海外に行かれた方のブログを興味深く見るのですが、
そんな時は、グーグルアースでも検索して、街中を楽しんでいます。
コンスタブルが描いたソールズベリー大聖堂や、浅井忠が滞在したグレー村もそこにいるようです。
が、しょせんバーチャルな空間で、音も風も人々のざわめきもありません。
最近見たのが、イギリスのテスト川。
サウサンプトン近郊で海に注ぎます。
子どものころ見た短編映画で『テスト川の四季』というのがあって、
自然の護岸や川底の落ち葉、サケの産卵場などが季節感豊かに映し出されていました。
時は日本の高度経済成長期。
川は汚れプラスチックごみであふれ、
魚にカエル、ザリガニが死体で浮かびます。
やがて、海岸や護岸は次々にコンクリートで固められます。
グーグルアースで見る英国の田舎は、
50年以上たっても同じような景色です。
大英帝国と威容を誇った英国ですが、地方の農村は鄙びて、道路は新潟の田舎の方が広く立派です。農家のお家も門柱も、廃屋のようです。
そして、テスト川の護岸は、
草生える土手のままで、古い落葉樹におおわれています。
新潟の田舎でさえ、自然の護岸を見ることはほとんどありません。
絶え間ない自然災害で、
日本人はことごとくこの島を、コンクリートで固めてしまいました。
『コンクリートから人へ』の掛け声は、
東日本大震災以降『国土復興計画』『国土強靭化計画』の名のもと、
高速道路に高規格道路、整備新幹線、さらにリニア中央新幹線建設と、前以上に公共工事に沸いています。
学校の給食費など、端数でも十分賄えます。
防衛費8兆円をやり玉に挙げても、リニア中央新幹線に9兆円を誰も問題にしません。なくても済むリニア中央新幹線と国防のどちらが優先事項なのでしょうか。
あるものを有効活用した方がより経済的です。
テスト川を上流にたどっていくと、
川の始まりは、牧場の中の小さな池です。
日の光を浴びて、釣りをしている自分を想像します。