とか耐えた。暴風に煽られながら岡から転げ落ちないように何とか踏ん張っていた。眼前に広がる日本海と背後の砂丘、吹き荒ぶ風と砂、大きな雲と穏やかな青空、ここが世界の端っこなのではないかと思わせる景色だった。


   砂丘名物として「風紋」というのもある。風に吹かれて砂に模様ができる現象で、午後だと人に踏まれて消えてしまうが、早朝だと見られるそうなのでわざわざ朝早く来た。お陰で風紋も見られた。


↑風紋


   一瞬で靴とアウターは砂まみれになり、ビジターセンターのベンチに座ってなるべく砂を落とした。それでも靴の砂は取りきれなかった。

   駅に戻ってしばらく待ち、今日の次の目的地に向かった。

↑そして着いたのは城崎温泉。高校の現代文で志賀直哉の『城の崎にて』を読んでから何と無く気になっていた。


    「山の手線の電車に跳飛ばされて怪我をした、其後養生に、一人で但馬の城崎温泉に出掛けた。 」というのが『城の崎にて』の冒頭だ。実際に作者の志賀直哉が電車に跳ねられ、湯治で訪れた城崎温泉で思ったことを綴った作品らしい。電車に跳ね飛ばされて負った大怪我を治すためにわざわざ訪れたんだから、相当いい場所なのだろうと思って自分も城崎温泉に来た。


↑城崎温泉の有名な風景。川と橋。


   駅から歩いて5分ほどのところに誰でも入れる温泉が何軒もあった。本当なら城崎に宿をとってゆっくりと温泉巡りを楽しむのが良いのだが、旅程と旅費がそれを許さず、一の湯という温泉に入って後は街を徘徊した。


↑昼食は卵とじうどん。


   お風呂に入ってご飯を食べて13時過ぎ。ただ、自分は14時42分発の電車に乗るのでかなり暇だった。


   次の電車もかなり長旅で、5回乗り換えを繰り返して京都、福井を横断し、今日の最後の目的地、金沢を目指した。



↑やっと金沢に辿り着いたのは22時45分


   途中日が暮れ、雪が降っていた。四国から長崎にかけてはだんだん街が賑やかになって行った。でもこれからは北上の日々だ。気温は下がり、街には東北の侘しさが感じられるようになっていく。一人で知らない土地の夜の電車に乗っていると、当然寂しさも感じる。決して楽しいことばかりでもない一人旅だが、家に帰るとその「一人旅の侘び寂び」を恋しく思い、また一人旅に出てしまうのだ。


   金沢ではこの旅一番の困難が待ち受けていた。金沢も例によって旅費削減のため宿は取らず快活CLUBに泊まる予定だった。ただ、都会の快活を舐めていた。金沢駅に着く前の時点で駅前の快活は全室埋まり、駅から30分のところの店舗もブースや鍵付き個室は埋まり、自習室のような椅子と仕切りだけのスペースが一席だけ空いているという有様だった。


   何とか最後の一席が埋まる前に快活に着くため、雨の金沢を早歩きで駆けて行った。路面の雪を溶かす水がそこら中から出ていて、靴を濡らされつつも急いだ。快活がある場所は繁華街の交差点で、ガラの悪い連中がわんさかいたが構わずその中に突っ込んで行って何とか快活の席を確保した。


   隣にあるコンビニでペヤングのでかいやつを買い、席に戻って食べた。ブースなら金庫もあるが、今日泊まる席にはそんなものはないので荷物を持ってシャワー室に行き、寝る準備をした。


   快活のレンタル枕だけでは到底眠れないので、毛布を2枚枕がわりにして何とか眠った。壮絶な夜だった。


八日目終了