近年、少なくとも小泉構造改革以前までは、「会社の福利厚生」
ということばがありました。
会社案内には必ず従業員のための「福利厚生」の欄があり、
基本給、有給日数はもちろん、諸手当、休憩室、体育館、夜間学校に通う従業員のための早上がり、独身寮、宿泊施設、諸研修制度…
より多くの社員を呼び込むための制度がありました。
社内研修は有給が当たり前で、給料をもらいながら研修を受けます。
従業員500人は会社としては大きいと思うのですが、その程度ではまだ中小企業です。
しかし、中小企業でも競って福利厚生に励んでいました。
なにより大事なのは、従業員が生活できる賃金を払うこと。
会社は社会活動であり、従業員を養う責任がある。
松下幸之助の経営哲学が生まれる土壌は、日本社会に根付いていました。
その土台は、地主制度であり、庄屋・名主は家族経営の長です。
庄屋・名主・地主は行政の末端組織です。
寺子屋が明治後の学校の基本となったように、日本の会社は庄屋精神を引き継いでいます。
資本主義という名が日本に入ってからも、欧米の言う資本主義とは異なります。
それが徐々に欧米化したのは高度経済成長期を経て、小泉構造改革で新自由主義が取り入れられてからです。
日本の資本主義は家族経営の理念のもといい面もあれは、無駄な面もあり、浸透する個人主義や労働力の流動化を妨げました。グローバル化・IT化により経済状況は大きく変化しました。
松下幸之助の説く『会社は公器』
様々な構造改革を学んだ今、
働く人のための会社経営に立ち返る時期に来ていると思います。
松下政経塾HPより