いつの時代に生まれたかによって、豊かさの感覚は異なります。
比較する年代が違うからです。
最近のGDPを比較して『日本は貧しくなった』というコメントをよく目にします。
しかし、私は『日本は豊かになった』と感じます。
私の子供時代、お店に冷暖房設備はありません。冬でもストーブ一台。お店の照明はお客さんが来たら点けます。
道路は未舗装。地方は砂利道。轍ででこぼこになれば、大型重機が地面を削り、平らにします。
各家庭からの生活排水で川は泡立ち、魚の死骸が浮かび、都会では光化学スモッグが充満します。交通事故による死傷者が激増し、太平洋戦争による死者を上回ります。全世界の原油の1割を日本が消費し、戦後復興と発展に邁進します。
世界第2位の経済大国。
GDP、その当時はGNP世界第2位の実態です。
何もないところからつくりだせば、成長が見られます。しかし、それは何もない状態です。
つくられたものを使い、その恩恵を享受すれば、伸びしろは減ります。
新幹線も作っている最中は投資・建設でお金が動きますが、出来てしまえば、それはなくなります。それに代わって、人々は移動の恩恵を受けます。
建設中は貧しいままです。
インドもインドネシアも建設途上です。GDPは高くなります。
日本は世界有数の豊かな国になりました。
そもそも、バブル期の異常な数値と比較するのが間違いです。
『日本が貧しくなった』という人はどこの時期と比較しているのか?
経済を測る新しい数値が必要です。
戦後の尺度は通用しません。